操作画面の説明
1.1 インターフェース
Autodesk®Revit® 2023(以下、Revit)では、建築・構造・設備のタブが統合されています。トレーニングを開始する前に、インターフェースの名称を確認します。
① アプリケーションメニュー
② クイックアクセスツールバー
ツールバーをカスタマイズすると、よく使用するツールを表示する事が出来ます。
③ 情報センター
情報センターには、検索ボックスやオンラインヘルプなど製品に関連するさまざまなるツール セットが提供されています。
④ オプションバー
オプション バーはリボンの下にあります。その内容は、現在のツールや選択した要素によって変わります。躯体を作成する時や鉄筋のかぶり等を選択するとき、注意深く見てください。非常に便利な機能があります。
⑦プロジェクトブラウザ
すべてのビュー、集計表、シート等リンクされた Revit モデルを作成・管理するブラウザです。これらのビューから様々なモデルを作成、管理することにより、作成されたRevitモデルがリンクすることにより、ミスのない効率的なモデル作成ができます。
⑨ビューコントロールバー
Revit ウィンドウの下、ステータス バーの上にあります。
1.2 知っていると便利な機能
[Tab] | いくつかの要素が互いにきわめて近いか、お互いの上にある場合は、 カー ソルをその領域に移動し、目的の要素がステータスバーに表示されるま で[Tab]を押します。 |
[Ctrl] | 複数の要素を選択するとき、[Ctrl]を押しながら選択します。 |
[Shift] | [Shift]を押しながら各要素をクリックして、 選択された要素のグループからその要素を選択解除します。 |
| フィルタを使用して、選択した要素を選択表示したり、非表示にしたり、 ま たはグラフィックスの設定を適用することができます。フィルタは、 保存す ることが出来ます。 複数の要素を選択し、 [複数選択]タブ →[フィルタ]パネル →[フィルタ]を クリックし、 目的のカテゴリを選択し、[OK]をクリックします。 |
擁壁モデルの確認
本サイトで作成する擁壁の最終モデル開き、Revitでどのようなモデルを作成するか確認します。
データセットから「8_鉄筋表の作成.rvt」を開きます。
プロジェクトブラウザには大きく4種類のビューが用意されています。
これらの方向を切り替えてモデルを作成していきます。
また、集計表やシートでは鉄筋の集計やモデルから抽出した断面図に縮尺を与え、図面として編集することもできます。
各ビューをダブルクリックして作成したモデルを開き、作図領域に表示されたモデルの拡大/縮小などの操作を確認してください。確認が終わったらファイルを閉じます。
モデル作成の準備
ここでは国交省の「土木構造物標準設計2-擁壁類-」から下図の逆T型擁壁を作成します。
Revitでは躯体を作成する際、基準線を作成します。
この基準線を「レベル」もしくは「通芯」と呼び、この基準線を作成することで簡単に作図する事ができます。
・レベル:高さ方向の基準線
・通芯:平面的な基準線
3.1 レベルの作成
「ファイル」タブの「新規作成」→「プロジェクト」を選択します。
プロジェクトの新規作成ダイアログで「構造テンプレート」を選択します。
プロジェクトブラウザで、「立面図」を展開し、「北」をダブルクリックします。
「北」ビューが開きます。「レベル1」、「レベル2」は、既定のレベルです。
下記のようなレベルを作成します。
既定の「レベル1」を「擁壁底版下面」に変更します。
レベルの名前を変更します。「レベル1」を選択し、「レベル1」クリックすると文字を編集することができるので「擁壁底版下面」と入力します。
「対応するビューの名前を変更しますか?」とダイアログに表示されるので「はい」を選択します。
プロジェクトブラウザの「構造平面図」の表示も変更されます。
同様に「レベル2」の名前を「擁壁底版上面」に変更し、高さを「600」に変更します。
※名前と同様に高さもクリックで変更する事が可能です。
レベルを追加します。ここで画面を少し小さくしておいてください。
「構造」→「基準面」パネル→「レベル」を選択します。
「修正|配置レベル」コンテキストタブ→「描画」の「選択」を選択します。
オプションバーのオフセットに「6000」と入力します。
擁壁底版下面にカーソルを移動します。カーソルの位置によって上側か下側に青色の破線が表示されますので、上側に破線が表示された時にクリックします。
「レベル3」の名前を「擁壁天端」に変更します。
ここまでのデータは、「3.1_レベル作成.rvt」に保存しています。
3.2 通芯の設定
プロジェクトブラウザの構造平面図から「擁壁天端」をダブルクリックします。
