土木工事数量算出要領(案)に対応するBIM/CIM モデル作成の手引き(案)令和4年3月 国土交通省 | 電子納品サポート

土木工事数量算出要領(案)に対応するBIM/CIM モデル作成の手引き(案)令和4年3月 国土交通省

※当サイトにはアフリエイト広告が含まれています。

【改定履歴】

  名称  年月  備考
土木工事数量算出要領(案)に対応する BIM/CIM モデル作成の手引き(案)  令和 2 年 3 月  制定
土木工事数量算出要領(案)に対応する BIM/CIM モデル作成の手引き(案)  令和 4 年 3 月  一部改定

1.はじめに

1.1 本手引きの位置付け・目的

 『土木工事数量算出要領(案)に対応するBIM/CIM モデル作成の手引き(案)』(以下、「本手引き」という。)は、『土木工事数量算出要領(案)』、「第1 編 共通編」の「1.10 BIM/CIM モデルによる数量算出」に基づき、BIM/CIM モデルを用いて工事数量算出を行う際の手順や留意事項等を、参考事例を用いて解説するものである。
 『土木工事数量算出要領(案)』では、数量算出を目的としたBIM/CIM モデルの考え方を記載している。例えば、個数や長さ、面積を算出するものに対しては、ソリッドモデルでなく、ポイント(点)、ポリライン(線)、サーフェス(面)等の簡易なモデルで作成しても良いとしている。また、官積算上考慮するが、数量算出の必要がないものに対しては、BIM/CIM モデルを作成しない。なお、現状の3次元CAD ソフトウェアの機能から、3 次元モデルの作成手間と数量算出の効率化を比較し、全体として効率化につながる方法がある場合は、BIM/CIM モデルを作成して数量算出を行うものとする。また、本手引きの記載例は、あくまでも一例であり、個々の3 次元CAD ソフトウェアの機能を使用した工事数量算出方法や従来の2 次元図面からの工事数量算出方法(または、併用)を妨げるものではない点に留意されたい。

1.2 適用範囲

本手引きは、『土木工事数量算出要領(案)』「第1 編 共通編」の「1.10 BIM/CIM モデルによる
数量算出」に基づき、BIM/CIM モデルを用いて工事数量算出を行う際に適用する。
本手引きでは、『土木工事数量算出要領(案)』「第1 編 共通編」に示す「土構造物」、「コンクリー
ト構造物」と「鋼構造物」を解説対象の構造物とする。

1.3 本手引きの構成

本手引きの構成は下表の通りである。

表1-1 本手引きの構成

概要
第 1 章   はじめに本手引きの位置づけ・目的、適用範囲、手引きの構成について解説。
第 2 章   土構造物の数量算出数量算出を目的とした土構造物の BIM/CIM モデルの作成方法や手順、 考え方等を解説。
第 3 章   コンクリート構造物 の数量算出数量算出を目的としたコンクリート構造物の BIM/CIM モデルの作成 方法や手順、考え方等を解説。
第 4 章   鋼構造物の数量算出数量算出を目的とした鋼構造物の BIM/CIM モデルの作成方法や手順、 考え方等を解説。
第 5 章   数量集計表様式(案)数量算出結果を集計する書式について解説。
第 6 章   参考文献参考文献、参考となるソフトウェアのホームページへのリンク等を掲 載。

第2 章から第4 章の解説に用いたサンプルファイルを以下に示す。なお、サンプルファイルは「BIM/CIM ポータルサイト(国土交通省)」より、入手することができる。
【掲載URL】 http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcimindex.html


表 1-2 サンプルファイル

土構造物
 01_サンプルモデル(土構造物)J-LandXML(Ver.1.3)XML、PDF
02_数量集計表(土構造物)Excel
03_数量集計表様式(土構造物)Excel
コンクリート構造物
 01_サンプルモデル(コンクリート構造物)橋台IFC、PDF
02_数量集計表(コンクリート構造物)橋台Excel
03_数量集計表様式(コンクリート構造物)橋台Excel
鋼構造物
【鋼橋単純合成鈑桁橋】
 01_サンプルモデル(鋼構造物)鋼橋単純合成鈑桁橋IFC
02_数量集計表(鋼構造物)鋼橋単純合成鈑桁橋Excel
03_数量集計様式(鋼構造物)鋼橋単純合成鈑桁橋Excel※一部数量を抜粋
【鋼橋非合成少数鈑桁】
 01_サンプルモデル(鋼構造物)鋼橋非合成少数鈑桁IFC
02_数量集計表(鋼構造物)鋼橋非合成少数鈑桁Excel
03_数量集計表様式(鋼構造物)鋼橋非合成少数鈑桁Excel※一部数量を抜粋

2.土構造物の数量算出

本章の「2.1 BIM/CIM モデルによる数量算出」では、サーフェスモデルを用いたBIM/CIM モデルの
作成と数量算出方法を解説する。「2.2 数量算出(例)」では、3 次元CAD ソフトウェアの機能を用いた
BIM/CIM モデルの作成方法と数量算出の事例を紹介する。なお、事例では、数量算出要領で記載された
サーフェスモデルを用いた算出と、『LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準(案)Ver.1.5(-
略称:J-LandXML-)令和4 年3 月』を用いたBIM/CIM モデルによる平均断面法を用いた数量算出
(例)を解説する。

