CAD製図基準(令和7年12月版)
受注者がやること
令和8年4月1日以降に契約した工事・業務から、新しいCAD製図基準が使われています。図面を描き始める前に決めること、CADの設定、納品前のチェックまでを順番にまとめました。
このページでわかること
- 自分の工事・業務が、新しい基準(令和7年12月版)の対象かどうか
- 図面を描き始める前に、発注者と決めておくこと
- 用紙サイズ・縮尺・表題欄の書き方(A1標準からA列サイズ標準へ)
- 新しいレイヤ名の付け方(作図要素の階層がなくなった)
- 地形を含む図面に平面直角座標を設定する方法
- 電子納品チェックシステムで確認するときの注意
改定の要点だけを短くまとめた記事は「CAD製図基準 令和7年12月 国土交通省」にあります。このページは、実際に図面を作る人のための作業手順です。
まず確認:どの版の基準を使うか
CAD製図基準は、契約した日で使う版が決まります。図面を描き始める前に、契約書と特記仕様書で確認します。
| 分野 | 最新の版 | 使う工事・業務 |
|---|---|---|
| 一般土木 | CAD製図基準 令和7年12月(R7.12) | 令和8年4月1日以降に契約した工事・業務。受発注者が協議すれば、それより前の契約にも使える |
| 電気通信設備 | CAD製図基準 電気通信設備編 令和8年2月(R8.2) | 令和8年4月1日以降に契約した工事・業務 |
| 機械設備工事 | CAD製図基準 機械設備工事編 令和8年2月(R8.2) | 令和8年4月1日以降に契約した工事・業務 |
| (参考)一般土木の前の版 | CAD製図基準 平成29年3月(H29.3) | 平成29年4月1日〜令和8年3月31日に契約した工事・業務 |
ここで説明するのは国土交通省の基準です。自治体には独自の要領やCAD製図基準の運用があり、国の新しい版にいつ合わせるかも発注者ごとに違います。自治体の工事・業務では、必ず発注者の電子納品の案内を確認してください。
作業の流れ
契約日と特記仕様書で、使う基準の版を確認する受注者
上の表のとおりです。前の版(H29.3)で作る場合は、このページの③〜⑤は当てはまりません。
電子納品の事前協議で、図面の決めごとを確認する受注者発注者
用紙サイズ、ユーザ定義領域(レイヤ名の3番目)の付け方、座標を設定する図面、SXFのバージョンなどを決めます。このページの③〜⑤に、確認しておく項目をまとめました。
CADソフトを最新版にし、レイヤのテンプレートを新しい基準に合わせる受注者
CADソフトのメーカーが、新しい基準に合わせたレイヤのテンプレートや更新プログラムを出していないか確認します。
図面を作る(用紙・縮尺・レイヤ・座標)受注者
このページの③〜⑤で説明します。
SXF(P21)形式で保存し、ファイル名を付ける受注者
このページの⑥で説明します。
電子納品チェックシステム(土木 Ver.22.0.0 以降)でチェックする受注者
このページの⑦で説明します。
用紙サイズ・縮尺・表題欄
用紙は「A列サイズ」が標準になった
前の版では、図面の大きさはA1が標準でした。新しい版では、ペーパーレス化が進んだことを受けてA列サイズ(A0〜A3など)が標準になり、A列で収まらないときは長尺図面なども選べます。どのサイズで作るかは、事前協議で決めておきます。
あわせて、輪郭線の太さ・余白、表題欄の寸法、線の太さが、用紙サイズごとの表になりました。主な数字は次のとおりです(単位mm)。
| 用紙 | 輪郭線の太さ | 輪郭外の余白 | 表題欄の横幅 |
|---|---|---|---|
| A0 | 2 | 28以上(綴じる側は56以上) | 140 |
| A1 | 1.4 | 20以上(綴じる側は40以上) | 100 |
| A2 | 1 | 14以上(綴じる側は28以上) | 70 |
| A3 | 0.7 | 10以上(綴じる側は20以上) | 50 |
表題欄は、図面の右下の輪郭線に接して置きます。書く項目(工事名、図面名、作成年月日、縮尺、図面番号、会社名、事業者名)は前の版と同じです。線の太さは、細線・太線・極太線の3種類を、0.13〜2mmの決められた太さから用紙サイズに合わせて選びます。細かい寸法は本編の表で確認してください。
縮尺は「印刷した用紙での縮尺」