「構造」→「基準面」パネル→「通芯」を選択します。
画面に水平に、左から右に作成(①→②の順にクリック)します。
同様に画面の上から下に1本作成します。
「修正|配置通芯」コンテキストタブ→「選択」を選択し、オプションバーのオフセットで「10000」と入力します。
※今回は10mの擁壁をモデル化するために「10000」と入力します。
これで基準線の作成は終わりです。
ここまでのデータは、「3.2_通芯作成.rvt」に保存しています。
擁壁モデル(躯体)の作成
4.1 竪壁の作成
プロジェクトブラウザで「構造平面図」→「擁壁天端」を選択します。
「構造」タブ→「壁」→「壁:構造」を選択します。
「プロパティ」を表示します。
「配置構造壁」コンテキストタブ→「プロパティ」を選択します。
※画面にプロパティが表示されている場合は、上記作業は不要です。
「擁壁―300mmコンクリート」を選択します。
「プロパティ」パネル→「タイププロパティ」を選択します。
「複製」を選択し、名前に「擁壁 – 500 mm」と入力し「OK」を選択します。
「構造」→「編集」を選択します。
構造[1]の「厚さ」を「500」に変更し、「OK」を選択します。
「タイププロパティ」に戻りますので、再度「OK」を選択します。
「修正|配置 構造壁」コンテキストタブ→描画パネルで「線」を選択します。
オプションバーの設定を確認します。
「指定」を展開し「擁壁底版上面」を選択します。(現在の作業面「擁壁天端」から「擁壁底版上面」まで竪壁を作成するという指示になります。)
配置基準線が「壁の中心」であることを確認します。
通芯①と通芯②、③との交点を選択し、「ESC」キーを押します。
「クイックアクセスツールバー」→「既定の3Dビュー」で、竪壁を確認します。
ここまでのデータは、「4.1_竪壁作成.rvt」に 保存しています。
4.2 底版の作成
プロジェクトブラウザのビューを「擁壁底版上面」に変更します。
「構造」→「基礎」パネル→「壁」を選択します。
「修正|配置 布基礎」コンテキストタブ→「プロパティ」パネル→「タイププロパティ」を選択します。
「タイププロパティ」ダイアログ寸法を修正し、「OK」を選択します。
基礎の出(外):600 基礎の出(内):3400 基礎の厚さ:600
作業領域の作図領域の竪壁を選択します。
「クイックアクセスツールバー」→「既定の3Dビュー」で底版を確認します。
これで底版の作成は終わりです。
ここまでのデータは、「4.2_底版作成.rvt」に保存しています。
配筋の作成方法
この章では、いくつかの配筋の作成方法を説明します。
5.1 断面作成とかぶり厚設定
鉄筋を配置しやすいように断面図を作成し、その断面図を使用して鉄筋を配置します。
プロジェクトブラウザで「擁壁底版上面」を選択します。
「表示」タブ→「作成」パネル→「断面」を選択します。
作図領域で下図のように①→②の順にクリックし、最後に「ESC」キーを押します。
プロジェクトブラウザで「断面図」を展開し、「断面図1」を選択します。
鉄筋のかぶりを設定します。
「構造」タブ→「鉄筋」パネル→「かぶり」を選択します。
オプションバーの「…」を選択し、かぶり厚を新たに設定します。
「追加」ボタンを押し、「100」と「110」の2つのかぶり厚を追加します。
「OK」を選択して作業領域に戻ります。
「ESC」キーを押します。
竪壁を選択し、プロパティ」ダイアログで「構造」のかぶり厚を(外側面・内側面110㎜、その他の面100㎜)に変更します。
ここまでのデータは、「5.1_かぶり厚の設定.rvt」に保存しています。
5.2 鉄筋の配置
竪壁配力筋
「構造」タブ→「鉄筋」パネル→「鉄筋」を選択します。
下記ダイアログが表示されますがそのまま「OK」を選択します。
鉄筋径を変更します。
タイプセレクタをクリックし、「D13」を選択します。
「鉄筋形状ブラウザ」→「鉄筋形状:00」を選択します。
「修正|鉄筋を配置」タブ→「配置の向き」パネル→「かぶりと垂直」を選択します。
擁壁天端の左上にカーソルを移動し、クリックで配置します。
「ESC」キーでツールを終了します。
※寸法補助線が参照する面の中点が青くハイライトされます。これをドラッグドロップすると、どの面を参照に寸法を計算するか、を定義できます。寸法値は、クリックで、値を変更することが出来ます。
オプションバーでレイアウトを「最大間隔」、ピッチを「250㎜」変更します。
前頁の「最大間隔」の本数を参考に、レイアウトを「間隔と数」に変更します。
背面側にも鉄筋を配置します。
ここでは、前面側の鉄筋を「鏡像」して作成します。
鉄筋を選択し、「修正|構造鉄筋」→「修正」→「鏡像化– 軸を選択」を選択します。