2.1 BIM/CIM モデルによる数量算出

 本節では、『土木工事数量算出要領(案)』に基づきBIM/CIM モデルによる数量算出を実施する場合の、土構造物のBIM/CIM モデル作成と数量算出方法を解説する。
 土構造物の数量算出に用いるBIM/CIM モデル(サーフェスモデル等)は、地表面や地層面をモデル化した「3 次元地盤モデル」と「掘削」における施工基面又は法面や「盛土」における路床面又は法面等をモデル化した「土工モデル」である。これらのモデルを重ね合わせて、各面の標高差分を用いる点高法等により、土構造物の数量を算出することを原則としている。なお、官積算では、盛土の施工幅、切土の切取幅を区分し数量を求めることになっているが、これらを正確にBIM/CIM モデル(サーフェスモデル等)にすることは難しい場合があり、これらの対応については数量算出例で解説する。

図 2-1 BIM/CIM モデルによる数量算出(土構造物)

土工(掘削、盛土)や残土処分の数量は、3 次元地盤モデルに現地盤線や施工基面(計画路床・
河床面)等を表現した土工モデルや構造物モデル等を重ね合わせ、その体積の差分等により算出
する。

2.1.1 3 次元地盤モデル(土質区分)

「3 次元地盤モデル」は、地表面の地形及び地盤内の土質区分を3 次元でモデル化したものである。地形の3 次元モデルは、3 次元測量等から求められる点群データから、サーフェスを作成して3 次元モデルとする。地盤内の土質区分は、サーフェスモデル又は、連続面モデルで境界面を表現する。

このうち、サーフェスモデルは、地質調査業務等の地質・土質調査の成果であり、ボーリング結果を含む様々な地盤情報を地質学的な解釈を加えて総合的に作成されたものである。しかしながら、道路事業等ではボーリング本数が少なく、またボーリングを補完する物理探査等も十分に行われない場合があるため、地質・土質調査で3 次元地盤モデル(サーフェスモデル)が作成されないことが想定される。このため、従来どおり数量算出を目的とした地盤内の土質区分を設計段階でモデル化する。

そこで、設計段階で数量算出のために作成される連続面モデルを考える。連続面モデルは、ボーリングデータ等に基づいて各測点での土質区分の横断面を作成し、断面間を一次比例で補完して作成した土質境界面をサーフェスモデルで表現したものである。

なお、連続面モデルは上記作成方法で示したように、横断面位置のボーリングデータから推定した地質横断面から機械的にサーフェスモデルを作成したものであり、精度の高い3 次元地盤モデルとは言い難い。平均断面法と同等の精度で数量の算出が出来る可能性はあるものの、少ないボーリングデータ等から推定したモデルであることから、施工時に異なる土質境界面が現れることもあるため、適宜設計変更等で対応していくことに留意する。

『LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準(案)Ver.1.4(-略称:J-LandXML-)令和3 年3 月』では、地形線を用いた地層表現が可能となるように拡張されている。

図 2-2 3 次元地盤モデル

2.1.2 土工モデル(施工方法・施工幅員)

(1)掘削

1)道路

 片切掘削等における切取幅(数量算出区分に応じた幅)の境界面は、サーフェスモデル等を用いて表現する。切取幅の境界面サーフェスは、平均断面法と同様に切り出した断面で切取幅(5.0m)の境界線を作成し、複数の断面間の空間にサーフェスモデルを作成する3 次元CAD ソフトウェアの機能により接続したものである。
 なお、切取幅が消滅するような法面端部等では、厳密に切取幅の消滅位置を推定するのは難しい。このため、切取幅(5.0m)のサーフェスモデルの作成は切取幅が存在する測点まででよい。
数量算出においては、切取幅(5.0m 以上)のサーフェスモデルに加え、施工基面に切取幅(5.0m以上)のサーフェスモデルが必要となる場合がある。また、オープンカットと片切の施工区分ごとに集計できるように境界面に属性情報を付与する。

図 2-3 道路(掘削)サーフェス

2)河川

 現況及び計画のそれぞれで、構造物(築堤、高水敷、低水路等)のBIM/CIM モデル(サーフェスモデル)を作成し、構造物ごとに数量が集計できるように、それぞれのBIM/CIM モデルに属性を付与する。また、土質区分ごとに集計できるように、掘削する現況線(サーフェスモデル)にも土質区分を属性情報として付与する。なお、設計段階で盛土に利用する土質が分からない場合はその限りでない。
 堤防横断構造の作業土工の場合、河川構造物堤防横断構造物のA 領域、B 領域を区別する機区分の境界面は、サーフェスモデル等を用いて表現する。


