4 詳細設計
詳細設計段階では、前工程から引き継がれたBIM/CIMモデルを更新又は新たにBIM/CIMモデルを作成し、このBIM/CIMモデルを活用して設計業務の効率化・高度化に取り組むものとする。
【解説】
BIM/CIMモデルを活用して設計業務の効率化・高度化に取り組むことを推奨する「活用項目」を、「詳細設計照査フロー」「設計業務等共通仕様書」に基づき各設計業務内容から選定し事例として記載した。今回整理した対象事業は「道路」「トンネル」「橋梁」である。
この「活用項目」では、従来の2次元情報に基づき行っていた設計業務における照査・確認業務のうちBIM/CIMモデルを活用して形状情報を立体的に把握し、また、関連する情報を属性情報等として付与することで情報の利活用性を向上させ、高度化、効率化が図られることが期待される項目を「詳細設計照査要領」の照査項目等を参考に設定し「確認内容」として選定し、その際に活用するBIM/CIMモデルの要件を目安として整理している。
なお、記載している事例は活用を推奨しているものであること、また、活用するBIM/CIMモデルの要件については目安であることに留意し、必要に応じて受発注者間で事前協議等を行うものとする。
4.1 道路
道路の設計段階におけるBIM/CIMモデルの活用事例を以下に示す。
【解説】
「詳細設計照査フローチャート」「設計業務等共通仕様書」の実施内容・成果物、 「BIM/CIMモデル」の関係を次に示す。
※図中の【設計業務等共通仕様書】の業務内容のうち着色したものについて、以下に「活用項目」として事例を記載している。
設計業務を実施する中でBIM/CIMモデルを作成又は更新するとともに、従来の設計業務における確認作業を効率化・高度化するためにBIM/CIMモデルを活用する。
図 4-1 照査フロー、設計業務等共通仕様書の実施内容・成果物及びBIM/CIMモデルの関係【道路 詳細設計】
4.1.1 現地踏査
(1)活用内容
設計に必要な現地状況を把握するためにBIM/CIMモデルを活用して構造物等の位置、交差又は付替道路、用排水系統等について確認するとともに、当該設計箇所における地形、地質、地物、植生、土地利用状況等についても確認を行うものとする。
【活用事例】
- 現況地形データの取得(点群データ)に合わせ、既設構造物や重要インフラ施設などをモデル化。
- 可視化したモデルにより現地状況を確認するとともに、後工程の施工計画等における高圧電線など保安距離の照査に活用する。
図 4-2 現地踏査において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「現地踏査」で把握した情報を地形モデル等に反映し3次元的に確認するとともに、これらの情報を後工程に引き継ぐことで、業務の高度化、効率化を図る。
【解説】
「現地踏査」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
次表の「確認内容及びBIM/CIMモデルの要件」の定義については以下のとおりである。
確認内容:
『詳細設計照査要領』の照査項目一覧表の照査内容等を参考に、照査内容等のうちBIM/CIMモデルの活用が期待される内容を設定している(下線部)。なお、設定した項目以外におけるBIM/CIMモデルの活用を妨げるものではない。
BIM/CIMモデル作成のポイント:
作業負担を考慮の上、確認内容で活用するBIM/CIMモデルを効果的に作成するための留意事項を示したものである。
BIM/CIMモデルの種類:
活用するBIM/CIMモデルを構成する主なBIM/CIMモデルの種類を示したものである。必要に応じて、ここで示す種類以外のBIM/CIMモデルについても組み合わせることとする。
詳細度(※):
BIM/CIMモデルを用いて確認内容を把握できるよう、その段階で必要とされるBIM/CIMモデルの詳細度の目安を示したものである。
属性情報等(※):
BIM/CIMモデルを用いて確認内容を把握できるよう、その段階で必要とされるBIM/CIMモデルの属性情報や参照資料の目安を示したものである。各事業の性質や後工程での活用を考慮して、適宜取捨選択することとする。
(※)最終的な設計成果物として納品するBIM/CIMモデルの詳細度及び属性情報等については、『3次元モデル成果物作成要領(案)』において示すが、ここで示すものは最終的な設計成果物に至るまでの各段階における目安を示したものであることに留意されたい。
表 4-1 「現地踏査」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作 成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデ ルの種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 地形、地質、気象、用・排 水、 土地利用状況(用地)、保安 林や土砂災害指定地等の各 種指定区域の有無を把握し たか。また、道路排水の接続 先について確認したか。 | ・線的な物件は線形 モ デル又は簡 易な 構 造物モデル でよ い ・周辺の土地利用状 況 など面的に 表現 す る場合はサ ーフ ェ スなどで領 域を 示す | 地形モデル 地質・土質モ デル 線形モデル 構造物モデル | ~200 | ・地形・地質 条件 ・現地状 況 及び施設 等 の情報 |
2 | 沿道状況(取付道路、取付坂 路含む)、交通状況(自転車、 歩行者含む)、道路利用状況 (通学路指定の有無、歩道 構造、乗入部含む)、河川状 況等を把握したか。 | ・線的な物件は線形 モ デル又は簡 易な 構 造物モデル でよ い | 地形モデル 線形モデル 構造物モデル | ~200 | ・把握し た 各状況の 情 報 |
3 | 近接して施設及び人家等が ある場合、盛土に伴う引込 み沈下による影響の懸念が ないか確認したか。 | - | - | - | (・沈下影響 等の検討 情 報) |
4 | 社会環境状況を把握した か。(日照、騒音、振動、電 波状況、水質汚濁、土壌汚 染、動植物、井戸使用等) また、環境調査等の資料の 有無を確認し入手したか。 | - | - | - | (・社会環境 状況の情報 ・環境調 査 等の資料) |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作 成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデ ルの種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
