本附属資料は、3 次元モデル成果物を作成する上で、3 次元モデルの作成方法の1 例を記載した参考資料である。
1.道路土構造物編(1)
3 次元モデル成果物の対象3 次元モデル成果物の対象として、従来の2 次元設計成果物との対応で示したものを下表に示す。3 次元モデル成果物の詳細度が300 のため、道路平面図、道路縦断図、道路横断図、構造物設計の詳細図に相当するものが、3 次元モデルとして表現される。
表 従来の2 次元設計成果物と3 次元モデル成果物の対応関係(道路土構造物編)
2 次元設計成果物 | ||||
設 計 種 別 | 設計項目 | 成果物 | 縮尺 | 参照情報 として紐 付け |
道路詳細設計 | 平面設計 | 路線図 | 1:2500~1:50000 | - |
道 路 平 面図 | 1:500 及び 1:1000 | 〇 | ||
縦断設計 | 道 路 縦 断図 | V=1:200,H=1:100 0 及び V=1:100,H=1:500 | 〇 | |
横断設計 | 標 準 横 断図 | 1:50 及び 1:100 | 〇 | |
道 路 横 断図 | 1:100 及び 1:200 | 〇 | ||
土積図 | 縦 断 図 V=1:400H=1:200 0 土 積 図 H=1:2000V=1cm を 10000m3 及び 20000m3 | 〇 | ||
構造物設 計 | 詳細図 | 適宜 | 〇 | |
仮設構造 物設計 | 仮 設 工 詳細図 | 適宜 | 〇 | |
用排水設 計 | 用 排 水 系統図 | 1:500 及び 1:1000 | 〇 | |
詳細図 | 適宜 | 〇 | ||
舗装工設 計 | 舗 装 工 詳細図 | 適宜 | 〇 |
3 次元モデル成果物 | ||
対象 〇:対象 -:未対象 | 詳細度 | 摘要 |
- | - | 2 次元図面のみとす る。 |
〇 | 200~ 300 | 平面図に相当する 3 次 元モデルとする。 |
〇 | - | 道路中心線形をモデ ル化する。 |
- | - | 2 次元図面のみとす る。 |
〇 | 300 | 横断図に相当する 3 次 元モデルとする。 |
- | - | 2 次元図面のみとす る。 |
〇 | 300 | 詳細度 300 まで 3 次 元モデル化する。 |
適宜 | 200~ 300 | 指定仮設の場合、作成 する。 |
- | - | 2 次元図面のみとす る。 |
- | - | 2 次元図面のみとす る。 |
- | - | 2 次元図面のみとす る。 |
(2)3 次元モデルの作成上の留意点
1)3 次元モデルと付随する平面図等の留意点
- 土工の形状が認識できる3D サーフェスとは、TIN サーフェスのことである。
- 3 次元化に伴う作業量とその活用効果(検討や後工程での活用ケース)を考慮し、3 次元モデル成果物の内容を決定すること。
2)3 次元モデルの省略できる内容
- 排水工、付帯構造、交差点、構造物周辺の細部や小構造物、安全施設などの3 次元モデル作成については、設計活用(景観検討・関係機関協議等)や後工程での活用ケースを確認し、活用効果が小さいと判断された場合は、3 次元モデルから2 次元図面を外部参照することで省略すること。
- 3 次元モデルで表現できない縦断図、設計意図の伝達に必要な標準横断図、横断図、土積図等は、参照情報として紐付けを行い、閲覧できるようにする。
(3)3 次元モデル化する各構造物の詳細について
道路土工モデルは、「LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準(案)Ver1.5(略称:J-LandXML)」にて3 次元モデルが作成できる※。詳細度300 の3 次元モデルを作成する場合は、その部分を別途モデル化する。舗装工モデルもJ-LandXML にて3 次元モデルが作成できる。
1)道路土工モデル
図 中心線形と横断形状とを組み合わせたスケルトンモデルのイメージ図
出典:「LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準の運用ガイドライン(案)Ver.1.5」
(国土交通省大臣官房技術調査課)
2)舗装工モデル
図 道路分野で対象とする要素とイメージ図
出典:「LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準の運用ガイドライン(案)Ver.1.5」
(国土交通省大臣官房技術調査課)
※次頁以降に示す運用方法により、道路中心線に対して平行しない法面等の区間を含んだ道路土工モデルを作成すること
3)道路中心線に対して平行しない法面等の区間を含んだ道路土工モデル
J-LandXML では、道路中心線に対して横断面の設定が困難な構造物の巻き込み部や交差点部といった横断形状データのモデル化対象外区間において、巻き込み部や交差点部の法面でのICT 土工のための設計データが渡らない事例が発生している。また、本線と側道、ランプ道路など複数の道路中心線があり、それぞれの中心線に対して横断面を設定してサーフェスモデルを作成する場合、複数のファイルにデータが分割される場合もある。
出典:LandXML1.2 に準じた3次元設計データ交換標準(案)Ver.1.5 - 略称:J-LandXML -