図 2-4 作業土工(河川構造物)サーフェス

(2)盛土

1)道路

 盛土の部位ごとにBIM/CIM モデル(サーフェスモデル)を作成し、部位ごとに数量が集計できるように属性を付与する。
路体盛土及び路床盛土の施工幅員(数量算出区分に応じた幅)は、サーフェスモデル等を用いて表現する。施工幅員の境界面のサーフェスモデルは、平均断面法と同様に切り出した断面で施工幅員の境界線を作成し、複数の断面間の空間にサーフェスモデルを作成する3 次元CAD ソフトウェアの機能により接続したものである。
なお、施工幅員が消滅するような法面端部等では、厳密に施工幅員の消滅位置を推定するのは難しい。このため、施工幅員(4.0m、2.5m)のサーフェスモデルの作成は施工幅員が存在する測点まででよい。また、施工幅員(4.0m 以上)のサーフェスモデルも数量算出には必要であるが、盛土や路床上面を施工幅員(4.0m 以上)のサーフェスモデルとする。
数量算出において、施工幅員2.5m未満、施工幅員2.5m以上4.0m 未満、施工幅員4.0m 以上が集計できるように境界面に属性情報を付与する。

2)河川

構造物(築堤、高水敷、低水路等)及び盛土の部位(築堤盛土、土羽土)ごとにBIM/CIM モデル(サーフェスモデル)を作成し、構造物及び部位ごとに数量が集計できるように属性を付与する。
築堤盛土の施工幅員(数量算出区分に応じた幅)について、上記の道路盛土と同様の方法で形状モデル、属性情報を作成する。

2.2 数量算出(例)

本節では、現状の3 次元CAD ソフトウェアで実施可能な数量算出例を解説する。
道路や河川堤防といった土構造物のBIM/CIM モデルを構築する3 次元CAD ソフトウェアは、平面線形に沿って断面を配置してBIM/CIM モデルを作成して、数量算出するのが一般的である。そこで、3 次元CAD ソフトウェアを用いた横断面の作成と配置、横断面を接続したサーフェスモデルの作成の事例を紹介する。

また、施工方法、施工幅員の境界面が複雑となり、サーフェスモデルの作成が困難な場合のBIM/CIMモデルによる土構造物の数量算出として、『LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準(案)通称:-J-LandXML-』を使用した例を解説する。

J-LandXML は、国土交通省の道路事業、河川事業の設計及び工事において、i-Construction の一環であるBIM/CIM 活用業務・工事で必要となる交換すべき3 次元設計データの形式を定めた仕様である。J-LandXML では道路分野で対象とする要素は、「中心線形(平面線形、縦断線形、縦断地盤線)」「横断形状(道路面、土工面、横断地盤線等)」「サーフェス(道路面、路床面、路体面、法面等や地形、地層)」等である。J-LandXML(Ver.1.5)では、新たに数量属性を横断形状に保持できる。

表 2-1 LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準(案)の改定概要

改定年月資料名改定概要
平成 31 年 3 月LandXML1.2 に準じた 3 次元設計デー タ交換標準(案)Ver.1.3 
令和 3 年 3 月LandXML1.2 に準じた 3 次元設計デー タ交換標準(案)Ver.1.4土質区分対応、保護路肩や平場などの追 加、複数線形へのサーフェスの関連付け
令和 4 年 3 月LandXML1.2 に準じた 3 次元設計デー タ交換標準(案)Ver.1.5拡幅属性の追加、数量属性の追加、横断 勾配定義の見直し

本節の解説に使用しているサンプルファイルを以下に示す。なお、サンプルファイルは「BIM/CIMポータルサイト(国土交通省)」より、入手することができる。

【掲載URL】
http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcimindex.html

表 2-2 サンプルファイル

土構造物
 01_サンプルモデル(土構造物)J-LandXML(Ver.1.3)XML、PDF
02_数量集計表(土構造物)Excel
03_数量集計表様式(土構造物)Excel

2.2.1 BIM/CIM モデルならびに属性情報として付与する数量算出項目及び区分

(1)BIM/CIM モデル

解説に用いる土構造物(道路)のBIM/CIM モデルを下図に示す。

図 2-5 サーフェスモデルでの表示例

(2)数量算出項目及び区分

BIM/CIM モデルに付与する属性情報のうち、数量算出の区分を下表に示す。
解説する数量算出項目は、土工(掘削)と土工(盛土)である。

1)土工

土工のBIM/CIM モデルに付与する数量算出項目及び区分(属性情報)を下表に示す。

表2-3 数量算出項目及び区分(土工)

区分 項目  土質  施工方法  施工幅員  単位  数量  備考
掘削〇※1〇※2 m3  
路体(築堤)盛土  〇※3m3  
路床盛土  〇※4m3  

2)土工(ICT)

土工(ICT)のBIM/CIM モデルに付与することによる数量算出項目及び区分(属性情報)を下表に示す。

表2-4 数量算出の項目及び区分(土工(ICT))

区分 項目  土質  施工方法  施工幅員  単位  数量  備考
掘削〇※5〇※6 m3  
路体(築堤)盛土   m3  
路床盛土   m3  

それぞれの区分に対する属性値は、以下から選択する。(かぎ括弧は属性値)

※1:土工 掘削の土質区分 :「土砂」「岩塊・玉石」「軟岩」「硬岩」
 2:土工 掘削 施工方法 :「オープンカット」「片切掘削」「水中掘削」
             「現場制約あり」「上記以外(小規模)」
 3:土工 路体(築堤)盛土の施工幅員 :「2.5m 未満」「2.5m 以上4.0m 未満」「4.0m 以上」
 4:土工 路床盛土の施工幅員 :「2.5m 未満」「2.5m 以上4.0m 未満」「4.0m 以上」
 5:土工(ICT) 掘削の土質区分 :「土砂」「岩塊・玉石」
 6:土工(ICT) 掘削の施工方法 :「オープンカット」「片切掘削」

