BIM/CIM 教育要領(案)令和3年6月 | 電子納品サポート

BIM/CIM 教育要領(案)令和3年6月

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1 目的

『BIM/CIM 教育要領(案)』(以下、「本要領」という。)は、BIM/CIM に関する知識や技術を有
する人材の育成及び人材の活用を図るため、必要となる知識体系、学習目標等を示すものである。
本要領に基づき、各組織がBIM/CIM に係る人材育成を人的資源開発(Human Resource Development ;HRD)の一環として実施することを想定しており、組織の構成員や組織内部の集団等が、BIM/CIM の活用に必要な教育訓練項目を理解するとともに、将来において必要とされる知
識や技能を習得することを期待するものである。

2 BIM/CIM 知識体系と学習目標

2.1 BIM/CIM 知識体系の構成

BIM/CIM 知識体系は、「1 建設分野の課題とBIM/CIM」、「2 BIM/CIM の技術的な体系」と「3
BIM/CIM の利活用の体系」で構成する。
「1 建設分野の課題とBIM/CIM」では、建設分野を取り巻く課題やBIM/CIM を行う理由等の社会的背景や社会的要求を学習する。「2 BIM/CIM の技術的な体系」では、BIM/CIM の理解に当たり情報工学分野や土木情報学分野の基礎を学習する。「3 BIM/CIM の利活用の体系」では、BIM/CIM に関する基準要領に従い実務で活用する方法を学習する。特に受発注者が両輪となりBIM/CIM を利活用するため、『BIM/CIM 活用ガイドライン(案)』の内容を理解することに力点を置いている。

表 2-1 BIM/CIM 知識体系

BIM/CIM 知識体系概要
  1  建設分野の課題と BIM/CIMl     建設分野を取り巻く課題を学習する。 l BIM/CIM の概要と利活用の目的ならびに、国土交通省 における BIM/CIM の取組みと BIM/CIM に関する基準 要領類を学習する。
  2 BIM/CIM の技術的な体系l     計測と測量、GIS の基礎を学習する。
l     地盤物の 3 次元モデリングの基礎を学習する。
l     構造物の 3 次元モデリングの基礎を学習する。
  3 BIM/CIM の利活用の体系『発注者における BIM/CIM 実施要領(案)』
l     公共調達おける BIM./CIM 活用項目、業務・工事の公示ならびに、選定と評価方法を学習する。
l     プロセス監理として BIM/CIM 活用に関する事前協議、実施計画書、ISO19650 に基づく情報共有ならびに、段階確認等を学習する。
『BIM/CIM 活用ガイドライン(案)』
l     測量、地質・土質調査における BIM/CIM 活用目的や測量成果(3 次元データ)の作成等を学習する。
l     設計における BIM/CIM 活用目的、現地踏査や関係機関との協議資料作成等ならびに、BIM/CIM 成果物の検査を学習する。
l     施工における BIM/CIM 活用目的、設計図書の照査、事業説明や関係者間協議等ならびに BIM/CIM 成果物の検査を学習する。
l     維持管理における BIM/CIM 活用目的と方法を学習する。

2.2 学習目標

本要領では、期待する学習目標を「入門」、「初級」、「中級」と「上級」毎に設定する。
「入門」では、「3 BIM/CIM の利活用の体系」の学習に向けた事前学習として「2 BIM/CIM の
技術的な体系」の概要の理解を目標としている。「初級」では、「入門」の内容に加え、BIM/CIM
に関する基礎的な技術の理解と、『BIM/CIM 活用ガイドライン』を理解し、自身が担当する実務
能力の向上を目標とする。

図 2-1 学習目標(イメージ)

(1) 入門

 『BIM/CIM 活用ガイドライン』に使用している用語を理解できる。
 建設分野の課題及び、BIM/CIM の意義と自身が担当する実務との関わりが理解できる。

(2) 初級(当面の普及目標)

 BIM/CIM に関する基礎的な技術として、3 次元CAD の基本的な操作方法(従来:図面の
閲覧 等)を習得する。
 『BIM/CIM 活用ガイドライン』を理解し、自身が担当する実務においてBIM/CIM 活用
項目を設定(BIM/CIM 活用業務・工事単位)することができる。また、授受する資料等
を確認することができる。

(3) 中級

 BIM/CIM に関する技術として、3 次元CAD を利用した操作方法(従来:図面の修正 等)
を習得する。
 『BIM/CIM活用ガイドライン』に従い、自身が担当する実務を効率化することができる。