3次元データの活用拡大に向け、設計時のデータを活用する観点から下図に示す構造物巻込み部や交差点区間の法面については、「LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準の運用ガイドライン(案)」に基づき、3 次元CAD ソフトウェアを用いて手動でサーフェスモデルを作成し、J-LandXML のサーフェスモデル要素を活用し、後工程にデータを引き渡す。本線2 本目以降、工事用道路等の複数の道路中心線を有する場合においても、同ガイドラインに基づきJ-LandXML でデータを作成することとするが、線形モデルを1ファイルに格納できない場合は複数のファイルに格納し、後工程にデータを受け渡す。
また、ICT 土工で活用可能な用地境界、幅杭データ等の2 次元情報についても併せて受
け渡すものとする。
図 道路の区間別のデータ運用(案)
【運用データ概要】
- 道路中心線形を作成(複数ある場合は全て対象)
- 横断面の作成対象区間は横断面を作成
- 横断面の作成対象外区間はサーフェスを作成
※上記3 点の作成にあたっては、「LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準の運用ガイドライン(案)」を参照
- 法面を延伸した計画サーフェスを作成(※任意)
- 用地境界、幅杭データを作成(※2 次元)
- 境界計画エッジを作成(※2 次元)
- 横断面の作成対象区間における横断面の要素から作成したサーフェスと、横断面の作成対象外区間において作成したサーフェスを組み合わせ、計画サーフェスを作成
- 設計対象の土工形状計画サーフェス(横断面の作成対象区間と対象外区間を一体としたモデル)を示す、ビューアーデータを作成
- 横断面の作成対象区間における横断面と、最終成果物となる2 次元図面の横断図の整合性を担保するため、これらを重ね合わせたCAD データを作成
計画サーフェス、法面を延伸した計画サーフェス、2 次元用地境界・幅杭データ、2 次元境界計画エッジの各データのイメージ及び後工程における活用用途を以下に示す。
図 各データのイメージ及び活用用途
立体図(道路計画斜め上から見た状態)
注:ソフトウェアにより各データの表示方法が異なる場合がある
図 道路中心線形、法面を延伸した計画サーフェス、2 次元用地境界・幅杭データ、
2 次元境界計画エッジを組み合わせたイメージ
<留意事項>
・納品時の照査方法
2 次元設計した横断図と3 次元サーフェスモデルおよび中心線から出力した横断図の重ね合わせを行い、形状および位置が整合することを確認し、当該重ね合わせを行ったCAD データをVIEW-確認ファイルに納品する。
複数線形から作成したサーフェスなどにより形状が異なる場合は、その理由をBIM/CIM モデル作成 事前協議・引継書シート(Excel 形式)内の次工程への引継事項、利用上の制約、留意点等に記載した上で納品する。
設計時の納品照査では、上記確認と併せ主要点断面や曲線区間の補完など断面の補足を行った上で3 次元モデルを作成していることの確認も重要である。
施工側の設計照査では、これまでと同様の照査活動と発注者との協議が必要である。
図 2 次元横断図と3 次元モデルから出力した横断図の重ね合わせイメージ
・法面を延伸した計画サーフェス
地形測量の詳細度が設計時と施工時で異なる場合や、現地改変(整地作業、開発など)により一致しない場合においては、ICT 建機が制御不能となる場合がある。
ICT 建機の制御不能を防ぐためには、横断形状を広めに作成しておくことにより、最終仕上げの三次元データに対応することができる。
このことから、設計時点からサーフェスデータを延伸したデータを作成することにより、後工程でのデータ編集の軽減によりフロントローディングへの寄与が予想される。
しかし、後工程において修正設計や施工時対応(分割施工や地形改変等)が生じる場合は、2 重作業となるなどの課題がある。このことから、建設プロセス全体の効率性が図られる場合に限り作成する任意項目とした。
図 最終仕上げの3 次元データを作成する場合の留意点
出典:マシンコントロール/マシンガイダンス技術(バックホウ編)の手引書【施工者用】
平成30 年 2 月 国土交通省 近畿地方整備局 近畿技術事務所
・3D PDF 等のビューアーデータ
閲覧において一般に普及している無償のソフトウェア等で確認が可能な3D PDF 等のビューアーデータを同封することにより、各種汎用PC やタブレット端末などで、受発注者共に形状の確認及び計測が容易となることや、範囲外にサーフェスが生成された場合などを編集時の見本となる。
図 形状確認イメージ(上記3D PDF による例)
・運用データ納品時のサブフォルダ作成
現況のBIM/CIM モデル電子納品要領(案)を活用し、運用データは以下のサブフォルダを設けて納品する。
図 運用データ納品フォルダ
※「BIM/CIM モデル電子納品要領(案)及び解説 令和4年3月 国土交通省 を参照
・運用データと納品フォルダ
データの納品にあたっては、下図に応じて既存フォルダや追加したサブフォルダに各データを納品する。横断面を作成可能な区間のJ-LandXML 及びオリジナルファイルは従前どおりのフォルダに納品するが、ソフトウェアの機能等により線形モデルが複数ファイルになる場合は、各ファイルが何を表現しているかが分かる資料(テキストファイルで可)を同フォルダに同封する。