2.2.2 BIM/CIM モデルの幾何形状の作成と属性情報の付与

(1)路床面、路体面のサーフェスモデル作成

土工数量算出の対象となる路床面、路体面のサーフェスモデルの作成を以下に示す。

1)断面の作成、配置

J-LandXML に対応したサーフェス(路床面、路体面、法面)は、情報化施工に必要な断面に分けて作成し、路床面、路体面、法面から複数の断面間の空間に3 次元CAD ソフトウェアの機能により接続して土工のサーフェスモデルを作成する。
断面は、測点毎に配置することを基本とするが、盛土と切土の境界、幅員や勾配が変化する変化点にも配置する。

図 2-6 断面(路床面)の配置

2)断面間の接続

J-LandXML に対応したソフトウェアでは自動的に断面間の接続を行い、かつ切盛境の断面などを新たに追加することもできる。

図 2-7 路床面を断面間で接続

(2)施工方法・施工幅員の境界面のサーフェスモデル

前述2.2.2 の(1)で示した路床面、路体面の形状モデルに加えて、施工方法の区分としての切取幅、施工幅員の境界を表現するサーフェスモデルの作成方法を以下に示す。
施工方法の切取幅や施工幅員は地形の凹凸の影響を受けやすく、境界線が断面間で連続しない場合が多い。一般的な3 次元CAD ソフトウェアでは、断面間の境界線の推移を割り切って一次比例で断面間を補完して接続して境界面を表現する。しかしながら、正確にサーフェスモデルを作成することが難しい場合がある。その場合は、3 次元モデルの作成手間と数量算出の効率化を比較して、3 次元モデルの作成手間が効率化を上回る場合は、従来の2 次元図面からの数量算出を行う。

現在のJ-LandXML の仕様では施工方法と施工幅員をサーフェスモデルで表現する要素は定義されていないが、J-LandXML に対応した3 次元CAD ソフトは、断面間を複数の断面間の空間にソリッドモデルまたは、サーフェスモデルを作成する機能によりBIM/CIM モデルが構築できる機能があるので、その機能を用いると構築は可能である。ここで、施工幅員が消滅するような法面端部等では、厳密に施工幅員の消滅位置を推定するのは難しいことが課題であるが、切取幅(5.0m)や施工幅員(4.0m、2.5m)のサーフェスモデルの作成は、それが存在する測点まででよいとすれば、現状の3 次元CAD ソフトウェアの機能を使用して数量算出可能なBIM/CIM モデルを作成することができる。

以下に、切取幅(5.0m)の境界線をロフトなどの3 次元CAD ソフトの機能により一次補完で接続したサーフェスモデルの例(切取幅が存在する測点まで作成)を示す。

図 2-8 切取幅のサーフェスを一次補完で接続作成した例(1/2)

作成したサーフェス間の比較により、土質区分や施工方法を考慮した数量の算出ができる。

図 2-9 切取幅のサーフェスを一次補完で接続作成した例(2/2)

(3)数量算出

3 次元CAD ソフトウェアを用いた数量算出例を以下に示す。

1)点高法

 『土木工事数量算出要領(案)』では、BIM/CIM モデルによる数量算出(土構造物)の算出方法として、「点高法」、「TIN 分割を用いて求積する方法」、「プリズモイダル法」と「その他算出結果を確認できるもの」が示されている。
 ここでは、J-LandXML を用いてサーフェスモデルを作成し、「点高法」を用いて数量算出した例を説明する。「点高法」には、メッシュ交点の四隅の標高差を平均する「4 点平均法」とメッシュ交点にて標高差を算出する「1 点法」がある。サーフェス間の体積を「点高法」を用いて求める場合には、標高差の取り方の違いにより「4 点平均法」と「1 点法」では、体積が異なる場合がある。

 このため、「点高法」を用いる場合には、「4 点平均法」と「1 点法」のどちらを使用して数量算出したかを明らかにしておくことに留意する。

 以下に、「4 点平均法(1メッシュ0.25 ㎡)」の例を記載する。

図 2-10 点高法(4 点平均法)

2)平均断面法

 道路設計等に特化した3 次元CAD ソフトウェアでは、情報化施工に必要な横断面を作成し、作成された横断面を用いて3 次元サーフェスモデルが作成される。これらのソフトウェアでは、作成された横断面データを用いて平均断面法により、土工数量の算出が可能である。

 また、J-LandXML(Ver.1.5)では、各断面の施工幅員別の面積と平均断面法により求められた「土量」のデータが交換できるように拡張が図られている。

 このため、道路設計等に特化した3 次元CAD ソフトウェアで、横断面を道路中心線系に直交して配置する準3 次元断面モデルを用いて、平均断面法で土工数量を算出することができる。