5 | 台帳等を入手したうえで、 支障物件の状況を把握した か。(地下埋設物:下水、水 道、ガス、電力、NTT、通信、 共同溝 等及び架空線、樹 木、名勝、旧跡等) | ・線的な物件は線形 モ デル又は簡 単な 構 造物モデル でよ い ・面的に表現する場 合 はサーフェ スな どで領域を示す | 地形モデル 線形モデル 構造物モデル | ~200 | ・支障物 件 の情報 |
6 | 施工計画の条件に係わる現 地状況を把握したか。(ヤー ド、工事用水、濁水処理、工 事用電力、工事用建物敷地、 交通条件、進入路、周辺関連 工事の進捗状況等) | ・面的に表現する場 合 はサーフェ ス又 は 簡単な構造 物モ デルで領域を示す ・重機オブジェクト を配置し確認する | 地形モデル 構造物モデル | ~200 | ・施工条 件 など特記 情 報 |
7 | 施工済み構造物について工 事完成図面は確認したか。 また、現地状況は整合して いるか。 | - | - | - | (・既設構造 物図面な ど 関係情報) |
8 | 発注者と合同で現地踏査を 実施したか。 | - | - | - | - |
※確認内容:道路詳細設計照査要領を参考
4.1.2 設計図(一般図)
(1)活用内容
BIM/CIMモデルを活用して位置、取り合い(道路現況構造物)及び地盤条件とその構造物の整合が適切にとれているかの確認を行う。また、埋設物、支障物件、周辺施設との近接等、施工条件が設計計画に反映されているかの確認を行う。
【活用事例】
・地形モデル、線形モデル、土工形状モデル、構造物モデルから統合モデルを作成。航空写真を地形モデルに張り付けることで周辺の土地利用状況の把握も可能。
図 4-3 設計図(一般図)において活用するBIM/CIMモデルの例
(2) BIM/CIMモデルの活用方法
「設計図(一般図)」に該当する情報をBIM/CIMモデル化し、3次元的に確認することで、一般図作成段階における設計確認の高度化、効率化を図る。
【解説】
「設計図(一般図)」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「3.1.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」を参照。
表 4-2 「設計図(一般図)」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作 成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報 等 |
1 | 平面図、縦断図、横断図は 設計基本条件と整合が図 られているか。 | ・主構造物は外形形 状を正確に表現する が、付帯工などは詳 細度 200 程度とし補 足情報を参照資料と して付与することで よい | 地形モデル 地質・土質モデ ル 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~300 | ・設計基本 条件情報 ・設計計算 書等 |
※確認内容:道路詳細設計照査要領を参考
4.1.3 設計図(詳細図)
(1)活用内容
設計結果に基づき以下の1)~6)の図(従前の2次元成果物)の要素を含んだBIM/CIMモデルを作成するものとする。なお、工事発注に際して留意すべき設計条件等は属性情報等としてBIM/CIMモデルに付与し設計の確認に活用する。
1)路線図
2)平面図
3)縦断図
4)標準横断図
5)横断図
6)詳細図
【活用事例】
・橋台背面の補強土壁工についてBIM/CIMモデルを作成し、橋台躯体や埋設水路ボックスと壁面材、補強材の干渉確認を実施。
図 4-4 設計図(詳細図)において活用するBIM/CIMモデルの例(1)
【活用事例】
- 既往の航空測量データ及び本業務で実施した測量成果に基づく地形モデル上に、土工形状モデル、付帯構造物を含めたBIM/CIMモデルを作成し道路設計の照査を行うとともに、併せて用地幅杭の照査を実施した。
- 従来の2次元図面では判定が困難であった代表横断面間の法尻線、水路と用地幅杭の位置等が確認でき非常に有意義である。
- また、本事例では、作成したBIM/CIMモデルを活用し、ARコンテンツや3D模型(プリンター出力)も作成し地元説明に活用した。モデル作成に労力は要するが、地権者の方との認識確認や合意形成の効率化など事業の推進に有効なツールとなる。
図 4-5 設計図(詳細図)において活用するBIM/CIMモデルの例(2)
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「設計図(詳細図)」に該当する情報をBIM/CIMモデル化し、3次元的に確認することで、詳細図作成段階における設計確認の高度化、効率化を図る。
【解説】
「設計図(詳細図)」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「3.1.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」を参照。
表 4-3 「設計図(詳細図)」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル 作成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 打合せ事項は反映されてい るか。 | - | - | - | (・打合せ事 項 に 関す る 資料) |
2 | 縮尺、用紙サイズ等は共通 仕様書、または、特記仕様 書と整合しているか。 | - | - | - | - |
3 | 全体一般図等に必要な項目 が記載されているか。(函 渠、擁壁等)、(設計条件、 地質条件等) | - | 地形モデル 地質・土質モデル 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・設計計算書 等 |
4 | 工事にあたっての留意点を 記載したか。 | - | - | - | (・施工への 申 し 送り 情 報) |
5 | 起点・終点は適正か。 | - | 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・起終点情報 |
6 | 必要寸法、部材形状及び寸 法等にもれはないか。 | ・寸法、注記情報 等を付与する場 合は 3 次元モデル 表記標準(案)を 参考とする | 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・注記情報記 載の図面等 |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル 作成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