図 運用データと納品フォルダ
・運用データの成果物の命名規則およびデータ形式
各成果品の命名は、下表による該当する英単語の一部を大文字とし、指定形式で作成されたファイルをサブフォルダに保存し納品する。
表 ファイルの名称と形式
表 略語一覧
略語 | 省略しない名称 | 説明 |
Surface・Parcels 共通 | ||
PL | PLan | 計画 |
ET | ExTend | (法面)延伸 |
Surface | ||
SRF | SuRFace | サーフェス・表面 |
PAV | PAVement | 舗装 |
SGA | SubGrAde | 路床 |
SBB | SuBBase | 路体 |
CR | ConstructionRoad | 施工(段階的な施工を行う場合) |
Parcels | ||
ROW | RightOfWay | 用地境界・幅杭 |
L | Left | 左(中心線に対して) |
R | Right | 右(中心線に対して) |
N | Neutral | 左右にまたがる場合(中心線に対して) |
BND | BouNDary | 境界条件 |
n | 任意の数字 |
4)横断設計の考え方
J-LandXML では、路体・路床・道路面(完成形状)の3 次元モデルが作成できる。
道路分野で情報化施工に必要な断面
出典:「LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準の運用ガイドライン(案)Ver.1.4」
(国土交通省大臣官房技術調査課)
2.山岳トンネル編
本項は、山岳トンネルを対象としているため、設計対象が開削トンネルやシールドトンネル等、他のトンネルである場合には担当者と協議し、同等となるよう内容を決定する必要がある。
(1)3 次元モデル成果物の対象
3 次元モデル成果物の対象として、従来の2 次元設計成果物との対応で示したものを下表に示す。3 次元モデル成果物の詳細度が300 のため、平面図、縦断図、地質平面・縦断図、トンネル標準断面図、坑門工一般図に相当するものが、3 次元モデルとして表現される。
表 従来の2 次元設計成果物と3 次元モデル成果物の対応関係(山岳トンネル編)
2 次元設計成果物 | ||||
設 計 種 別 | 設 計 項 目 | 成果物 | 縮尺 | 参照情 報とし て紐付 け |
山岳トンネル詳細設計 | 設 計 図 | 位置図 | 1:25000~1:50000 | - |
平面図 | 1:1000 | 〇 | ||
縦断図 | V=1:200 H=1:1000 及び V=1:100 H=1:500 | 〇 | ||
地質平面・縦断 図 | V=1:200 H=1:1000 | 〇 | ||
ト ン ネ ル 標 準 断面図 | 1:50 | 〇 | ||
支保工詳細図 | 適宜 | 〇 | ||
本 体 工 補 強 鉄 筋図 | 1:50~1:100 | 〇 | ||
坑門工一般図 | 1:50~1:500 | 〇 | ||
坑 門 工 構 造 詳 細図 | 適宜 | 〇 | ||
排水系統図 | 1:500 及び 1:1000 | 〇 | ||
排水工詳細図 | 適宜 | 〇 | ||
防水工等図 | 適宜 | 〇 | ||
舗装工詳細図 | 適宜 | 〇 | ||
非 常 用 施 設 割 付図 | 適宜 | 〇 | ||
非 常 用 施 設 箱 抜詳細図 | 適宜 | 〇 | ||
そ の 他 参 考 図 等 | 適宜 | 〇 |
3 次元モデル成果物 | ||
対象 〇:対象 -:未対象 | 詳 細 度 | 摘要 |
- | - | 2 次元図面のみとす る。 |
〇 | 200 ~ 300 | 平面図に相当する 3 次 元モデルとする。 |
〇 | - | 道路中心線形はモデ ル化する。 |
〇 | 300 | 適用支保パターンの 範囲を記号等でモデ ル化する。 |
〇 | 300 | 断面形状より、3 次元 モデルを作成する。 |
- | - | 支保パターンに適用 される詳細図は参照 情報として扱う。 |
- | - | 2 次元図面のみとす る。 |
〇 | 300 | |
- | - | 配筋図(詳細図 400) は参照情報として扱 う。 |
- | - | 2 次元図面のみとす る。 |
- | - | 裏面排水、横断排水管 詳細図などは参照情 報として扱う。 |
〇 | - | 適用範囲を記号等で モデル化し、詳細図は 参照情報として扱う。 |
- | - | 目地部詳細図は外部 参照情報として扱 う。 |
- | 2 次元図面のみとす る。 | |
- | - | 詳細図は参照情報と して扱う。 |
- | - | 2 次元図面のみとす る。 |
(2)3 次元モデルの作成上の留意点
1)3 次元モデルと付随する地形・地質の留意点
- 地形は、より詳細な検討を要する範囲(坑口、近接構造物、小土被り部の範囲等)で詳細な地形データがある場合はその詳細な地形データを利用するなど、活用ケースを確認し協議で決定する必要がある。
- 地質は、トンネル線形を境界面として地質縦断図を用いた準三次元地質断面図モデルの作成を標準とし、横断的・平面的な分布はモデル化の必須対象には含めない。
- 横断的・平面的な分布も含めた地質のモデル化は後工程での活用ケースを確認し、協議する。