3.コンクリート構造物の数量算出

3.1 BIM/CIM モデルによる数量算出

 本節では、『土木工事数量算出要領(案)』に基づくコンクリート構造物の具体的なBIM/CIM モデルの作成と数量算出方法を解説する。

 コンクリート構造物の数量算出に用いるBIM/CIM モデル(ソリッドモデル等)は、正確な幾何形状を再現した『A:体積を算出する項目』、簡易な幾何形状と属性情報を併用し『B:「長さ」、「面積」や 「個数」を算出する項目』、官積算時に『C:「必要性の有無」を確認する項目』及びBIM/CIM モデルの数量算出の『D:対象外とする項目』に分類される。

 ここで、それぞれの項目でBIM/CIM モデルによる数量算出方法が分類されていることから、数量算出に適したBIM/CIM モデルを作成し数量を求めることを基本とする。しかし、積算においては数量算出の区分が定められているが、詳細設計時に未確定な施工条件(養生工、夜間割増の有無 等)などがあるため、詳細設計時に必要な属性情報を定めて付与するものとする。

【BIM/CIM モデルによる数量算出】

A:「体積」を算出する項目
  BIM/CIM モデルを用いて位置と体積を算出し、属性情報を用いて規格や仕様等を区分する。
B:「長さ」、「面積」や「個数」を算出する項目
  簡易な幾何形状(点、線、面)を用いて位置、延長や面積を算出し、属性情報を用いて規格や仕様等を区分する。鉄筋等に適用する。
C:積算上考慮すべき材料等について「必要性の有無」を確認する項目
  官積算時に率計上する必要があるかないかを確認する項目。必要性の有無にかかわらずBIM/CIM モデルの作成は不要であるが、官積算時に参照できるよう、注記を付与して確認できるようにすること。
D:対象外とする項目
  運搬量や破砕量および、処分費や除雪などの巡回回数や作業時間を算出する項目等については、BIM/CIM モデルを用いた数量算出の対象外とする。

  なお、上記は、BIM/CIM モデルによる数量算出を行う際の基本的な分類を示すものであり、必要に応じて「B」や「C」に分類されている項目に「A」や他の数量算出方法を用いることを妨げるものではない。

 『土木工事数量算出要領(案)』の「BIM/CIM モデルによる数量算出」は、その作成労力を考慮し、数量算出の精度を落とすことなく簡易なモデルでも作成できることを方針としている。このため、鉄筋や水抜きパイプの「長さ」、基礎砕石や型枠の「面積」を算出する項目は、簡易な幾何形状により数量を求めることもできることから「B」に分類されている。なお、「必要性の有無」に「〇」のある項目は、設置の必要性がある場合であっても歩掛の率計上で積算して数量算出は不要であることから「C」に分類されている。また、数量算出においてBIM/CIM モデルは不要であっても、積算する上では「有」「無」の確認が必要なことから、注記等で確認できるようにされている。さらに、設置の必要性があってBIM/CIM モデルを作成して注記等で「有」ことを表現した場合は、積算する際に誤って合算しないように、属性情報を付与して積算上考慮すべき材料であることを区分できるようにする必要がある。

 足場や型枠などは歩掛に含まれているが、特別な足場や型枠を使用に際しては別途計上する場合、あるいは、一般の足場や型枠、水抜きパイプでも構造物によっては別途計上する場合があり、この場合はBIM/CIM モデルの作成が必要であり、「A」または「B」の分類を適用する必要がある。

 このように、『土木工事数量算出要領(案)』で「A」または「B」に分類された項目でも、施工条件や構造物によってBIM/CIM モデル作成が不要となる場合もあることから、『土木工事標準積算基準書』を参考にBIM/CIM モデル作成の必要性を判断する。

3.2 数量算出(例)

本節では、現状の3 次元CAD ソフトウェアで実施可能なコンクリート構造物の数量算出例として、「橋台・橋脚工(1)(構造物単位)」を使用した例を解説する。
本節の解説に使用しているサンプルファイルを以下に示す。なお、サンプルファイルは「BIM/CIMポータルサイト(国土交通省)」より、入手することができる。

【掲載URL】
http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcimindex.html

表 3-1 サンプルファイル

コンクリート構造物
【橋台・橋脚工(1)(構造物単位)】
 01_サンプルモデル(コンクリート構造物)橋台(1)IFC 、PDF
02_数量集計表(コンクリート構造物)橋台(1)Excel
03_数量集計表様式(コンクリート構造物)橋台(1)Excel

3.2.1 BIM/CIM モデルならびに属性情報として付与する数量算出項目及び区分

(1)BIM/CIM モデル

解説に用いるコンクリート構造物(橋台・橋脚工(1))のイメージを下図に示す。橋台・橋脚工(1)では、型枠、足場、支保工等は数量算出から除外、基礎コンクリート(厚さ20cm 以下)、均しコンクリートは、数量算出の対象ではないが必要性の有無を確認できるように、注記や属性情報の付与が必要となる構造物である。

図 3-1 コンクリート構造物(橋台)

(2)数量算出項目及び区分

  BIM/CIM モデルに付与する属性情報のうち、数量算出項目及び区分を下表に示す。

表 3-2 数量算出項目及び区分(橋台・橋脚工(1))

区分     項目  BIM/CIM モデル属性情報
  規格必要性の 有無  単位  数量  備考
橋台・橋脚コンクリートA m3  
基礎砕石C   
均しコンクリートC   
鉄筋工B t  