7 | 使用材料及びその配置は計 算書と一致しているか 。 | ・使用材料情報は 属性情報等とし て付与する | 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・使用材料情 報 ・設計計算書 等 |
8 | 設計図に防護柵の材料の仕 様を明記しているか。(T- 20 対応,JIS 番号,防錆処 理 HDZ55 等) | ・規格情報等は属 性情報等として 付与する | 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・使用材料 情報 ・設計計算 書等 |
9 | 設計計算書の結果が正しく 図面に反映されているか。 (特に応力計算、安定計算 等の結果が適用範囲も含め て整合しているか。) ・かぶり ・壁厚 ・鉄筋(径、ピッチ、使 用材料、ラップ位置、ラッ プ長、主鉄筋の定着長、段 落し位置、ガス圧接位置) ・鋼材形状、寸法 ・使用材料 ・その他 | ・干渉確認部以外 で 配 筋 の BIM/CIM モデル 化を省略する場 合は 2 次元図面を 参照情報として 付与する ・継手部の位置は 簡易なモデル(マ ーク表記可)で表 現する場合は継 手の種別(重ね継 手、圧接継手、機 械式継手など)を 属性情報として 付与する | 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・設計計算書 等 ・配筋図 ・継手種別情 報 |
10 | 鉄筋同士の干渉はないか。 または鉄筋と干渉する部材 がないか。 | ・干渉確認部以外 で 配 筋 の BIM/CIM モデル 化を省略する場 合は 2 次元図面を 参照情報として 付与する | 構造物モデル | ~400 | ・BIM/CIM モ デ ル 化 しな い 2 次元図面 等 |
11 | 施工に配慮した設計図とな っているか。 | - | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・施工への申 し送り情報 |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル 作成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
12 | レイアウト、配置、文字サ イズ等は適切か。 | - | - | - | - |
13 | 解り易い注記が記載されて いるか。 | ・重要な注記事項 は 3 次元モデル表 記標準(案)を参 考に表記する | 土工形状モデル 地形モデル 構造物モデル | ~400 | ・注記情報記 載の図面等 |
14 | 赤黄チェック等による指摘 内容に基づき、設計計算書 を適正に修正したか。 | - | - | - | - |
15 | 図面が明瞭に描かれている か。(構造物と寸法線の使 いわけがなされているか。) | - | - | - | - |
16 | 工種・種別・細別は工種別 体系と一致しているか。 | ・『土木工事数量 算出要領(案)』 及び『土木工事数 量算出要領(案) に 対 応 す る BIM/CIM モデル 作成の 手引き (案)』を参照 | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・数量総括表 など |
※確認内容:道路詳細設計照査要領を参考
4.1.4 施工計画
(1)活用内容
BIM/CIMモデルを活用し必要な施工計画の確認を行うものとする。
【活用事例】
- 施工計画の主要なステップについて、施工機械及び仮設構造物を3次元モデル化し、作業ヤード及び施工機械の配置計画を反映した施工モデルを作成。
- 作成したモデルに時間及び費用を属性情報等として付与し、5D(3D+時間軸+コスト)シミュレーションモデルを作成し、施工時の工程及び費用の可視化による合意形成の効率化を図った。
図 4-6 施工計画において活用するBIM/CIMモデルの例
(2) BIM/CIMモデルの活用方法
「施工計画」では計画の検討等に必要な情報をBIM/CIMモデルを活用し3次元的に確認することで、施工計画検討の高度化、効率化を図る。
【解説】
「施工計画」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.1.1 4.1.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」を参照。
表 4-4 「施工計画」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が 期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報 等 |
1 | 工区分けは適正か。(暫定 施工の有無を含む) ま た、土量バランスや運土 計画を考慮しているか。 | - | - | - | - |
2 | 他事業や他工事との土配 処理等の整合を確認した か。 | - | - | - | (・他事業 や他工事 の土配処 理等の情 報) |
3 | 打合せ事項は反映されて いるか。 | - | - | - | (・打合せ 事項記録 簿) |
4 | 施工方法及び手順は妥当 か。また、他工区と施工時 期の調整は 取れている か。支障物や埋設物の撤 去・移設は考慮している か。 | ・施工方法、施工手順 は、主たる BIM/CIM モデルとは別に作成 してもよい ・設計-施工間の情 報連携を目的とした 4次元モデル活用の 手引き(案)を参考に 作成する | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~200 | ・施工への 申し送り 情報 |
5 | 暫定施工の考え方(幅員 の整合、線形のすりつけ | ・暫定と将来完成形 施工の比較ができる | 地形モデル 線形モデル | ~300 | ・暫定施工 に関する |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が 期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報 等 |
など)に問題はないか。 | よう作成する。 | 土工形状モデル 構造物モデル | 検討資料 等 | ||
6 | 工事用道路(長尺物等の 搬入)の経路・勾配は妥当 か。 | ・線形モデル及び簡 単な土工形状、構造 物モデルでよい | 地形モデル 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~200 | ・工事用道 路の使用 目的、設計 概要情報 |