2)3 次元モデルと付随する標準断面図、坑門工一般図の留意点
- 3 次元モデルの横断面(標準断面図、坑門工正面図)および平面的な形状は、2 次元図面と整合させる。
- 指定測点での任意断面抽出時に切り出した図形の基準高さを一致させるために各変化点のXYZ は、縦断図に示されている縦断線形の高さと一致しておく必要がある。
- 3 次元化に伴う作業量を考慮して、施工基面及び標準横断勾配によるモデル化を基本とする。ただし、施設等との取合いを確認する必要がある場合などは、必要に応じて横断勾配変化をモデル化する。
3)3 次元モデルの省略できる内容
- 支保パターン、本体工補強鉄筋、坑門工配筋、防・排水工、舗装工、箱抜工等含む付帯工、その他参考図等の山岳トンネル工事の特性上施工段階で都度見直しの可能性が高いものについては、設計活用(景観検討・関係機関協議等)や後工程での活用ケースを確認し、作成内容および3 次元図面から2 次元図面への参照の要否について協議する。
・国土地理院・基盤地図情報(数値標高モデル)のデータから、TIN 形式で作成する。
なお、モデル化範囲が広範におよぶ範囲は10m メッシュを使用し、より詳細な検討を要する範囲(坑口、近接構造物、小土被り部の範囲等)で詳細な地形データがある場合はその詳細な地形データを利用するなど、活用ケースを確認し協議で決定する必要がある。
・地質は、トンネル線形を境界面として地質縦断図を用いた準三次元地質断面図モデルの作成を標準とし、横断的・平面的な分布はモデル化の必須対象には含めない。
・標準断面図(吹付け、覆工、インバート)に対応したモデル化。
・支保パターン毎に着色し、変化位置が確認可能なモデルとする。
・施工基面及び舗装(路面)はモデル化の対象とするが、標準横断勾配によるモデル化を基本とし、横断勾配変化は必要に応じてモデル化する。※
・標準断面図を除く一次支保、補助工法はモデル化の対象には含めないが、属性情報は、参照情報により付与する。
・坑口部や箱抜き部等の配筋はモデル化の対象に含めないが、属性情報は、リンクにより付与する。
・受発注者間での協議により防・排水工、内装工、箱抜工などの付帯工をモデル化する場合は、簡略化した矩形形状などを認めるものとする。ただし、そのモデルに属性情報の付与並びに参照情報として2次元図面の紐付けを行うものとする。
・坑門工一般図・坑門工平面図に対応したモデル化
・坑口周辺の法面工や擁壁工については土工編に準ずる。
・坑門工の配筋はモデル化の対象に含めないが、属性情報は、参照情報として2 次元図面の紐付けにより付与する。
※トンネル断面は、トンネル区間の平面線形に応じて検討すべき横断勾配・建築限界を抽出し、抽出された全ての建築限界とそれに対応する必要余裕量が確保可能となる断面を決定する設計工程となる。
この設計工程で決定されるトンネル断面は、トンネル区間内の全ての建築限界と対応する必要余裕量は担保されているため、測点毎の横断勾配やその変化について必ずしもモデル化する必要はないが、施工時の掘削基準高さの算出等の後活用を考慮し、施工基面や標準横断勾配によるモデル化は三次元化の対象とする。また、施設等との取合いを確認する必要がある場合などは、必要に応じて横断勾配変化をモデル化する。
(3)3 次元モデル化する各構造物の詳細について
1)地形・地質
国土地理院・基盤地図情報(数値標高モデル)のデータから、TIN 形式で作成する。
なお、モデル化範囲が広範におよぶ範囲は10m メッシュを使用し、より詳細な検討を要する範囲(坑口、近接構造物、小土被り部の範囲等)で詳細な地形データがある場合はその詳細な地形データを利用するなど、活用ケースを確認し協議で決定する必要がある。
地質は、トンネル線形を境界面として地質縦断図を用いた準三次元地質断面図モデルの作成を標準とし、横断的・平面的な分布はモデル化の必須対象には含めない。
付与する付属情報は協議により決定する。
モデルイメージ
2)トンネル本体、避難坑、連絡坑
断面形状は、標準断面図(吹付け、覆工、インバート)に対応したトンネルの形状がわかる外形(吹付け、覆工、インバート)のみを作成するが、支保パターン毎に着色するなど変化位置が確認可能なモデルとする。なお、3 次元ソリッドでの作成が望ましいが、サーフェスで作成してもよい。
標準断面図を除く一次支保、補助工法は、掘削区分の属性情報として取り扱う。
山岳トンネル工事の特性上施工段階で都度見直しの可能性が高いものについては、設計活用(景観検討・関係機関協議等)や後工程での活用ケースを確認し、協議により決定することとし、3 次元モデル化を必須対象とはしない。
施工段階での活用を考慮して、施工基面及び舗装(路面)はモデル化の対象とするが、標準横断勾配によるモデル化を基本とし、横断勾配変化は必要に応じてモデル化する。
モデルイメージ(詳細度200 の場合、地質情報は協議による)
3)坑口
坑口は、より詳細な検討を要する範囲に該当するため、地形のモデル化は、詳細な地形データがある場合はその詳細な地形データを利用するなど、活用ケースを確認し協議で決定する必要がある。
坑口は、坑門工一般図・坑門工平面図に対応したモデル化とし、サーフェスとして作成する。
モデルイメージ(詳細度300)
<留意事項>