橋脚、橋台のBIM/CIM モデルに付与することよる数量算出の区分(属性情報)を下表に示す。

  • 橋台・橋脚コンクリートの属性情報の規格は生コンクリート規格を付与するものとする。
  • 基礎砕石と均しコンクリートは、必要性の有無を判断するものである。この場合、幾何形状を作成せずに、橋台や橋脚のオブジェクトに対して付与する属性情報を利用して必要性の有無を表現することを基本とする。なお、BIM/CIM モデルの幾何形状を作成することを妨げるものではない。
  • 鉄筋工は、3 次元CAD ソフトウェアの機能で手間を掛けずに3 次元モデルが作成できる場合には、BIM/CIM モデルを作成する。数量付与する属性情報は鉄筋材料規格・径とする。

3.2.2 BIM/CIM モデルの幾何形状の作成と属性情報の付与

 BIM/CIM モデルの作成にあたっては、『3 次元モデル成果物作成要領(案)令和3 年3 月』に記載の通り、幾何形状(オブジェクト)の階層化とこれに合わせた属性情報の付与を行うことが望ましい。階層化したモデル作成により、オブジェクト同士の関係性や属性情報の付与対象が明らかになり、IFC によるデータ交換が容易になるとともに、将来的な自動数量算出や積算との連携等につなげられることが期待される。

(1)区分A(ソリッドからの体積算出)

  1)橋台・橋脚本体コンクリート

 区分A に分類される部材は、BIM/CIM モデル(ソリッドモデル)を用いて位置(部位)ごとに体積を算出する。なお、コンクリート規格ごとに体積の算出ができるように属性情報を付与する。
 積算に使用する区分である養生工、特別な養生、生コンクリートの夜間割り増しの有無と圧送管組立・撤去の有無を算出する必要はない。区分A に類される本体コンクリートの幾何形状を部位別に作成し、属性情報にコンクリート規格を付与した例を以下に示す。

図 3-2 本体コンクリート工(幾何形状)部位別の分類

 区分A に類される本体コンクリートを部位別に作成し、工事関連の属性を設定した事例を以下に示す。本例は、数量算出要領7 章 7.1.1 橋台・橋脚工(1)で示された「高さ区分」「打設量区分」「コンクリート規格」を属性情報として付与した事例となる。なお、「高さ区分」や「打設量区分」については、BIM/CIM モデルより判別できる情報であり、数量集計に必要としない情報であるため、付与する必要はない。

図 3-3 本体コンクリート工(属性情報)の属性情報の付与

2)鉄筋工(区分B であるが、区分A に準拠して作成する場合)

 鉄筋は、3 次元CAD ソフトウェアの機能を利用して作成することを基本とする。付与する属性情報は鉄筋材料規格・径とする。鉄筋は、延長から数量を算出するため区分B に分類されているが、BIM/CIM モデルを数量算出以外の目的で使用する場合(たとえば配筋の干渉チェック等)には、幾何形状を再現したBIM/CIM モデルが必要となる。このため、区分B に分類されている部材であっても、区分A 相当の幾何形状を再現したBIM/CIM モデルを作成してもよい。

 鉄筋(ソリッドモデル)を用いて幾何形状を作成した場合は、鉄筋延長と単位質量を掛けることにより数量を算出する。このため、鉄筋に数量計算に必要な属性(鉄筋延長及び規格仕様、材料規格、鉄筋径、単位質量、鉄筋記号(呼び名)等)を各モデルに付与する。鉄筋工の積算に使用する区分である時間的制約を受ける場合の補正、夜間作業補正、太径鉄筋補正や構造物種別による補正を算出する必要はない。鉄筋をソリッドモデルで表現し、属性情報に鉄筋の種類、規格、単位質量等を付与した例を以下に示す。

図 3-4 鉄筋工(ソリッドモデル)

(2)区分B

1)鉄筋工

 鉄筋は、3 次元CAD ソフトウェアの機能を利用して作成することを基本とする。付与する属性情報は鉄筋材料規格・径とする。鉄筋(ポリライン)を用いて幾何形状を作成した場合は、鉄筋延長(m)に単位質量(kg/m)を掛けることで数量を算出する。この場合、鉄筋の規格仕様、材料規格、鉄筋径などは属性情報で区別する。鉄筋をポリラインで作成し、材料規格・鉄筋記号・鉄筋径の属性をレイヤに設定するとともに、鉄筋延長を求めた例を以下に示す。なお、本例のように属性をレイヤで設定する方法は、いくつかの3 次元CAD ソフトウェアで行われる方法である。

図 3-5 鉄筋工(ポリライン)

2)水抜きパイプ(区分B)

 竪壁内に設置される水抜きパイプをポリラインで作成した例を以下に示す。数量は延長で求めることから、簡易な幾何形状(線)でモデリングした場合、ソリッド要素などに紛れてその存在を確認しにくい場合が多い。このため、レイヤや属性など、他の要素と区別し抽出できるように留意する。

図 3-6 水抜きパイプ(区分B)

(3)区分C

『土木工事標準積算基準書』の「橋台・橋脚工(1)(構造物単位)」の基礎砕石と均しコンクリートは、数量を算出する必要性の有無を判断するものである。この場合、幾何形状を作成せずに、官積算時に参照できるように注記等を付与して確認できることを基本とする。なお、幾何形状を作成することを妨げるものではない。

