V-nasClair/V-nasにおける 電子納品への対応 | 電子納品サポート

V-nasClair/V-nasにおける 電子納品への対応

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国土交通省において、電子納品用のCADファイルフォーマット標準として、SXFファイル(ScadeceXchange Format)が利用されています。

V-nasClair/V-nasではSXFファイルの読み込み、書き込みの機能に対応しています。

しかし、V-sClair/V-nasオリジナルのファイルフォーマット(BFOファイル)と機能的に同等のものではないために、SXFファイルの仕様に合わせた操作を行わないと、100%のデータ交換を行うことができません。また、CAD製図基準(案)に対応した成果図面を作成するためにも、数々の設定を意識しなければなりません。

これより、電子納品時に、より確実で精度の高いデータ交換を行うためのV-nasClair/V-nasの操作を説明します。

AP202モードファイルと フィーチャコメントモードファイル

SXFファイルは、(財)日本建設情報総合センター(以下JACIC)において、異なるCAD間でデータ交換を行うために開発されたファイル規格です。

ISO国際規格であるSTEP/AP202をベースにしています。

SXFファイルには、AP202モードとフィーチャコメントモードがあります。

本来、STEP/AP202ファイルには図形の幾何情報以外に様々な情報が埋め込まれています。

フィーチャコメントモードは、AP202モードファイルの中からJACICで定めたデータ交換仕様で利用する情報だけを抜き出した、独自のファイル仕様です。

AP202モードファイルは、ファイルサイズが非常に大きくなり、読み書きに長時間を要します。

通常の電子納品を行うには、フィーチャコメントモードで必要な情報を交換することができます。

海外製のCADなど、STEPには対応しているけれどフィーチャコメントモードはサポートしていないようなCADとデータ交換を行うときは、AP202モードでデータを交換する必要があります。

V-nasClair/V-nasファイルと SXFファイルの互換性

V-nasClair/V-nasにはSXFファイルの図形要素に変換する機能は全てそろっています。

しかし、従来の機能で作成した図形の中には、SXFに100%表現できないものがあります。

それらの図形要素は、見た目が同じになるように、何らかの変換を行っています。

引出線SXFファイルがサポートする主な要素互換性に関する制限
SXF要素名対応するV-nasClair/V-nas要素レイヤ属性
点マーカ▷寸法線
線分線分・直線・半直線▷引出線
折れ線ポリライン▷文字
▷端点タイプ
円弧円弧▷ポリライン
楕円楕円▷B-スプライン・ベジェ曲線
楕円弧楕円弧▷クロソイド曲線・拡幅線
文字要素文字▷直線・半直線
スプライン曲線ベジェ曲線▷ポリゴン
直線寸法標準寸法▷ビューポート
角度寸法角度寸法
半径寸法半径寸法
直径寸法直径寸法
引き出し線引出線
バルーンバルーン
ハッチングハッチング
クロソイド※クロソイド
弧長寸法※弧長寸法

※ SXF Ver.3.1 のみ対応

レイヤ属性

V-nasClair/V-nasからSXFファイルに変換すると、要素が持っている属性(レイヤ名・色・線種・線幅)をそれぞれSXFの属性に変換します。
SXFファイルでは、V-nasClair/V-nasのようにレイヤに対して色や線種などを持つことはできません。 V-nasClair/V-nasでレイヤに対してコメント、色、線種、線幅などの属性を設定していても、SXFファイルでは保持されません。

SXFファイルの読み込み

V-nasClair/V-nasでSXFファイルを開く際に、「設定-ファイル変換-SXF変換」で以下の設定を行うと、CAD製図基準と同一名のレイヤは色、線種、線幅、コメントが自動で設定されます。

SXFファイルの書き出し

寸法線

SXFファイルに出力できる寸法線の種類は、下の4種類です。
これ以外の寸法線は、直線、円弧などの図形要素と文字要素に分解して変換されます。

また、矢印の形状は下の11種類が用意されています。

これ以外の形状で寸法線を作図した場合には、SXF変換時に下表のように変換されます(出荷時設定)。

V-nasClair/V-nasSXF

両矢(大・中・小)

開矢印
片矢(大・中・小)
開矢印

箱矢(大・中・小)

塗り潰し矢印

白箱矢(大・中・小)