トンネル明かり部の近接構造物(橋梁・土工・仮設備・本設備)や地上部の土地利用、地すべり地の有無については後工程での活用ケースを確認のうえ作成内容、付与する属性情報について協議する。
3.橋梁編
(1)3 次元モデル成果物の対象
3 次元モデル成果物の対象として、従来の2 次元設計成果物との対応で示したものを下表に示す。3 次元モデル成果物の詳細度が300 のため、橋梁一般図、構造一般図に相当するものが、3 次元モデルとして表現される。
表 従来の2 次元設計成果物と3 次元モデル成果物の対応関係(橋梁編)
2 次元設計成果物 | ||||||
設 計 種 別 | 設計 項目 | 成果物 | 縮尺 | 摘要 | 参照情報 として紐 付け | |
橋梁詳細設計 | 設 計図 | 橋梁位置図 | 1:25000~1:50000 | 市販地図等 | - | |
一般図 | 1:50~1:500 | 橋種・設計条 | 〇 | |||
件・地質図ボ | ||||||
ーリング位置 | ||||||
等を記入 | ||||||
線形図 | 適宜 | 平面・縦断・ 座標 | 〇 | |||
構造一般 | 1:50~1:500 | 〇 | ||||
上部工構 | 1:20 | ~ | 主桁・横桁・ | 〇 | ||
造詳細図 | 対傾構・主構・ | |||||
床組・床版・ | ||||||
支承・伸縮装 | ||||||
置・排水装置・ | ||||||
高欄防護柵・ | ||||||
1:100 | 遮音壁・検査 | |||||
路等・製作キ | ||||||
ャンバー図・ | ||||||
PC 鋼材緊張 | ||||||
順序等施工要 | ||||||
領 | ||||||
下部工構 | 1:20 | ~ | 橋台・橋脚等 | 〇 | ||
造詳細図 | 1:100 | |||||
基礎工構 | 1:20 | ~ | 杭・ウィル・ | 〇 | ||
造詳細図 | 1:100 | ケーソン等 | ||||
仮設工詳 | 適宜 | 仮締切・土留・ | 〇 | |||
細図 | 仮橋等 |
3 次元モデル成果物 | ||
対象 〇:対象 -:未対象 | 詳 細 度 | 摘要 |
- | - | 2 次元図面のみ とする。 |
〇 | 200~ 300 | 地形・地質モデル を入れた統合モ デルとする。 |
- | - | 2 次元図面のみ とする。 |
〇 | 300 | |
- | - | 上部工構造詳細 図、 付属物詳細 図、PC 鋼材配置 図、配筋図等(詳 細度 400 相当) は参照情報とし て扱う。 |
- | - | 配筋図等(詳細度 400 相当)は参照 情報として扱う。 |
- | - | 配筋図等(詳細度 400 相当)は参照 情報として扱う。 |
適宜 | 200~ 300 | 指定仮設の場合、 作成する。 |
※設計業務等共通仕様書 第6 編道路編 第8 章橋梁設計より引用して作成
(2)3 次元モデルの作成上の留意点
1)3 次元モデルと付随する全体一般図、構造一般図の留意点
- 3 次元モデルの側面および平面的な形状は、2 次元図面と整合させる。
- 3 次元モデルから切り出して作成した断面図が2 次元図面と整合する指定測点(端支点部・標準部など)を明示する。(指定位置における断面は整合させること)
- 指定測点での任意断面抽出時に切り出した図形の基準高さを一致させるために各変化点のXYZ は、縦断図に示されている縦断線形の高さと一致しておく必要がある。
2)3 次元モデルの省略できる内容
- 作成内容については設計活用(景観検討等)や後工程での活用ケースを考慮し、3 次元モデル化する内容について協議する。
- 配筋図や付属物などについては、3 次元化に伴う手間が大きいことから、作成については後工程での活用ケースを考慮し、3 次元化する作成内容について協議する。
- 上下部接続部や付属物の作成するモデルについては、簡略化した矩形形状(詳細度100~200)を認めるものとする。ただし、そのモデルに属性情報の付与、並びに2 次元図面の紐付けを行うものとする。
【鋼橋】
【コンクリート橋】
・RC、PC 床板について、鉄筋、PC
鋼線をモデル化の対象に含めない
が、属性情報は、参照情報により付
与する。
・ユースケースの想定を踏まえた受
発注者間での協議により鉄筋・PC
鋼線のモデルを作成する場合には、
BIM/CIM 活用ガイドライン(案)に
沿ったモデルを作成すること。
・上下部接続部や付属物の作成する
モデルについては、簡略化した矩
形形状(詳細度100~200)を認
めるものとする。ただし、そのモ
デルに属性情報の付与並びに2次
元図面の紐付けを行うものとする。
【下部構造】
・支承アンカーボルトの箱抜き等は
モデル化することが望ましい。
・内部配筋はモデル化の対象に含め
ないが、属性情報は、参照情報によ
り付与する。
(3)3 次元モデル化する各構造物の詳細について
【鋼橋】
1)鋼橋本体
鋼橋は、詳細設計で計画された主構造の形状と同等の値を得られる精度のモデルとする。
なお、モデルの作成はソリッドモデルで作成することが望ましいが、サーフェスモデルも許容する。その場合、属性情報として重量を付与しておくことが望ましい
また、参照情報の紐付けにより、詳細構造の2 次元図面を閲覧できるようにし、設計趣旨の伝達や設計の閲覧など後利用の有効性を考慮する。
2)鋼橋床板