1)均しコンクリート

注記の代わりにBIM/CIM モデル(ソリッドモデル)を用いて作成した例を以下に示す。均しコンクリートの属性情報には、必要性の有無に「必要」という属性値を付与して、官積算の数量と合算されないようにする。

図 3-7 均しコンクリート(区分C を区分A で作成)

4.鋼構造物の数量算出

4.1 BIM/CIM モデルによる数量算出

本節では、『土木工事数量算出要領(案)』に基づく鋼構造物の具体的なBIM/CIM モデルの作成と数量算出方法を解説する。
鋼構造物の数量算出に用いるBIM/CIM モデル(ソリッドモデル等)は、正確な幾何形状を再現し『Ⅰ:「質量」を算出する項目』、簡易な幾何形状と属性情報を併用し『Ⅱ:「長さ」、「面積」や「個数」を算出する項目』及び主桁間隔、高さや塗装工等のような『Ⅲ:BIM/CIM モデルの属性情報や参照資料より数量算出条件を抽出する項目』に分類される。

【BIM/CIM モデルによる数量算出】

Ⅰ:「質量」を算出する項目

 BIM/CIM モデルを用いて位置とネット質量を算出し、属性情報を用いて規格や仕様等を区分する。台形部材、全長にわたってテーパーのついた部材等に適用する。
 グロス質量を必要とする場合は、属性情報を用いて質量を算出する。ガセットプレートや板厚変化のテーパー等に適用する。

Ⅱ:「長さ」、「面積」や「個数」を算出する項目

 簡易な幾何形状(点、線、面)を用いて位置、延長や面積を算出し、属性情報を用いて規格や仕様等を区分する。溶接延長、ハンドホール、マンホール、ボルト・ナットやボルト孔等に適用する。

Ⅲ:BIM/CIM モデルの属性情報や参照資料より数量算出条件を抽出する項目

主桁間隔や高さ等を算出する項目に適用する。

 なお、上記は、BIM/CIM モデルによる数量算出方法を示すものであり、必要に応じて「Ⅱ」や「Ⅲ」に分類されている項目に「Ⅰ」や他の表現方法を用いることを妨げるものではない。

 BIM/CIM モデルによる数量算出は、作成労力を考慮し、数量算出の精度を落とすことなく簡易なモデルでも作成できることを方針としている。このため、橋梁付属物である排水桝の「個数」、橋銘板取り付けの「枚数」、橋梁用高欄や伸縮装置(2 次製品の場合)の「m」での数量算出項目を「Ⅱ」に分類している。また、「Ⅲ」はBIM/CIM モデルの属性情報や参照資料より数量算出条件を抽出する項目である。

 なお、鋼橋のBIM/CIM モデルは、自動設計一貫システムを活用できる橋梁形式については、LOD300
の3 次元モデルが自動生成され、それに整合した数量計算書を作成可能である。

4.2 数量算出(例)

本節では、現状の3 次元CAD ソフトウェアで実施可能な鋼構造物の数量算出例として、「鋼橋単純合成鈑桁橋」と「鋼橋非合成少数鈑桁」を使用した例を解説する。

本節の解説に使用しているサンプルファイルを以下に示す。なお、サンプルファイルは「BIM/CIMポータルサイト(国土交通省)」より、入手することができる。

【掲載URL】
http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcimindex.html

表 4-1 サンプルファイル

鋼構造物
【鋼橋単純合成鈑桁橋】
 01_サンプルモデル(鋼構造物)鋼橋単純合成鈑桁橋IFC
02_数量集計表(鋼構造物)鋼橋単純合成鈑桁橋Excel
03_数量集計様式(鋼構造物)鋼橋単純合成鈑桁橋Excel※一部数量を抜粋
【鋼橋非合成少数鈑桁】
 01_サンプルモデル(鋼構造物)鋼橋非合成少数鈑桁IFC
02_数量集計表(鋼構造物)鋼橋非合成少数鈑桁Excel
03_数量集計表様式(鋼構造物)鋼橋非合成少数鈑桁Excel※一部数量を抜粋

4.2.1 BIM/CIM モデルならびに属性情報として付与する数量算出項目及び区分

(1)BIM/CIM モデル

 解説に用いる鋼構造物(鋼上部工)のイメージを下図に示す。

図 4-1 鋼構造物(鋼上部工)

(2)数量算出項目及び区分

 BIM/CIM モデルに属性情報として付与する数量算出項目及び区分を下表に示す。
 なお、付属物は「長さ」「面積」「個数」を算出する項目ではないが二次製品の利用を想定して「Ⅱ」に分類されている。これは、二次製品の規格に質量があり、質量を求めるための詳細なBIM/CIMモデルが不要であるとしたためである。二次製品の規格がなく、BIM/CIM モデルを作成して質量を求める場合は「Ⅰ」の分類となる。なお、質量の算出種別として、ネット質量かグロス質量かを属性情報に明記する。

表 4-2 数量算出項目及び区分

区分     項目  構造名称BIM/ CIM モデル属性情報
構造 形式規格  単位  数量  備考
材種材質寸法
鋼材 質量橋  体(連毎に区分)  
付属物支承ⅠorⅡ ㎏ or 個  
高欄ⅠorⅡ ㎏ or m  
防護柵ⅠorⅡ ㎏ or m  
伸縮継手ⅠorⅡ ㎏ or m  
検査路ⅠorⅡ ㎏ or m  
排水装置ⅠorⅡ ㎏ or m  
耐震連結装置ⅠorⅡ ㎏ or 個  