※確認内容:道路詳細設計照査要領を参考
4.1.5 数量計算
(1)活用内容
『土木工事数量算出要領(案)』及び『土木工事数量算出要領(案)に対応するBIM/CIMモデル作成の手引き(案)』に基づきBIM/CIMモデルを活用して数量の算出を行う。算出した結果等についてはBIM/CIMモデルの属性情報等として付与するものとする。
【活用事例】
- 土量算出において、作成した土工形状モデル及び土層サーフェスモデルを用いて、盛土及び土軟硬別の掘削土量を自動算出する。
- 従来の2次元図面からの平均断面法による数量算出に比べ、BIM/CIMモデルを利用した自動算出により、労力、時間を短縮することができ、業務効率化が図られた。
図 4-7 数量計算において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「数量計算」ではBIM/CIMモデルを活用した数量の算出、算出した数量情報等を属性情報等として付与し確認を行うことで、業務の高度化、効率化を図る。
【解説】
「数量計算」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.1.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」を参照。
表 4-5「数量計算」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作 成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 数量計算は、数量算出要領 及び打合せ事項と整合し ているか。(有効数字、位 取り、単位、区分等) | ・『土木工事数量算 出要領(案)』及び 『土木工事数量算 出要領(案)に対応 する BIM/CIM モデ ル 作 成 の 手 引 き (案)』を参照する とともに、必要に応 じモデルを分割し、 必要な属性情報を 付与する。 | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル 地質・土質モデ ル | ~400 | ・数量総括 表など |
2 | 数量計算に用いた寸法、数 値、記号は図面と一致する か。 | - | - | - | - |
3 | 数量取りまとめは、種類 毎、材料毎に打合せ区分に あわせてまとめられてい るか。 | ・『土木工事数量算 出要領(案)』及び 『土木工事数量算 出要領(案)に対応 する BIM/CIM モデ ル 作 成 の 手 引 き (案)』を参照 | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル 地質・土質モデ ル | ~400 | ・数量総括 表など |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作 成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
4 | 数量計算の根拠となる資 料(根拠図等)は作成して いるか。 | - | - | - | (・算出根拠 情報) |
5 | 赤黄チェック等による指 摘内容に基づき、数量計算 書を適正に修正したか。 | - | - | - | - |
6 | 施工区分及び段階施工、暫 定施工を考慮した数量計 算書となっているか。 | - | - | - | - |
7 | 工種・種別・細別は工種別 体系と一致しているか。 | ・『土木工事数量算 出要領(案)』及び 『土木工事数量算 出要領(案)に対応 する BIM/CIM モデ ル 作 成 の 手 引 き (案)』を参照 | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル 地質・土質モデ ル | ~400 | ・工種別体 系情報 ・数量総括 表など |
8 | 数量全体総括、工区総括、 ブロック総括等、打ち合わ せと整合し、かつ転記ミス や集計ミスがないか。 | - | - | - | - |
9 | 使用する材料の規格及び 強度等は記入されている か。 | ・『土木工事数量算 出要領(案)』及び 『土木工事数量算 出要領(案)に対応 する BIM/CIM モデ ル 作 成 の 手 引 き (案)』を参照する とともに、必要に応 じモデルを分割し、 必要な属性情報を 付与する。 | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル 地質・土質モデ ル | ~400 | ・材料の規 格情報等 |
※確認内容:道路詳細設計照査要領を参考
4.2 トンネル
トンネルの設計段階におけるBIM/CIMモデルの活用事例を以下に示す。
【解説】
「詳細設計照査フローチャート」「設計業務等共通仕様書」の実施内容・成果物、「BIM/CIMモデル」の関係を次に示す。
※図中の【設計業務等共通仕様書】の業務内容のうち着色したものについて、以下に「活用項目」として事例を記載している。
設計業務を実施する中でBIM/CIMモデルを作成又は更新するとともに、従来の設計業務における確認作業を効率化・高度化するためにBIM/CIMモデルを活用する。
図 4-8 照査フロー、設計業務等共通仕様書の実施内容・成果物及びBIM/CIMモデルの関係【トンネル 詳細設計】
4.2.1 現地踏査
(1)活用内容
設計に先立って現地踏査を行い、設計図書に示された設計範囲及び貸与資料と現地との整合性を目視により確認するものとする。また、地形、地質等の自然条件、地物、環境条件等の周辺状況等、現地の状況を把握し、併せて工事用道路・施工ヤード等の施工性の判断及び施工設備計画の立案に必要な現地状況などの踏査結果をBIM/CIMモデルを活用して確認を行うものとする。
【活用事例】
- トンネル坑口周辺の現地踏査結果及び土砂災害危険区域情報などをBIM/CIMモデルを活用して整理、確認する。
- 事例は、本編「道路」及び「橋梁」を参考とする。
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「現地踏査」で把握した情報を地形モデル等に反映し3次元的に確認するとともに、これらの情報を後工程に引き継ぐことで、業務の高度化、効率化を図る。
【解説】
「現地踏査」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
次表の「確認内容及びBIM/CIMモデルの要件」の定義については以下のとおりである。
確認内容:
『詳細設計照査要領』の照査項目一覧表の照査内容等を参考に、照査内容等のうちBIM/CIMモデルの活用が期待される内容を設定している(下線部)。なお、設定した項目以外におけるBIM/CIMモデルの活用を妨げるものではない。
BIM/CIMモデル作成のポイント:
作業負担を考慮の上、確認内容で活用するBIM/CIMモデルを効果的に作成するための留意事項を示したものである。
BIM/CIMモデルの種類:
活用するBIM/CIMモデルを構成する主なBIM/CIMモデルの種類を示したものである。必要に応じて、ここで示す種類以外のBIM/CIMモデルについても組み合わせることとする。
詳細度(※):
BIM/CIMモデルを用いて確認内容を把握できるよう、その段階で必要とされるBIM/CIMモデルの詳細度の目安を示したものである。
属性情報等(※):
BIM/CIMモデルを用いて確認内容を把握できるよう、その段階で必要とされるBIM/CIMモデルの属性情報や参照資料の目安を示したものである。各事業の性質や後工程での活用を考慮して、適宜取捨選択することとする。
(※)最終的な設計成果物として納品するBIM/CIMモデルの詳細度及び属性情報等については、『3次元モデル成果物作成要領(案)』において示すが、ここで示すものは最終的な設計成果物に至るまでの各段階における目安を示したものであることに留意されたい。
表 4-6「現地踏査」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 地形、地質、斜面状況、 用・排水、現地、土地利 用状況(用地)、保安林 や土砂災害指定地等の 各種指定区域の有無を 把握したか。 | ・線的な物件は線形モ デル又は簡易な構造物 モデルでよい ・周辺の土地利用状況 など面的に表現する場 合はサーフェスなどで 領域を示す | 地形モデル 地質・土質モデル 線形モデル 構造物モデル | ~200 | ・地形・地質 条件 ・現地状況 及び施設等 の情報 |
2 | 沿道状況(取付道路、取 付坂路含む)、交通状況 (自転車、歩行者含む)、 道路利用状況(通学路 指定の有無、歩道形式、 乗入部含む)、河川状況 等を把握したか。 | ・線的な物件は線形モ デル又は簡易な構造物 モデルでよい | 地形モデル 線形モデル 構造物モデル | ~200 | ・把握した 各状況の情 報 |
3 | 隣接既設構造物を把握 し、その構造や離隔を 確認したか。(鉄道、道 路、河川、水路、送電線 鉄塔等) | ・線的な物件は線形モ デル又は簡易な構造物 モデルでよい | 地形モデル 線形モデル 構造物モデル | ~200 | ・隣接既設 構造物の構 造等の情報 (管理者情 報含む) |
4 | 気象条件を把握した か。 | - | - | - | - |
5 | 掘削の影響が懸念され る水源地(井戸、ため池 等)の有無を確認した か。 | - | - | - | (・水文調 査報告書 等) |
6 | 社会環境状況を把握し たか。(日照、騒音、振 動、電波状況、水質汚 濁、土壌汚染、動植物、 周辺の水利用状況等) また、環境調査等の資 料の有無を確認し入手 したか。 | - | - | - | (・社会環 境状況の情 報 ・環境調査 等の資料) |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
7 | 台帳等を入手したうえ で、支障物件の状況を 把握したか。(地下埋設 物:下水、水道、ガス、 電力、NTT、通 信、共 同 溝 等及び架空線、樹 木、名勝、旧跡等) | ・線的な物件は線形モ デル又は簡単な構造物 モデルでよい ・面的に表現する場合 はサーフェスなどで領 域を示す | 地形モデル 線形モデル 構造物モデル | ~200 | ・支障物件 の情報 |
8 | 施工計画の条件を把握 したか。(施工ヤード(施 工機械配置、現道切り 回しヤード等)、工事用 水、濁水処理、工事用電 力、工事用建物敷地、交 通条件、進入路、周辺関 連工事の進捗状況等) | ・面的に表現する場合 はサーフェス又は簡単 な構造物モデルで領域 を示す ・重機オブジェクトを 配置し確認する | 地形モデル 構造物モデル | ~200 | ・施工条件 など特記情 報 |
9 | 施工済み構造物につい て工事完成図面は確認 したか。また現地状況 は整合しているか。 | - | - | - | (・既設構 造物図面な ど関係情 報) |
10 | 発注者と合同で現地踏 査を実施したか。 | - | - | - | - |
※確認内容:山岳トンネル詳細設計照査要領を参考
4.2.2 関係機関との協議資料作成
(1)活用内容
関係機関との協議用資料・説明用資料を作成する場合はBIM/CIMモデルを活用するものとする。
【活用事例】
- Ⅱ期線施工に合わせて施工する避難連絡坑のモデルを使用し施工ステップを作成し、Ⅰ期線側の通行止めなどの関係者間協議に活用。
図 4-9 関係機関との協議資料作成において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「関係機関との協議資料作成」では、BIM/CIMモデルを活用した視覚的な資料により説明を行うとともに、協議調整事項を属性情報等として付与することで、業務の高度化、効率化を図る。
【解説】
「関係機関との協議資料作成」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.1.2 4.2.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」を参照。
表 4-7 「関係機関との協議資料作成」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 関連機関との調整内容 を確認したか。 | ・調整内容は、簡易な モデルで位置等を示 し、属性情報等を付与 する | 地形モデル 構造物モデル | ~200 | ・関連機関と の調整内容 |
2 | 地権者及び地元等の調 整内容を確認したか。 | ・調整内容は、簡易な モデルで位置等を示 し、属性情報等を付与 する ・区分地上権の範囲 の範囲などをサーフ ェスなどで領域を示 す。 | 地形モデル 構造物モデル | ~200 | ・地権者及び 地 元等と の 調整内容 |
3 | 協議調整事項は設計に 反映されているか。 | - | - | - | - |
4.2.3 景観検討
(1)活用内容
坑門工等の景観検討を行う場合はBIM/CIMモデルを活用するものとする。
【活用事例】
- 坑門工の検討において、2次元図面により行っていたものをBIM/CIMモデルを活用して実施。