鉄筋コンクリート床版(RC 床版、PC 床版)は、PC 橋上部工のモデル作成指針を準用する。また、鉄筋等の干渉チェックを行うために床版内部の配筋をモデル化する場合、モデル化の範囲は床版桁端部、伸縮部、排水桝設置箇所等、干渉チェックを行う箇所を対象とする。
<留意事項>
過密配筋部を分かりやすく表示するため、径等の鉄筋種別等から色分けを行うと良い。
鉄筋のモデル化は、床版の形状によっては膨大な労力を必要とする場合があるため、目的と重要度を念頭にモデル化の必要性を判断する必要がある。
桁端部(支点付近)は干渉の割合が高く、また、経年劣化が激しいため維持管理上、重要な部位である。このため、橋体に加え、支承・排水・検査路等をモデル化する場合もある。
その場合のモデル化は、必要最小限にとどめ、箱形状や梯子状の簡略化した矩形形状を許容する( 3)上下部接続部・4)付帯構造 参照)。
3)上下部接続部
上下部接続部は、詳細度300 の場合、複雑なモデルを作成する必要があるため、矩形形状などでの適切な精度の簡略化を行うなどの緩和処置が望ましい。詳細情報は、参照情報の紐付けにより詳細図面等を参照できるようにし、設計趣旨の伝達や設計の閲覧など後利用の有効性を考慮する。
なお、メーカー製品の場合の詳細図面は、コンプライアンスの観点から製品指定にならないように配慮する。ただし、メーカー製品の図面を参照情報として紐付ける場合は、参考図であること明記する。
・支承
支承は外形形状をモデル化する。鋼上部工の横桁、補剛材等との位置関係を確認する。
また、アンカーバーもモデル化して下部工側の箱抜き形状との取り合いも確認する。その場合のモデルの作りこみは必要最小限の形状を考慮する。
属性情報は、リンクなどを使い、設計反力、移動量等を閲覧できることが望ましい。
・伸縮装置
伸縮装置は、外形形状のモデルを作成する。本体、箱抜き形状を表現することが望ましい。
・落橋防止構造
落橋防止構造は本体、ブラケット等の主桁取付部材の外形形状をモデル化する。他の部材(横桁、補剛材、添架物等)との干渉を確認する。設計で想定する地震時作用力等は、属性情報に付与する。落橋防止構造がRC 構造の場合は、下部工モデルの作成指針を参照する。
上部工に設置する落橋防止構造の属性情報及びリンクを使い、橋台に取付ける部材や箱抜き等の位置と合致することを確認できるようにする。
4)付帯構造
その他付属物(照明、標識、防護柵、遮音壁)や添架物は、外形形状のモデルを作成する。景観検討を行う場合やその目的に応じて、モデルの詳細度を定めるものとする。
・2 次部材、排水装置等
排水桝・排水管は、外形形状のモデルを作成する。
・検査路
【下部構造】
1)本体工
本体工外形は、詳細設計で計画された形状と同等の値を得られる精度のモデルとする。
モデルの作成は、ソリッドモデルで作成することが望ましい。また、支承部の干渉チェックを行う場合、支承アンカーボルトの箱抜き等もモデル化することが望ましい)。
モデルイメージ
現在、ソリッドモデルの互換が完全ではないため、異なるソフト間でデータを移行した場合にサーフェスに変化することが確認されている。この事象を勘案して暫定的な処置としてサーフェスモデルでの作成を許容するものとする。
2)内部配筋
内部配筋は3 次元モデル化の対象としないが、施工が困難とされる過密配筋部の鉄筋干渉チェックを目的として、3 次元モデル化することは、施工時の手戻りを防止する方策として有効である。
過密配筋部を3 次元モデル化する場合は、当該部の詳細をわかりやすくするために、主鉄筋・配力筋等、種別ごとに色分け等を行うとよい。なお、配筋モデルの作成範囲は、受発注者間協議により決定することを基本とする。
3)鉄筋継手
鉄筋継手も3 次元モデル化の対象としないが、継手の種別(重ね継手、圧接継手、機械式継手など)や継手位置などを属性情報として付与するものとする。
4)支承箱抜き(下部工)
支承箱抜きは、アンカーボルトを介して支承本体との位置関係の確認を容易とするため、3 次元モデル化の対象とすることが望ましい。
当該部位は支承箱抜き、橋座及び梁・柱鉄筋の3 次元的な干渉チェックを行う場合に、3 次元モデルが発揮する効果が大きいため、3 次元モデル化は施工時の手戻りを防止する方策として有効である。
モデルイメージ(詳細度400)
4.河川構造物編
(1)3 次元モデル成果物の対象
3 次元モデル成果物の対象として、従来の2 次元設計成果物との対応で示したものを下表に示す。3 次元モデル成果物の詳細度が300 のため、平面図、縦断図、横断図、本体工一般図、基礎工一般図、付帯工一般図に相当するものが、3 次元モデルとして表現される。
表 従来の2 次元設計成果物と3 次元モデル成果物の対応関係(河川編)
2 次元設計成果物 | |||||
設 計 種 別 | 設 計 項 目 | 成果物項 目 | 縮尺 | 種類 | 参照情 報とし て紐付 け |
詳 細 設 計 | 設 計 図 | 位置図 | 1:2500~1 :50,000 | 護岸、樋門・堰・水門・ 排水機場、床止め | - |
平面図 | 1:500 ~ 1:1000 | 護岸、樋門・堰・水門・ 排水機場、床止め | 〇 | ||
縦断図 | V=1:50~1:100 | 護岸、樋門・堰・水門・ 排水機場、床止め | 〇 | ||
H=1:200~1:1000 | |||||
標準横断図 | 1:50~1:100 | 護岸、樋門・堰・水門・ | 〇 | ||