1)橋体

橋体の材料費を算出するために、BIM/CIM モデルを用いて質量を算出し、属性情報を用いて構造形式と規格を区分することより「Ⅰ」を適用する。

  • 橋体は、BIM/CIM モデルの幾何形状の「区分Ⅰ」を適用してソリッドモデルで作成し、部材別の質量を算出する。
  • 橋体の付与する属性情報は構造形式、材種、材質、寸法とする。具体の属性値は、数量算出要領に従う。
  • ボルト・ナット、スタッドジベルは、規格ごとの質量及び本数が拾えるように、属性情報は径及び長さとする。質量を集計する必要がある場合は、BIM/CIM モデルの幾何形状の「区分Ⅱ」を適用する。

2)付属物

  • 耐震連結装置、排水装置、支承、高欄、防護柵、伸縮継手、検査路等の橋梁付属物は、質量を算出できるように「区分Ⅰ」を適用して部材別の質量、個数を算出する。
  • 付属物の部材付与する属性情報は、橋体と同様に構造形式、材種、材質、寸法とする。
  • 橋梁付属物が2 次製品である場合は、個数、長さ等の算出となるため、「区分Ⅱ」の簡易なモデルを作成してもよい。ただし、「区分Ⅰ」を作成するのを妨げない。
  • 付属物が2 次製品である場合に付与する属性情報は、想定する製品の製品名、形式とする。

4.2.2 BIM/CIM モデルの幾何形状の作成と属性情報の付与

 BIM/CIM モデルの作成にあたっては、『3 次元モデル成果物作成要領(案)令和3 年3 月』に記載の通り、幾何形状(オブジェクト)の階層化とこれに合わせた属性情報の付与を行うことが望ましい。階層化したモデル作成により、オブジェクト同士の関係性や属性情報の付与対象が明らかになり、IFC によるデータ交換が容易になるとともに、将来的な自動数量算出や積算との連携等につなげられることが期待される。

(1)区分Ⅰ

 区分Ⅰに分類される部材は、BIM/CIM モデルを用いて位置とネット質量を算出し、属性情報を用いて規格や仕様等を区分する。主構造の鋼材質量算出等に適用する。
 鋼上部工のBIM/CIM モデルの作成方法は、「自動設計システムと呼ばれる一貫システムからの自動生成された3 次元モデルを汎用の3 次元CAD ソフトウェアで追加・修正する方法」と「自動設計システムを活用できない橋梁形式等については、汎用の3 次元CAD で作成する方法」に大別される。

1)専用の3 次元CAD ソフトウェアによる作成例

 専用の3 次元CAD ソフトウェアは、部材の位置、寸法等を属性情報として入力し、自動でBIM/CIM モデルを作成することができるシステムである。下図にシステムのイメージを示す。
 部材質量も、部材ごとに質量が計算できる属性情報を入力されていることから、自動的に求まる。

図 4-2 鋼上部工の自動モデリングシステムの入力画面(抜粋)

図 4-3 BIM/CIM モデルの出力と数量算出

図 4-4 IFC ファイルと属性付与イメージ

2)汎用の3 次元CAD ソフトウェアによる作成例

 汎用の3 次元CAD ソフトウェアを用いて、主桁・横桁・対傾構、上横構、下横構のBIM/CIMモデルを作成し、3 次元空間上に構造物を配置していく。汎用3 次元CAD ソフトウェアで部材や材質、板厚などをレイヤや色分けを行いながらBIM/CIM モデルを作成した例を以下に示す。汎用の3 次元CAD ソフトウェアでは、自動設計システムのように部材を自動で作成はできないが、作成したBIM/CIM モデルに数量算出に必要な属性情報を付与することで、部材質量が計算される。

図 4-5 汎用3 次元CAD ソフトウェアによる作成イメージ

(2)区分Ⅱ

 区分Ⅱに分類される部材は、簡易な幾何形状を用いて位置や延長、面積や個数を算出し、属性情報を用いて規格や仕様等を区分する。溶接延長、ハンドホール、ボルト・ナットやボルト孔等に適用する。汎用の3 次元CAD ソフトウェアを用いて、簡易な幾何形状のボルト(事例ではソリッド)を作成し、部位や材質、サイズなどの属性をレイヤで分類しながら配置し、個数を集計した例
※1を以下に示す。

図 4-6 汎用3 次元CAD ソフトウェアでボルトの個数を集計しているイメージ

5.数量集計表様式(案)

国土交通省では、『土木工事数量算出要領(案)』に従った数量の集計様式として、「数量集計表様式(案)」を定めている。「数量集計表様式」を使用することにより、提出先に合わせた体裁で作成し積算時における数量拾い直し作業を防ぐ。BIM/CIM モデルで集計した数量は数量集計表様式にまとめる。

図 5-1 「数量集計表様式」を利用した数量算出結果の取りまとめ(イメージ)

図 5-2 施工パッケージ型積算基準(土工、土工(ICT))