空矢印


『設定-ファイル変換-SXF変換』の「出力設定(矢印)」タブにて違う形状に変更することができます。

引出線

SXFファイルでは、引出線の先頭に必ず矢印が付いていなければいけません。

V-nasClair/V-nasで矢印の付いてない引出線をSXFファイルに変換した場合、ポリラインと文字に変換します。

また、引出線1個につき矢印は1個しか付けられません。複数の矢印の付いた引出線は、複数個の引出線とポリラインなどに変換します。

文字

SXFファイルでは、WindowsのTrueTypeフォントしか文字として扱えません。 「標準ベクトル」のままSXFファイルに変換した場合は、SXFブラウザ※では「MS ゴシック」で表示されます。 また、V-nasClair/V-nasで用意している特殊な書式を使用することもできません。 複数行の文字は、1行ごとに1要素に変換されます。
また、TrueTypeフォントは標準ベクトルよりも若干小さく作図されます。

※SXFブラウザ - JACICより提供される、SXFファイルを表示するアプリケーション

端点タイプ

SXFファイルでは、図形要素の端部に端点タイプを設定することはできません。 V-nasClair/V-nasで図形要素の端部に丸や矢印などの端点タイプを設定した場合、ポリラインやハッチングに変換されます。

ポリライン

SXFファイルでは、ポリラインに円弧形状を含めることができません。 V-nasClair/V-nasで円弧をポリライン化していた場合、SXFファイルに変換すると、円弧部分は直線のポリラインに変換します。

B-スプライン・ベジェ曲線

SXFファイルでは、曲線要素として3次のベジェ曲線を使用しています。
ベジェ曲線は、SXFファイルに採用されている曲線要素と同等のものです。
B-スプラインとベジェ曲線は補間式が異なるため、同じ構成点であっても、形状が異なります。

V-nasClair/V-nasでB-スプラインを作図したものを、SXFファイルに変換すると、ベジェ曲線に変換します。 このとき、構成点を自動的に発生させて、ベジェ曲線に近い結果が得られるようにしています。

クロソイド曲線・拡幅線

SXF ファイルVer.2,Ver.3では、クロソイド曲線・拡幅線を表現することはできません。 V-nasClair/V-nas上で作図したクロソイド曲線・拡幅線は、SXF Ver.2,Ver.3ファイルに変換するときにポリラインに変換します。

なお、SXF Ver.3.1よりクロソイド曲線が追加されました。 V-nasClair/V-nas上で作図したクロソイド曲線は、SXF Ver.3.1ファイルに変換するとクロソイド曲線のまま変換します。但し拡幅線はVer.2,Ver.3同様ポリラインに変換します。

直線・半直線

SXFファイルでは、片方向あるいは両方向に無限大の線を作図することはできません。 V-nasClair/V-nasでは直線または半直線の図面枠からはみ出した部分をカットして変換します。

V-nasClair/V-nasで作図

SXFファイルに変換

ポリゴン

SXF ファイルでは、ポリゴンを表現することはできません。 ポリゴン要素は3次元の面データのため、SXF要素のハッチング図形に変換されます。

V-nasClair/V-nasで作図

ビューポート

SXF ファイルでは、ビューポートを表現することはできません。 ビューポート要素は、SXF要素のグループ図形に変換されます。

V-nasClair/V-nasで作図

システム設定を行いましょう

端点タイプ

SXFファイルで利用できる端点タイプ(矢印形状)

SXFファイルで利用できる寸法線・引出線の端点タイプは、あらかじめ決められた11種類だけです。 この11種類以外を使用すると、V-nasClair/V-nasで作図した図面とSXFに出力した図面が同じものになりません。

文字

文字のフォントとサイズ

SXFファイルで利用できる文字フォントはTrueTypeフォントだけです。 CAD製図基準(案)には、文字サイズは1.8/2.5/3.5/5/7/10/14/20 mmを標準とするように記載されています。

CAD製図基準(案)より抜粋

1-5-1 CADデータ中の文字 文字は、JIS Z 8313:1998「製図に用いる文字」に基づくことを原則とする。

文字の大きさの呼びは、1.8、2.5、3.5、5、7、10、14、20mmを標準とする。

漢字は楷書、常用漢字を原則とする。かなは平仮名を原則とする。ただし、外来語は片仮名を使用することとする。

デフォルトの作図設定を行いましょう

文字のデフォルト設定

文字を作図するときのデフォルト設定

V-nasClair/V-nasで文字を作図するときには、先に文字サイズを設定しましょう。 「設定-作図-文字」を実行してください。
配置基準点は、どこに設定してもかまいません。設定した内容と異なるサイズの文字を使用する場合は、「作図-文字」で作図する際にも指定が可能です。