排水機場、床止め | |||||
横断図 | 1:50 ~ 1:200 | 護岸、樋門・堰・水門・ 排水機場、床止め | 〇 | ||
本体工一般図 | 1:100 ~ 1:1000 | 護岸、樋門・堰・水門・排水機場、床止め | 〇 | ||
本体工構 | 1:20 ~ | 護岸、樋門・堰・水門・ | 〇 | ||
造詳細図 | 1:100 | 排水機場、床止め | |||
基礎工一般図 | 1:100 ~ 1:1000 | 護岸、樋門・堰・水門・排水機場、床止め | 〇 | ||
基礎工詳 | 1:20 ~ | 樋門・堰・水門・排水 | 〇 | ||
細図 | 1:200 | 機場 | |||
機電設備 | 1:20 ~ | 護岸、樋門・堰・水門・ | 〇 | ||
詳細図 | 1:100 | 排水機場、床止め | |||
付帯工一般図 | 1:100~1:1000 | 護岸、樋門・堰・水門・排水機場、床止め | 〇 | ||
付帯工詳 | 1:20 ~ | 護岸、樋門・堰・水門・ | 〇 | ||
細図 | 1:100 | 排水機場、床止め | |||
建屋構造 | 1:20 ~ | 樋門・堰・水門・排水 | 〇 | ||
詳細図 | 1:100 | 機場 | |||
配筋図 | 1:50 ~ 1:100 | 護岸、樋門・堰・水門・ 排水機場、床止め | 〇 | ||
土工図 | 1:100 ~ 1:200 | 護岸、樋門・堰・水門・ 排水機場、床止め | 〇 | ||
仮設構造 | 1:100 ~ | 護岸、樋門・堰・水門・ | 〇 | ||
物詳細図 | 1:200 | 排水機場、床止め |
3 次元モデル成果物 | ||
対象 〇:対象 -:未対象 | 詳 細 度 | 摘要 |
- | - | 2 次元図面の みとする |
〇 | 200~ 300 | |
〇 | - | 道 路 中 心 線 形 は モ デ ル 化する。 |
- | - | 2 次元図面の みとする。 |
〇 | - | 断 面 形 状 よ り、3 次元モ デ ル を 作 成 する。 |
〇 | 300 | |
- | - | 2 次元図面の みとする |
○ | 300 | |
- | - | 2 次元図面の みとする |
- | - | 部品等(詳細 度 400)は参 照 情 報 と し て取り扱う。 |
- | - | |
- | - | 2 次元図面の みとする |
- | - | 部品等(詳細 度 400)は参 照 情 報 と し て取り扱う。 |
- | - | 配筋図等(詳 細度 400)は 参 照 情 報 と して扱う。 |
○ | 200~ 300 | |
適宜 | 200~ 300 | 指 定 仮 設 の 場合、作成す る。 |
(2)3 次元モデルの作成上の留意点
【河川堤防】
1)3 次元モデルと付随する平面図の留意点
- 堤防形状が認識できる3D サーフェスとは、3 点の頂点(XYZ)をもっている3D 面のことである。
- 堤防形状は、後工程(ICT 施工および積算)を考慮するため、余盛りを考慮した施工断面も作成する。
- 施工管理、維持管理上必要となる距離標等の指定測点(断面)を明示し、完成堤防断面、定規断面および計画高水位(H.W.L)を表示した2 次元図面を参照情報として紐付ける。
- 3 次元化に伴う作業量とその活用効果(検討や後工程でのユースケース)を考慮し、3 次元モデル成果物の内容を決定する。
2)3 次元モデルの省略できる内容
- 護岸、付帯、小口止め工構造物周辺の細部や小構造物などの3 次元モデルの作成については、設計活用(景観検討・関係機関協議等)や後工程での活用ケースを確認し、活用効果が小さいと判断された場合は、3 次元モデルから2 次元図面を外部参照することで省略する。
- 堤防と一体となる構造物や付帯工モデルは、簡略化した矩形形状もしくは面形状を認めるものとし、3 次元モデルに配置・外形形状が分かるようにするとともに、そのモデルに属性情報の付与並びに2 次元図面を参照情報として紐付けを行うものとする。
・堤防法線を3Dポリライン
(押し出しパスとして使用)。
・堤防形状がわかる3D面(サ
ーフェスもしくは3 次元座
標)。
・堤防と一体で築堤する坂路工
等は、堤防モデル(3D)で統
合する。
・堤防と一体化する構造物およ
び付帯工は、外形形状を簡略
化した矩形形状もしくは面形
状を認めるものとし、堤防モ
デルに反映する。ただし、そ
のモデルに属性情報の付与並
びに2 次元図面に参照情報と
して紐付けを行うものとす
る。
【樋門・樋管】
1)3 次元モデルと付随する一般図、構造一般図の留意点
- 3 次元モデルの側面および平面的な表示は2 次元図面と整合させる。
- 3 次元モデルから切り出して作成した断面図が2 次元図面と整合する指定測点(本体長など)を明示すること。(指定位置における断面は整合させること)
- 指定測点での任意断面抽出時に切り出した図形の構造高を一致させるために各変化点のXYZ は、構造図に示されている構造高と一致しておく必要がある。
2)3 次元モデルの省略できる内容
- 3 次元モデルの作成内容については設計活用(景観検討等)や後工程での活用ケースを考慮し、内容について協議する。
- 配筋図などについては、3 次元化に伴う手間が大きいことから、作成については後工程での活用ケースを考慮し、作成内容について協議する。