(4) 上級

 BIM/CIM に精通するとともに、関連する複数の実務を含めて効率化することができる。
 BIM/CIM に関する適切な指揮、指導を行うことができる。

3.BIM/CIM 知識体系

3.1 建設分野の課題とBIM/CIM

表 3-1 建設分野の課題とBIM/CIM

BIM/CIM 知識体系
1  建設分野の課題と BIM/CIM
 1.1 建設分野を取り巻く課題 l     我が国の建設分野の現状と課題ならびに、公共工事の品質確保や建設生産・管理シス テムの清算性向上に向けた施策の方向性を学習する。
 1.1.1 i-Construction の経緯~建設業の現状~
1.1.2 i-Construction~建設業の生産性向上~
1.1.3 i-Construction のトップランナー施策
1.1.4 i-Construction の推進状況
1.2 BIM/CIM 全般 l     BIM/CIM の概要と BIM/CIM 利活用の目的を学習する。 l     BIM/CIM に関する先進諸国の取組みを学習する。 l     国土交通省における BIM/CIM の取組みを学習する。 l     BIM/CIM に関する基準要領の目的と構成を学習する。
 1.2.1 BIM/CIM の概要
1.2.2 先進諸国における BIM/CIM の取組み
1.2.3 国土交通省における BIM/CIM の取組み
1.2.4 BIM/CIM に関する基準要領

3.2 BIM/CIM の技術的な体系

表 3-2 BIM/CIM の技術的な体系

BIM/CIM 知識体系
2 BIM/CIM の技術的な体系
 2.1 計測と測量
l     基準点測量、地形測量等や GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の衛星
測位システムを用いた「GNSS(Global Navigation Satellite System)」を学習する。
l     物体の位置を図る「3 次元データの計測技術」及び、データを機械的に収集する「セ
ンサ」を学習する。
 2.1.1公共測量と GIS
2.1.2 3 次元測量手法
2.2 地盤の 3 次元モデリング
「地形の 3 次元モデリング」に用いられる TIN(Triangulated Irregular Network)を学
習する。
l     「地層の 3 次元モデリング」に用いられる上側境界面法(Upper Boundary Surface)等
を学習する。
l     道路等の線形構造物の設計等に用いる「土工の 3 次元モデリング」を学習する。
l     地盤関連のソフトウェアと中間フォーマット(J-LandXML)に関する基本的な機能を
学習する。
 2.2.1 地形の 3 次元モデリング
2.2.2 地層の 3 次元モデリング
2.2.3 土工の 3 次元モデリング
2.2.4 地盤関連のソフトウェアと機能(J-LandXML)
2.3   構造物の 3 次元モデリング
l     3 次元 CG における立体のモデリング手法と詳細度(Level of Detail)を学習する。
l     3 次元 CAD のオリジナルファイル形式と BIM/CIM の中間フォーマットである「IFC
(Industry Foundation Classes)」を学ぶ
l     構造物関連のソフトウェアと中間フォーマット(IFC)に関する基本的な機能を学習
する。
l     二次製品や仮設資材等の既製オブジェクトの活用を学習する。
3 次元モデルを立体視する VR(Virtual Reality)や拡張現実(AR; Augmented Reality)
等を学習する。
 2.3.1 立体の 3 次元モデリング
2.3.2 オリジナル形式と IFC 形式
2.3.3 構造物関連のソフトウェアと機能(IFC)
2.3.4 既製オブジェクトの活用
2.3.5 VR/AR/MR