新しい版では、図面に書く縮尺はその用紙サイズで印刷したときの縮尺という意味になりました。A1で作った図面をA3に縮小して印刷すると、縮尺が変わってしまうためです。
- 縮尺のそばに、その縮尺になる用紙サイズを書く(例:
S=1:500(A1)) - A1の図面なら、A3に縮小したときの縮尺も書いておくと便利(例:
S=1:500(A1)/S=1:1000(A3)) - どの大きさで印刷しても長さが読めるように、スケールバーを描いてもよい
新しいレイヤ名の付け方
いちばん大きな変更です。前の版のレイヤ名は「責任主体-図面オブジェクト-作図要素-ユーザ定義領域」の4階層で、作図要素(例:STR1)は工種ごとに決められていました。新しい版では作図要素の決まりがなくなり、3階層になりました。
| 階層 | 名前 | 書くもの |
|---|---|---|
| 1 | 責任主体(半角大文字1文字) | S測量/D設計/C施工/M維持管理 |
| 2 | 図面オブジェクト(半角大文字3文字) | 下の表の10種類から選ぶ。全工種で共通になった |
| 3 | ユーザ定義領域(任意・省略可) | 何を描いたレイヤか分かる名前。日本語(全角)が使える。全角125文字・半角250文字まで |
階層の間はハイフン(-)でつなぎ、全体で半角256文字以内にします。
図面オブジェクト(2階層目)の一覧
| 記号 | 名前 | 入れるもの |
|---|---|---|
TTL | 図枠 | 外枠、表題欄、罫線、縦断図の帯枠など |
BGD | 背景 | 主曲線・計曲線、現況地物、既設構造物など |
BMK | 基準 | 基準点、測量ポイント、中心線、幅杭など |
STR | 主構造物 | その図面で表す構造物 |
BYP | 副構造物 | 主構造物から派生する構造物 |
MTR | 材料表 | 切盛土、コンクリート、鉄筋加工、数量 |
DCR | 説明・着色 | ハッチ、シンボル、塗りつぶし、記号など |
DOC | 文章 | 説明事項、指示事項、参照事項など |
SUV | 測量 | 地形図など、手を加えない測量成果 |
ORD | 発注用 | 発注図の注記・旗上げなど(発注者が使う) |
レイヤ名の例
| レイヤ名 | 意味 |
|---|---|
D-STR | 設計段階の主構造物(ユーザ定義領域を省略) |
D-STR-A1橋台、D-STR-P1橋脚 | 橋台と橋脚をレイヤで分ける |
D-BMK-道路中心線、D-BMK-構造物中心線 | 前は同じレイヤに混ざりがちだった中心線を分ける |
C-STR-側溝 | 施工段階(工事完成図)の主構造物 |
前の版の作図要素(例:D-STR-STR1)や、道路工事完成図等作成要領のレイヤ名(例:C-BMK-BMKZ-KMPOST)は、作図要素の部分をユーザ定義領域とみなすことで、新しい版でも使えます。今あるテンプレートを全部作り直す必要はありません。新しく描く部分から、分かりやすい日本語のユーザ定義領域を使うと、後で図面を使う人が助かります。
C-ORD は発注図だけに使うレイヤで、受注者は使いません。工事完成図を作るときは削除します。中の線や文字を完成図で使いたいときは、正しいレイヤ(C-STR など)へ移してから消してください。
事前協議で決めておくとよいこと
- ユーザ定義領域の名前の付け方(例:構造物名+番号、測点名など)。会社やソフトでばらばらにならないようにする
- 図面管理ファイルの「新規レイヤ」の登録をどうするか。新しい版では登録は任意になった
- 前の版のテンプレートを使うか、新しい名前に切り替えるか
地形を含む図面に平面直角座標を設定する
新しい版では、位置図・平面図など地形データを含む図面は、測量座標系(平面直角座標系)で実寸で作ることが標準になりました。3次元モデルや点群データと重ねて使えるようにするためです。
その地域の平面直角座標系(I系〜XIX系)を確認する
系は都道府県・地域ごとに決まっています。国土地理院のページで確認できます。
わかりやすい平面直角座標系(国土地理院)WEBhttps://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/jpc.htmlCADの作図原点(0,0)を、平面直角座標の原点(0,0)に合わせる
地形が原点から遠く離れた位置に描かれますが、それで正しい状態です。