寸法線のデフォルト設定

寸法線を作図するときのデフォルト設定

V-nasClair/V-nasのコマンドで作図するときの、文字サイズと端点タイプを設定しましょう。 「設定-作図-寸法」を実行してください。寸法端点タイプの設定を、システム設定で登録したSXFタイプの端点タイプに設定してください。

SXFファイルでは、丸め、寸法数字を3桁ごとに間隔をあけることや、円弧なりに寸法値を曲げて表示することはできません。 この設定はオフにしておきましょう。

レイヤの設定を行いましょう

レイヤテンプレートを選択する

レイヤテンプレートのインポート

CAD製図基準(案)において、業務種別、図面種別ごとにレイヤ名・線色・線種の標準設定が決められています。V-nasClair/V-nas ではCAD製図基準(案)に定められたレイヤ設定のテンプレートを用意しています。 このテンプレートをインポートすることで、標準のレイヤ設定を行うことができます。
「ファイル-レイヤテンプレート-インポート」を実行し、リストの中からこれから作図する図面に合ったテンプレートを選択してください。

デフォルトで使用するテンプレートを設定する

図面ファイルを新規作成するときに、使用するレイヤテンプレートをデフォルト設定することができます。「設定-システム-レイヤテンプレート」を実行してください。 ここで選択したレイヤテンプレートが、新規作成時のデフォルトとして設定されます。

CAD製図基準(案)より抜粋

1-2-3 輪郭と余白

図面には輪郭を設ける。輪郭線は実線とし、線の太さはA0 、A1 では1.4mm 、 その他は1.0mm とする。

輪郭外の余白はA0 、A1 では20mm 以上、その他は10mm 以上とする。 図面を綴る場合は、綴じる側に20mm以上のとじ代幅を設ける。

線幅を設定する

レイヤに対して線幅を設定しておくことで、作図時にレイヤを切り替えるだけで線の太さを決めることができます。(アクティブ線種の設定がレイヤ依存に設定されている必要があります。)

CAD製図基準(案)より抜粋

1-4 線種と線の太さ

(省略)

【解説】

(2)線の太さ 線は太さの比率によって細線、太線、極太線の3種類とし、太さの比率は1:2:4とする。

線の太さは、図面の大きさや種類により次の中から選ぶ。

0.13、0.18、0.25、0.35、0.5、0.7、1、1.4、2mm

上記の数値は、CADデータを紙に出力する場合の規定値である。実際に出図される線の 太さは出力装置により異なるため、近似値としてよい。

作図中のご注意

文字

文字フォントの「標準ベクトル」はV-nasClair/V-nas独自のフォントです。 このままSXFファイルに変換して、他のCADで開くと、文字の体裁が変わってしまいます。 文字フォントはあらかじめTrueTypeフォントに変換しておいたほうがよいでしょう。

寸法線

直線寸法

SXFファイルでは、3桁ごとにスペースをあけることはできません。

SXFファイルに変換すると、スペースを詰めて表示するようになります。

SXFファイルでは、寸法線を省略することはできません。

寸法線を省略したものをSXFファイルに変換すると、寸法線を表示するようになります。

SXFファイルでは、寸法線文字を1行しか表現できません。

V-nasClair/V-nasで複数行作図した場合、2行以降は文字要素に変換します。

弧長寸法

SXFファイル(Ver.2.0,Ver.3.0)がサポートする寸法線は、直線寸法・角度寸法・半径寸法・直径寸法の4種類です。また、SXFファイル(Ver.2.0,Ver.3.1)では弧長寸法を追加した5種類となります。

それ以外の要素は文字と幾何要素に分解されます。

SXFに対応していないタイプの寸法線は、SXFファイルに変換するときに、V-nasClair/V-nasが自動的に要素を分解します。

このとき、SXF標準端点タイプ以外を使って作図していると、端点の形状が変わってしまいます。 あらかじめ、すべての寸法線矢印をSXF標準端点タイプに設定しておきましょう。

SXF標準端点タイプ

※ 上図は弧長寸法を含んだ要素をSXF Ver.2.0または3.0に変換した場合の例です。

角度寸法

SXFファイルでは、円弧なりに寸法文字を作図することができません。

作図前に「設定-作図-寸法」の「角度」タブで「弧なりに曲げる」スイッチをオフにしておきましょう。

同様に、弧長寸法についても変更しておかないと、見た目が統一されなくなります。