- 立体視できること、坑口及びその周辺の形状や色彩等がわかりやすく、景観性を容易かつ迅速に判断・評価可能。
図 4-10 景観検討において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「景観検討」では、景観の妥当性の比較検討等にBIM/CIMモデルを活用することで、業務の高度化、効率化を図る。
【解説】
「景観検討」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.2.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」を参照。
表 4-8 「景観検討」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 | BIM/CIM モデル 作成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 景観の妥当性などを確認 する。 | ・比較検討に必要 な範囲をモデル化 する(必要以上の 作り込みに留意す る) | 地形モデル 構造物モデル | ~300 | ・比較検討結 果等の情報 |
4.2.4 設計図(一般図)
(1)活用内容
関連道路設計で決定した平面・縦断線形及び当該設計の検討結果に基づき一般図(平面図、縦断図、標準断面図)ならびに地質平面・縦断図、坑門工一般図をBIM/CIMモデルを活用し設計基本条件等との整合を確認するものとする。
【活用事例】
- トンネル一般図に示す情報を統合モデルで表現し、地質縦断図などは準3次元地盤モデルを用いて視覚的に分かりやすくした。
図 4-11 設計図(一般図)において活用するBIM/CIMモデルの例(1)
【活用事例】
- トンネル坑口部の構造と、別設計の橋梁設計成果から橋台部の整合について、2次元図面では判別しにくい箇所も確認が可能。
図 4-12 設計図(一般図)において活用するBIM/CIMモデルの例(2)
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「設計図(一般図)」に該当する情報をBIM/CIMモデル化し、3次元的に確認することで、一般図作成段階における設計確認の高度化、効率化を図る。
【解説】
「設計図(一般図)」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.2.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」を参照。
表 4-9 「設計図(一般図)」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作 成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデ ルの種類 | 詳細度 | 属性情報 等 |
1 | 一般平面図、縦断図、横断 図は妥当か。(設計基本条 件との整合が図られている か) | ・主構造物は外形 形状を正確に表現 するが、付帯工な どは詳細度 200 程 度とし補足情報を 参照資料として付 与することでよい | 地形モデル 地質・土質モデ ル 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~300 | ・ 設計 基 本情報 ・ 設計 計 算書等 |
4.2.5 設計図(詳細図)
(1)活用内容
関連道路設計及び当該設計で決定した事項に基づき、以下に示す2次元設計図の要素を含んだBIM/CIMモデルを作成し設計の確認に活用するものとする。
1)トンネル位置図
2)平面図、縦断図
3)地質平面・縦断図
4)トンネル標準断面図及び支保工詳細図
5)本体工補強鉄筋図
6)坑門工一般図及び坑門工構造詳細図
7)排水系統図及び排水工詳細図
8)防水工等詳細図
9)舗装工詳細図
10)非常用施設配置図及び箱抜詳細図
【活用事例】
- トンネル内の排水工、監視員通路などをモデル化し、設計条件、建築限界、非常駐車帯の配置の確認が容易となる。
図 4-13 設計図(詳細図)において活用するBIM/CIMモデルの例(1)
- トンネル坑口部の路面排水管や別工種で計画されている非常用施設配管の計画をモデル化。
- 干渉を事前に確認可能となり、後工程の舗装工事・設備工事での埋設物確認が容易となる。
図 4-14 設計図(詳細図)において活用するBIM/CIMモデルの例(2)
- トンネル非常用施設用の箱抜部の形状と位置をモデル化。
- トンネル本体工事で施工者が行う覆工コンクリートのスパン割り、地山状況や湧水等による位置調整が容易となる。
図 4-15 設計図(詳細図)において活用するBIM/CIMモデルの例(3)
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「設計図(詳細図)」に該当する情報をBIM/CIMモデル化し、3次元的に確認することで、詳細図作成段階における設計確認の高度化、効率化を図る。
【解説】
「設計図(詳細図)」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.2.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」を参照。
表 4-10 「設計図(詳細図)」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 打合せ事項は反映さ れているか。 | - | - | - | (・打合せ事項 に関する資料) |
2 | 縮尺、用紙サイズ等は 共通仕様書、または、 特記仕様書と整合さ れているか。 | - | - | - | - |
3 | 必要寸法、部材形状及 び寸法等にもれはな いか。 | ・寸法、注記情報等を付 与する場合は 3 次元モ デル表記標準(案)を参 考とする | 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | 注記情報記載の 図面等 |
4 | 全体一般図等に必要 な項目が記載されて いるか。(設計条件、 地質条件、建築限界 等) | - | 地形モデル 地質・土質モデ ル 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | 設計計算書等 |
5 | 工事にあたっての留 意点を記載したか。 | - | - | - | (・施工への申 し送り情報) |
6 | 使用材料及びその配 置は計算書と一致し ているか 。 | ・使用材料情報は属性 情報等として付与する | 構造物モデル | ~400 | ・使用材料情報 ・設計計算書等 |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