XとYの向きに注意して描く
測量のX(北方向)・Y(東方向)と、CADのX(横)・Y(縦)は逆です。座標軸は合わせ、値はXとYを読み替えて扱います。
図面の2か所に十字のグリッドマークを描き、その位置の座標値を書き添える
単位はm、高さはT.P.(東京湾平均海面)を使います。
図枠・表題欄は「用紙座標系」に、地形と構造物は「部分図」に描く
部分図の中に実寸で描き、用紙に配置するのが基本です。
SXF形式には座標値は残りますが、平面直角座標系の系の番号(IX系など)は記録できません。SXFを開いて別のCAD形式で編集するときは、系を設定し直してください。系の番号は、図面管理ファイル(DRAWING.XML)の基準点情報の欄(平面直角座標系番号・X座標・Y座標)にも書けます。
縦断図・横断図・構造物の詳細図など、地形を含まない図面は、これまでどおり部分図ごとに原点を決めて実寸で描きます(図枠の左下を(0,0)にすると扱いやすい)。
SXFでの保存とファイル名
納品するCADデータの形式は、これまでどおり SXF(P21) と、それを圧縮した SXF(P2Z) です。SXFのバージョンは、関係者の環境がそろうまでは Ver.2.0 レベル2 が原則で、協議すれば Ver.3.0 レベル2以上でも納品できます。
ファイル名の決まりは変わっていません。
| 例 | 001D0PL1-○○区間平面図.P21 |
|---|---|
| 001 | 図面番号(表題欄の図面番号) |
| D | ライフサイクル(S測量・D設計・C施工・M維持管理) |
| 0 | 整理番号(細かく分けたいときに使う) |
| PL | 図面種類(PL=平面図) |
| 1 | 改訂履歴(0〜9、A〜Y。最終成果は Z) |
| -○○区間平面図 | ユーザ定義領域(任意。表題欄の図面名を入れるのが原則。全角も可) |
令和8年2月版の電子納品要領で、CON、PRN、AUX、NUL、COM1〜COM9、LPT1〜LPT9 などの予約語を、フォルダ名・ファイル名に使わないことが明記されました。
チェックシステムで確認する
電子納品チェックシステムは、SXF(P21)のレイヤ名が基準に合っているかを確認できます。新しいレイヤ名への対応は、2026年9月29日の改定(土木 Ver.22.0.0)で入りました。古いチェックシステムでは、新しいレイヤ名が正しく判定されないことがあります。
チェックシステム(土木)を Ver.22.0.0 以降にする
電子納品チェックシステム ダウンロード(国土交通省)WEBhttps://www.cals-ed.go.jp/edc_download/チェックを実行し、「CAD」のタブでレイヤ名のエラー・注意を確認する
使い方とエラーの直し方は「電子納品チェックシステムの使い方とエラーの直し方」で説明しています。
図面の中身は自分の目で確認する
チェックシステムが見るのはファイル名・管理ファイル・レイヤ名などの形式です。縮尺の書き方、座標の位置、発注用レイヤの消し忘れなどは、SXFビューアなどで開いて確認します。
納品前チェックリスト
- 契約日から、使う基準の版(R7.12/H29.3)を確認した
- 用紙サイズ、ユーザ定義領域の付け方、座標を設定する図面を発注者と決めた
- 縮尺のそばに用紙サイズを書いた(必要ならスケールバーも)
- レイヤ名が「責任主体-図面オブジェクト-ユーザ定義領域」になっている
- 完成図に発注用レイヤ(C-ORD)が残っていない
- 位置図・平面図が平面直角座標で実寸になっていて、グリッドと座標値が描いてある
- SXF(P21/P2Z)で保存し、ファイル名が決まりどおり。予約語を使っていない
- チェックシステム(土木 Ver.22.0.0 以降)でエラーが出ていない
公式ページと問い合わせ先
要領・基準の入手先の全体は「要領・基準の入手先」にもまとめています。
- 国土交通省 電子納品に関する要領・基準「要領・基準類」(CAD製図基準 令和7年12月 本編・解説・改定ポイント) https://www.cals-ed.go.jp/cri_point/
- 電子納品要領改訂の主なポイント(令和8年2月版) 同上
- 電子納品チェックシステム改定のお知らせ(2026年9月29日) https://www.cals-ed.go.jp/checksys-release-20260925/