擁壁竪壁中心にカーソルを移動し、中心の補助線が表示されたらクリックします。
「ESC」キーでツールを終了します。
竪壁配力筋(背面)の鉄筋径を変更します。鏡像した背面側の鉄筋を選択し、「プロパティ」で鉄筋径を「D16」に変更します。
最後に「ESC」キーを押して選択を解除します。ここまでのデータは、「5.2.1_竪壁配力筋作成.rvt」に保存しています。
竪壁主筋(前面)
前面の竪壁主筋を作成します。
「構造」タブ→「鉄筋」パネル→「鉄筋」を選択します。
鉄筋径は「D16」、「鉄筋形状ブラウザ」は「鉄筋形状:06」を選択します。
「修正|鉄筋を配置」→「配置の向き」→「作業面と平行」を選択します。
カーソルを竪壁に移動します。
鉄筋は、グレーで表示され、カーソルの位置により配置される場所が変わります。
下記のように鉄筋を配置し、「ESC」キーでツールを終了します。
配置された竪壁主筋は方向が逆になっています。このような場合は、「鏡像化」で鉄筋形状の方向を修正します。
配置した鉄筋を選択し、「修正|構造鉄筋」→「鏡像化-軸を描画」を選択します。
配置した鉄筋の中心を通るように軸を描画します。
逆向きのフックがある鉄筋を、「Delete」キーで削除します。
これまでと同様にオプションバーの「レイアウト」→「最大間隔」で、おおよその本数を算出し、配置します。鉄筋を選択し、間隔を「250」に設定します。
「クイックアクセスツールバー」→「既定の3Dビュー」で確認します。
ここまでのデータは、「5.2.2_竪壁主筋(前面)作成.rvt」に保存しています。
竪壁主筋(背面)
背面側の竪壁主筋を作成します。竪壁配力筋と同様に「鏡像化」で作成する方法もありますが、ここでは、鉄筋の配置でよく利用される「鉄筋のスケッチ」手法で作成します。
「プロジェクトブラウザ」→「断面図」→「断面図1」を開きます。
「構造」タブ→「鉄筋」パネル→「鉄筋」を選択します。
「修正|鉄筋を配置」コンテキストタブから、「作業面と平行」を選択します。
鉄筋径は「D25」を選択します。
「修正|鉄筋を配置」コンテキストタブから、「スケッチ」を選択します。
鉄筋配置のホストとして竪壁を選択します。
鉄筋のかぶりが表示され、スケッチモードに変わります。
竪壁の配力筋の鉄筋のかぶりの端部を選択します。
カーソルを垂直に下方向に移動します。適切な位置でクリックする事も出来ますが、ここでは、長さを指定します。半角英数字で「5540」と入力し、「Enter」キーを押します。
右側にカーソルを移動します。
同様に、長さを指定(ここでは、600)し、「Enter」キーを押します。
「修正|鉄筋のスケッチを作成」コンテキストタブから、「編集モードを終了」を選択します。最後に、再度「ESC」キーを押します。
左右の鉄筋の長さを揃えます。
先に作成した鉄筋を選択し、ハンドルをドラッグして長さを変更します。
※鉄筋のスケッチモードで変更することも出来ます。
鉄筋をダブルクリックし、編集モードに入ります。変更したい線を選択し、値を変更します。鉄筋の位置がずれてしまった場合は、移動コマンドで修正し、「編集モードを終了」をクリックします。
これまでと同様にオプションバーの「レイアウト」→「最大間隔」で、おおよその本数を算出し、配置します。背面側鉄筋を選択し、間隔を「125」に設定します。
「クイックアクセスツールバー」→「既定の3Dビュー」で確認します。
竪壁主筋(前面)と竪壁配力筋が干渉しているので修正します。
細かい作業になりますので、「表示」タブ、「グラフィック」パネルから「細線」を選択します。
「断面図1」に戻り、竪壁主筋(前面)を選択し、「移動」を選択します。
竪壁主筋(前面)を選択し、竪壁配力筋と干渉しない位置に移動します。
竪壁主筋(後面)も同様に、竪壁配力筋と干渉しない位置に移動します。
「クイックアクセスツールバー」→「既定の3Dビュー」を選択します。
【重要】
3Dビューで確認すると完成しているように見えますが、ビューキューブの「前」をクリックすると、下記のように竪壁主筋の前面面と後面面でずれていることが確認できます。
上記のように、配筋を開始する端部によって配筋がずれる場合があります。
今回は、このビューで鉄筋を移動して合わせます。
移動させたい鉄筋を選択して「移動」を選択します。
起点と移動先を選択して合わせます。
竪壁主筋の前面面と後面面の位置のずれが修正されたことを確認してください。
ここまでのデータは、「5.2.3_竪壁主筋(背面)作成.rvt」に保存しています。
配筋モデルの表示方法
6.1 躯体を非表示にする手順
配筋用のビューを作成しますので、「プロジェクトブラウザ」の「3Dビュー」を右クリックし、「ビューを複製」→「複製」を選択します。