7 | 各設計図が相互に整 合しているか。 ・一般平面図と縦断 図 ・構造図と配筋図 ・構造図と仮設図 | - | 地形モデル 地質・土質モデ ル 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・設計基本条件 情報 |
8 | 構造図の基本寸法、高 さ関係は照合されて いるか。 | - | 土工形状モデル 構造物モデル | ~300 | ・設計計算書等 |
9 | 鉄筋の最大定尺長及 び継手(圧接、重ね継 手)は適正か。 | ・継手部の位置は簡易 なモデル(マーク表記 可)で表現する場合は 継手の種別(重ね継手、 圧接継手、機械式継手 など)を属性情報とし て付与する | 地形モデル 構造物モデル | ~400 | ・鉄筋の種別、長 さ情報 ・継手種別情報 |
10 | 設計計算書の結果が 正しく図面に反映さ れているか。 (特に 応力計算、安定計算等 の結果が適用範囲も 含めて整合している か。) ・かぶり ・壁厚 ・鉄筋(径、ピッチ、 使用材料、ラップ位 置、ラップ長、主鉄筋 の定着長、段落し位 置、ガス圧接位置) ・鋼材形状、寸法 ・使用材料 ・その他 | ・干渉確認部以外で配 筋の BIM/CIM モデル 化を省略する場合は 2 次元図面を参照情報と して付与する ・継手部の位置は簡易 なモデル(マーク表記 可)で表現する場合は 継手の種別(重ね継手、 圧接継手、機械式継手 など)を属性情報とし て付与する | 構造物モデル | ~400 | ・設計計算書 ・配筋図 ・継手種別情報 |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
11 | 鉄筋同士の干渉はな いか。または、鉄筋と 干渉する部材がない か。箱抜き補強が必要 な場合の配筋は妥当 か。 | ・干渉確認部以外で配 筋の BIM/CIM モデル 化を省略する場合は 2 次元図面を参照情報と して付与する | 構造物モデル | ~400 | ・BIM/CIM モデ ル化しない 2 次 元図面等 |
12 | 施工に配慮した設計 図となっているか。 | - | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・施工への申し 送り情報 |
13 | 構造詳細は適用基準 及び打合せ事項と整 合しているか。 | - | 地形モデル 構造物モデル | ~400 | ・設計基本条件 情報 ・適用した基準 等 |
14 | 取り合い部の構造寸 法は適正か。 | - | 構造物モデル | ~400 | ・設計計算書 |
15 | レイアウト、配置、文 字サイズ等は適切か。 | - | - | - | - |
16 | 解り易い注記が記載 されているか。 | ・重要な注記事項は 3 次元モデル表記標準 (案)を参考に表記す る | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・注記情報記載 の図面等 |
17 | 図面が明瞭に描かれ ているか。(構造物と 寸法線の使いわけが なされているか。) | - | - | - | - |
18 | 工種・種別・細別は工 種別体系と一致して いるか | ・『土木工事数量算出要 領(案)』及び『土木工 事数量算出要領(案)に 対応する BIM/CIM モ デル 作成 の手 引き (案)』を参照 | 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・起終点情報 |
※確認内容:山岳トンネル詳細設計照査要領を参考
4.2.6 施工計画
(1)活用内容
下記に示す事項に関する検討をBIM/CIMモデルを活用して行うものとする。
1)トンネルの施工法、施工順序及び施工機械
2)工事工程計画
3)施工ヤード計画
【活用事例】
- 山岳区間と函渠区間の接合部の施工手順の再現、山岳トンネルの支保、補助工法をモデル化し、異種構造物が接合する当区間の課題の洗い出し、施工手順の適正について検証にBIM/CIMモデルを活用することで、照査作業の効率化を図った。
図 4-16 施工計画において活用するBIM/CIMモデルの例(1)
- 坑口部への工事用進路及び仮設備をBIM/CIMモデルで可視化し、工事用進路と仮設備の配置を検討・計画。
図 4-17 施工計画において活用するBIM/CIMモデルの例(2)
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「施工計画」では計画の検討等に必要な情報をBIM/CIMモデルを活用し3次元的に確認することで、施工計画検討の高度化、効率化を図る。
【解説】
「施工計画」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.2.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」を参照。
表 4-11 「施工計画」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活 用が期待される項目 | BIM/CIM モデル 作成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 打合せ事項は反映され ているか。 | - | - | - | (・打合せ事 項記録簿) |
2 | 施工方法及び手順は妥 当か。他工区と施工時 期の調整は取れている か。また、支障物や埋設 物の撤去・移設は考慮 しているか。 | ・施工方法、施工 手順 は、主た る BIM/CIM モデル とは別に作成して もよい ・設計-施工間の 情報連携を目的と した4次元モデル 活用の手引き(案) を参考に作成する | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~200 | ・施工への申 し送り情報 |
3 | 施工ヤードの位置及び 配置計画及び面積は妥 当か。 | ・簡 単な土工 形 状、構造物モデル でよい | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~200 | ・施工ヤード の概要 |
4 | 工事用道路(長尺物等 の搬入)の経路は妥当 か。 | ・線形モデル及び 簡単な土工形状、 構造物モデルでよ い | 地形モデル 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~200 | ・工事用道路 の使用目的、 設計概要情報 |