- ゲート設備、付帯施設および電気設備の作成するモデルについては、簡略化した矩形形状を認めるものとする。ただし、そのモデルに属性情報の付与並びに2D 図面リンクを行うものとする。
・各設計段階の数量計算書に対応し
たモデル化。
・モデル化の区分は数量計算書の最
小単位とする。
・樋門・樋管本体とコンクリート躯
体形状に関連するゲートの箱抜
き等はモデル化。
・内部配筋はモデル化の対象に含め
ないが、属性情報は、参照情報に
て2 次元図面の紐付けにより付与
する。
・築堤および条件護岸は、築堤・護
岸に準じてモデル化。
・指定仮設となる仮締切工は、位置
と高さを3 次元でモデル化。
(3)3 次元モデル作成の詳細
1)河川堤防
・河川堤防
作成するモデルは、詳細設計で算出された数量計算結果と同等の値を得られる精度のモデルとする。なお、モデルの作成はサーフェスモデルで作成することが望ましい。
・堤防
堤防は、法線(一般的には川表側法肩)で平面および縦断線形を定めることから、法線を3D ポリラインとして押し出しパスとして作成することを基本とする。
また、堤防と一体として築堤を行う坂路工等は、堤防と個別にサーフェスモデルで作成することは可能であるが、堤防モデルと一体化を行うこと。
また、堤防の外形に影響する以下の構造物は、簡略化した矩形形状もしくは面形状を認めるが、堤防3D モデルに配置・外形形状を反映するとともに、そのモデルに属性情報の付与並びに2 次元図面を参照情報として紐付けを行うものとする。
3D モデルの例:堤防、築堤を行う坂路工・管理用通路、高水敷等簡略化する堤防と一体となる構造物の例:
天端舗装、のり覆工(護岸)、特殊堤、堤脚保護工、樋門・樋管等
<留意事項>
維持管理上必要な、完成堤防断面、定規断面および計画高水位(H.W.L)については、距離標毎に2 次元図面を参照情報として紐付けすることとし、3 次元モデルへの取入れは、発注者間で協議を行い決定する。
計画高水位(H.W.L)は、護岸工や余裕高の関係性、比較的容易にモデル作成が可能であることから、3 次元モデルに加えることが望ましい。
・付帯工
次に示す付帯工は、プレキャスト等の既製品を用いることが多く、堤防との位置関係が重要である。そのため、堤防3D モデルへの配置・外形および属性情報を入力する。
付帯工の作成するモデルについては、簡略化した矩形形状及び面形状を認めるものとする。ただし、そのモデルに属性情報の付与並びに2 次元図面を参照情報として紐付けを行うものとする。
堤脚水路、階段工、基礎工(地盤改良工、漏水防止工、ドレーン工)、埋設配管、距離標、CCTV、境界杭、管理用設備
・仮設工
任意となる仮設工は、対象外とする。ただし、堤防開削に伴う仮締切工は、「樋門・樋管」の仮設工に準ずる。
2)樋門・樋管
・樋門・樋管本体
本体工外形はソリッドモデルとする。また、樋門・樋管本体とコンクリート躯体形状に関連するゲートの箱抜き等もモデル化する。本体工外形は、詳細設計で計画された数量計算結果と同等の値を得られる精度のモデルとする。
モデルイメージ
・内部配筋
内部配筋は3 次元モデル化の対象としないが、施工が困難とされる過密配筋部の鉄筋干渉チェックを目的として当該3D モデル化することは、施工時の手戻りを防止する方策として有効である。
過密配筋部を3 次元モデル化する場合は、当該部の詳細をわかりやすくするために、主鉄筋・配力筋等、種別ごとに色分け等を行うとよい。
・遮水矢板
遮水矢板は、一般的には市販の鋼矢板を用いるため規格・配置および長さが分かれば、積算および施工は可能である。そのため、作成するモデルについては、簡略化した矩形形状及び面形状を認めるものとし、そのモデルに属性情報の付与並びに2 次元図面を参照情報として紐付けを行うものとする。
<留意事項>
遮水矢板の長さは、地質的条件により決定されることから、条件明示のため、ボーリング柱状図および地質図の2 次元図面の紐付けを必須とし、必要に応じて準3 次元地盤モデルを表示しても良い。
・継手・目地
継手・目地は、一般的には市販品を用いるため規格・配置および長さが分かれば、積算および施工は可能である。そのため、作成するモデルについては、簡略化した矩形形状及び面形状を認めるものとし、そのモデルに属性情報の付与並びに2D 図面リンクを行うものとする。
・基礎工
基礎工は、本体および遮水矢板との取り合いや規格・配置および長さが分かれば、積算および施工は可能である。そのため、作成するモデルについては、簡略化した矩形形状及び面形状を認めるものとし、そのモデルに属性情報の付与並びに2D 図面リンクを行うものとする。
<留意事項>地質条件の明示は、遮水矢板に準じる。
・その他構造物
ゲート設備、付帯設備および電気設備は、メーカー等に発注する2 次製品のため、出来形が設計図面と異なる。そのため、設計時おいて3 次元化は手間となる必要はないが、積算・発注時の必要諸元や土木構造物との取り合いを明確する必要があるため、作成するモデルについては、簡略化した矩形形状及び面形状を認めるものとし、そのモデルに属性情報の付与並びに2 次元図面を参照情報として紐付けを行うものとする。
ゲート設備:扉体、戸当り金物、箱抜き、開閉装置
付帯設備:管理橋、上屋、転落防止策、取付・接続水路、階段
電気設備:操作盤、計測盤、配線