3.3 BIM/CIM の利活用の体系

表 3-3 BIM/CIM の利活用の体系

BIM/CIM 知識体系
3 BIM/CIM の利活用の体系
 3.1 公共調達【発注者における BIM/CIM 実施要領(案)】各段階共通
l     発注準備として、事業目的を踏まえ BIM/CIM 活用項目の検討方法を学習する。
l     BIM/CIM 活用業務・工事に関する公示資料等への記載方法を学習する。
l     BIM/CIM 活用業務・工事の選定と特記仕様書の記載方法と評価方法を学習する。
 3.1.1 発注準備(BIM/CIM 活用項目の検討)
3.1.2 業務・工事の公示
3.1.3 選定と評価
3.2 プロセス監理【発注者における BIM/CIM 実施要領(案)】各段階共通
l     BIM/CIM 活用業務・工事の「事前協議」における貸与資料や事前協議・引継書シート等
の記載方法を学習する。
l     「BIM/CIM 実施計画書」の記載項目と内容を学習する。
l     BIM を使用して構築する情報資産について、そのライフサイクルに亘り情報管理を行う
国際規格(ISO 19650)の考え方と段階確認(設計詳細)方法及び、情報共有システム
(ASP)等を使用した情報共有の方法や必要とするセキュリティー等を学習する。
l     BIM/CIM 実施報告書とともに、提出された成果品の内容と確認方法を学習する。
 3.2.1 BIM/CIM 活用に関する事前協議
3.2.2 BIM/CIM 実施計画書
3.2.3 ISO19650 に基づく情報共有及び段階確認
3.2.4 BIM/CIM 実施報告書
3.2.5 BIM/CIM 成果品の受領と検査
3.3 測量及び地質・土質調査 『BIM/CIM 活用ガイドライン(案)【共通編】』
l     測量及び地質・土質調査における BIM/CIM の活用場面と留意点を学習する。
l     測量成果(3 次元データ)と地質・土質モデルの作成と留意点を学習する。
 3.3.1 測量、地質・土質調査における BIM/CIM 活用目的
3.3.2 測量成果(3 次元データ)作成
3.3.3 地質・土質モデル作成
3.4 設計 【BIM/CIM 活用ガイドライン(各編)】 l     設計における BIM/CIM の具体的な活用場面と留意事項を学習する。 l     『BIM/CIM モデル等電子納品要領(案)及び同解説』に従い、BIM/CIM 成果品の作成 方法と留意点を学習する。
 3.4.1 設計における BIM/CIM 活用目的
3.4.2 現地踏査
3.4.3 関係機関との協議資料作成
BIM/CIM 知識体系
  3.4.4景観検討
3.4.5図面作成、一般図
3.4.6図面作成、詳細図
3.4.7附属物等の設計
3.4.8施工計画
3.4.9数量計算
3.5 施工【BIM/CIM 活用ガイドライン(各編)】 l     施工における BIM/CIM の具体的な活用場面と留意事項を学習する。 l     『BIM/CIM モデル等電子納品要領(案)及び同解説』に従い、BIM/CIM 成果品の作成 方法と留意点を学習する。
 3.5.1 施工における BIM/CIM 活用目的
3.5.2設計図書の照査
3.5.3事業説明、関係者間協議
3.5.4 施工方法(仮設備計画、工事用地、計画工程表)
3.5.5 施工管理(品質、出来形、安全管理)
3.5.6既済部分検査等
3.5.7工事完成図(主要資材情報含む)
3.6 維持管理『BIM/CIM 活用ガイドライン(案)【共通編】』 l     維持管理における BIM/CIM モデルの活用目的と方法を学習する。
 3.6.1 維持管理における BIM/CIM 活用目的
3.6.2 維持管理における BIM/CIM 活用方法

4 BIM/CIM 知識体系に基づく研修プログラム

知識体系に示す各項目について、受発注者別のどのような者にどのような知識が必要であるかについて、レベル別に整理した。各組織においてBIM/CIM に係る人材育成研修等を実施する場合、実施目的、実施期間、受講者のレベル等を考慮の上、適切に組み合わせることが期待される。

なお、国土交通省では、当該プログラムに基づく研修テキストについて、受発注者共通の項目を中心として、備考に記載のデータ形式により順次整備し、可能な限り公表する予定である。各組織においては適宜活用されたい。

4.1 建設分野の課題とBIM/CIM

表 4-1 建設分野の課題とBIM/CIM

【凡例】着色部:令和2 年度テキスト作成範囲

  知識体系(案)受発注者 (入門)  備考
1  建設分野の課題と BIM/CIM
 1.1 建設分野を取り巻く課題
 1.1.1 i-Construction の経緯~建設業の現状~〇(入門)PPT
1.1.2 i-Construction~建設業の生産性向上~〇(入門)PPT
1.1.3 i-Construction のトップランナー施策〇(入門)PPT
1.1.4 i-Construction の推進状況〇(入門)PPT
1.2 BIM/CIM 全般
 1.2.1 BIM/CIM の概要〇(入門)PPT
1.2.2 先進諸国における BIM/CIM の取組み〇(入門)PPT
1.2.3 国土交通省における BIM/CIM の取組み〇(入門)PPT
1.2.4 BIM/CIM に関する基準要領〇(入門)PPT