「{3D}コピー1」という新しいビューが作成されますので、右クリックメニューから「名前変更」を選択し、「鉄筋」に名前を変更します。
プロジェクトブラウザの「3Dビュー」から「鉄筋」を選択します。
「Ctrl」キーを押しながら竪壁と底版を選択し、右クリックメニューより「ビューで非表示」、「要素」を選択すると、躯体が非表示になります。
躯体を表示させるには、ビューコントロールバーの「非表示要素の一時表示」を選択します。非表示要素が赤いラインで表示されます。
「Ctrl」キーを押しながら竪壁と底版を選択し、「要素を非表示解除」を選択(①)、「非表示要素の一時表示モードを切り替え」をクリック(②)すると、躯体が再度表示されます。
このようにして表示したいものを選択することができます。
6.2 鉄筋の実径表示
「6.1」の手順で躯体(竪壁と底版)、解析用パネルを非表示にします。
すべての鉄筋を選択します。
「プロパティ」の「グラフィックス」→「ビューの表示状態」→「編集」を選択します。
「前面に表示」にチェックを入れOKを選択します。
ビューコントロールバーを「詳細レベル」に変更すると、鉄筋が実径で表示されます。
ビューコントロールバーの「表示スタイル」で「シェーディング」を選択します。
鉄筋をよりリアルに表示することが出来ます。
※「鉄筋を前面に表示」に設定している場合は、躯体を表示していても鉄筋が前面に表示されます。
トリミング領域を表示し、トリミング範囲を変更することで部分的な表示をすることが出来ます。
6.3 細線表示
リボンの「表示」→「グラフィックス」→「細線」を選択すると、モデル全体を細線表示に変更することが出来ます。作成するモデルに合わせて使い分けると便利です。
※「クイックアクセスツールバー」からも変更可能です。
ここまでのデータは、「6_配筋モデルの表示方法.rvt」に保存しています。
モデルから2D図面の作成
プロジェクトブラウザで作成されたモデルをドラッグアンドドロップで2D図面(シート)に表示することができます。
図面に表示したい断面図を作成します。
プロジェクトブラウザの「構造平面図」→「擁壁天端」を選択します。
「表示」タブ→「作成」パネル→「断面」を選択します。
画面で擁壁を背面からみるように赤矢印の方向で作成します。
プロジェクトブラウザの「断面図」→「断面図2」を選択し、確認します。
「断面1の旗揚げ」が表示されていますので、これを非表示にします。
「断面図2」のプロパティから「表示/グラフィックスの上書き」 →「注釈」タブ →「断面図」のチェックを外し、「OK」ボタンを押します。
「断面1の旗揚げ」が非表示になります。
この断面を図面に表示させます。
「表示」→「シート構成」パネル→「シート」を選択します。
図面枠を選択し、OKを選択します。
プロジェクトブラウザの「シート」に「無題」の新しいシートが作成されます。
先に作成した「断面図2」をドラッグアンドドロップでシートに移動します。
下図のように画面に「断面図2」がコピーされるので、配置したい場所でクリックします。
ビューのタイプが表示されていますので、これを選択し「要素プロパティ」で「タイトルなし」を選択します。タイトルが非表示になります。
ビューの縮尺変更を行います。
ビューを選択し、「修正|ビューポート」→「ビューポート」→「ビューをアクティブ化」を選択します。
トリミング領域を選択し「ビューコントロールバー」の縮尺を「1:50」に変更します。
※位置がずれてしまった場合は、ビューのアクティブ化を解除後に修正します。
トリミング領域は、ビューコントロールバーの「トリミング領域を非表示」で非表示に変更します。
画面上で右クリックし、「ビューをアクティブ解除」を選択します。
AutoCAD と同じように、ビューポートの外をダブルクリックして解除することも可能です。
このようにさまざまなビューをドラッグアンドドロップで表示でき、簡単に縮尺の変更ができます。ここまでのデータは、「7_モデルから2D図面の作成」に保存しています。
鉄筋表の作成
ここでは鉄筋表の作成を行います。
「表示」→「集計」→「集計表/数量」を選択します。
フィルタリストを「構造」にし、カテゴリから「構造鉄筋」を選択して「OK」を選択します。
「フィールド」タブで「使用可能なフィールド」から必要なものを選択して追加()し、集計するフィールドに追加します。
「外観」タブで「データの前に空白行を挿入」の✓を外し、「OK」ボタンを押します。
下記のように、集計表ができあがります。
※集計表も、下記のように「シート」に追加することが可能です。
集計表のサイズは、クリックで「▼」をドラッグすると、サイズを変更することが出来ます。
ここまでのデータは、「8_鉄筋表の作成.rvt」に保存しています。