4.2 BIM/CIM の技術的な体系

表 4-2 BIM/CIM の技術的な体系

【凡例】着色部:令和2 年度テキスト作成範囲

  知識体系(案)受発注者 (入門)  備考
2 BIM/CIM の技術的な体系
 2.1 計測と測量
 2.1.1公共測量と GIS〇(入門)PPT
2.1.2 3 次元測量手法〇(入門)PPT
2.2 地盤の 3 次元モデリング
 2.2.1 地形の 3 次元モデリング〇(入門)PPT
2.2.2 地層の 3 次元モデリング〇(入門)PPT
2.2.3 土工の 3 次元モデリング〇(入門)PPT
2.2.4 地盤関連のソフトウェアと機能(J-LandXML)〇(入門)PPT
2.3構造物の 3 次元モデリング
 2.3.1 立体の 3 次元モデリング〇(入門)PPT
2.3.2 オリジナル形式と IFC 形式〇(入門)PPT
2.3.3 構造物関連のソフトウェアと機能(IFC)〇(入門)PPT
2.3.4 既製オブジェクトの活用〇(入門)PPT
2.3.5 VR/AR/MR〇(入門)PPT

4.3 BIM/CIM の利活用の体系

表 4-3 BIM/CIM の利活用の体系

【凡例】着色部:令和2 年度テキスト作成範囲、△:受注者用テキストを参考に利用

  知識体系(案)発注者受注者発注者受注者  備考
初級中級
3 BIM/CIM の利活用の体系
 3.1 公共調達【発注者における BIM/CIM 実施要領(案)】各段階共通
 3.1.1 発注準備(BIM/CIM 活用項目の検討)   PPT
3.1.2 業務・工事の公示   PPT
3.1.3 選定と評価   PPT
3.2 プロセス監理【発注者における BIM/CIM 実施要領(案)】各段階共通
 3.2.1 BIM/CIM 活用に関する事前協議〇(受発注者共通)PPT
3.2.2 BIM/CIM 実施計画書〇(受発注者共通)PPT
3.2.3 ISO19650 に基づく情報共有及び段階確認〇(受発注者共通)PPT
3.2.4 BIM/CIM 実施報告書〇(受発注者共通)PPT
3.2.5 BIM/CIM 成果品の受領と検査〇(受発注者共通)PPT
3.3 測量、地質・土質調査【BIM/CIM 活用ガイドライン(共通編)】
 3.3.1 測量、地質・土質調査における BIM/CIM 活用目的〇(受発注者共通)PPT
3.3.2 測量成果(3 次元データ)作成〇(受発注者共通)PPT
3.3.3 地質・土質モデル作成〇(受発注者共通)PPT
3.4 設計【BIM/CIM 活用ガイドライン(各編)】
 3.4.1 設計における BIM/CIM 活用目的〇(受発注者共通)  PPT
3.4.2 現地踏査〇(受発注者共通)PPT
3.4.3 関係機関との協議資料作成〇(受発注者共通)PPT
3.4.4 景観検討〇(受発注者共通)PPT
3.4.5 図面作成、一般図〇(受発注者共通)PPT
3.4.6 図面作成、詳細図〇(受発注者共通)PPT
3.4.7 附属物等の設計〇(受発注者共通)PPT
3.4.8 施工計画〇(受発注者共通)PPT
3.4.9 数量計算〇(受発注者共通)PPT
3.5 施工【BIM/CIM 活用ガイドライン(各編)】
 3.5.1 施工における BIM/CIM 活用目的〇(受発注者共通)  PPT
3.5.2 設計図書の照査〇(受発注者共通)PPT
3.5.3 事業説明、関係者間協議〇(受発注者共通)PPT
3.5.4 施工方法(仮設備計画、工事用地、計画工程表)PPT
3.5.5 施工管理(品質、出来形、安全管理)PPT
3.5.6 既済部分検査等〇(受発注者共通)PPT
3.5.7 工事完成図(主要資材情報含む)〇(受発注者共通)PPT
3.6 維持管理【BIM/CIM 活用ガイドライン(共通編)】
 3.6.1 維持管理における BIM/CIM 活用目的〇(受発注者共通)  PPT
3.6.2 維持管理における BIM/CIM 活用方法〇(受発注者共通) PPT

表 4-4 BIM/CIM サンプルモデル

分野地形地質・土質線形土工形状構造物統合備考
河川:築堤、樋門 
河川:砂防(堰堤) 
ダム:フィルダム 
道路:PC 連続中空床版橋 
道路:橋梁下部工(T 型橋脚) 
道路:トンネル