5 | 工区割は妥当か。 | - | - | - | - |
※確認内容:山岳トンネル詳細設計照査要領を参考
4.2.7 数量計算
(1)活用内容
『土木工事数量算出要領(案)』及び『土木工事数量算出要領(案)に対応するBIM/CIM モデル作成の手引き(案)』に基づきBIM/CIMモデルを活用して数量の算出を行う。算出した結果等についてはBIM/CIMモデルの属性情報等として付与するものとする。
【活用事例】
- トンネル本体、坑口などの構造物モデルを活用し数量を算出。
- 従来手法(平均断面法)よりもBIM/CIMモデル(3次元CADによる自動算出)のほうがより精度の高い数量が算出可能。
- 従来手法(平均断面法)での計算断面に現れない土層も、BIM/CIMでは正確に数量算出可能。
図 4-18 数量計算において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「数量計算」ではBIM/CIMモデルを活用した数量の算出、算出した数量情報等を属性情報等として付与し確認を行うことで、業務の高度化、効率化を図る。
【解説】
「数量計算」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.2.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」を参照。
表 4-12 「数量計算」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作 成のポイント | 使 用 す る 主 な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 数量計算は、数量算出要 領及び打合せ事項と整合 しているか。(有効数字、 位取り、単位、区分等) | ・『土木工事数量算 出要領(案)』及び 『土木工事数量算 出要領(案)に対応 する BIM/CIM モ デル作成の手引き (案)』を参照する とともに、必要に 応じモデルを分割 し、必要な属性情 報を付与する。 | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・数量総括表 など |
2 | 数量計算に用いた寸法、 数値、記号は図面と一致 するか。 | - | - | - | - |
3 | 数量取りまとめは、種類 毎、材料毎に打合せ区分 にあわせてまとめられて いるか。 | ・『土木工事数量算 出要領(案)』及び 『土木工事数量算 出要領(案)に対応 する BIM/CIM モ デル作成の手引き (案)』を参照 | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・数量総括表 など |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作 成のポイント | 使 用 す る 主 な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
4 | 数量計算の根拠となる資 料(根拠図等)は作成し ているか。 | - | - | - | (・算出根拠 情報) |
5 | 施工計画を反映した数量 計算となっているか。 | - | - | - | - |
6 | 工種・種別・細別は工種 別体系と一致している か。 | ・『土木工事数量算 出要領(案)』及び 『土木工事数量算 出要領(案)に対応 する BIM/CIM モデル作 成の手引き(案)』 を参照 | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・工種別体系 情報 ・数量総括表 など |
7 | 数量全体総括、工区総括 等が打ち合わせ内容と整 合し、かつ、転記ミスや 集計ミスがないか。 | - | - | - | - |
8 | 使用する材料の規格及び 強度等は記入されている か。 | ・『土木工事数量算 出要領(案)』及び 『土木工事数量算 出要領(案)に対応 する BIM/CIM モ デル作成の手引き (案)』を参照する とともに、必要に 応じモデルを分割 し、必要な属性情 報を付与する。 | 地形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・材料の規格 情報等 |
※確認内容:山岳トンネル詳細設計照査要領を参考
4.3 橋梁
橋梁の設計段階におけるBIM/CIMモデルの活用事例を以下に示す。
【解説】
「詳細設計照査フローチャート」「設計業務等共通仕様書」の実施内容・成果物、「BIM/CIMモデル」の関係を次に示す。
※図中の【設計業務等共通仕様書】の業務内容のうち着色したものについて、以下に「活用項目」として事例を記載している。
設計業務を実施する中でBIM/CIMモデルを作成又は更新するとともに、従来の設計業務における確認作業を効率化・高度化するためにBIM/CIMモデルを活用する。
図 4-19 照査フロー、設計業務等共通仕様書の実施内容・成果物及びBIM/CIMモデルの関係【橋梁 詳細設計】
4.3.1 現地踏査
(1)活用内容
架橋地点の現地踏査を効率化・高度化するため、設計図書に基づいた設計範囲及び貸与資料と現地との整合性をBIM/CIMモデルを活用して確認する。また、地形・地質等の自然状況、沿道・交差・用地条件等の周辺状況を把握し、合わせて工事用道路・施工ヤード等の施工性の判断に必要な基礎的な現地状況を把握する。
【活用事例】
- 現地踏査で確認した高圧線、地下埋設物をモデル化(近接施工、支障移転などの事前協議が必要となる物件などもモデル化が望まれる)
- モデル化により後工程の施工計画等の安全確認等に活用が可能
図 4-20 現地調査において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「現地踏査」で把握した情報を地形モデル等に反映し3次元的に確認するとともに、これらの情報を後工程に引き継ぐことで、業務の高度化、効率化を図る。
【解説】
「現地踏査」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
次表の「確認内容及びBIM/CIMモデルの要件」の定義については以下のとおりである。
確認内容:
『詳細設計照査要領』の照査項目一覧表の照査内容等を参考に、照査内容等のうちBIM/CIMモデルの活用が期待される内容を設定している(下線部)。なお、設定した項目以外におけるBIM/CIMモデルの活用を妨げるものではない。
BIM/CIMモデル作成のポイント:
作業負担を考慮の上、確認内容で活用するBIM/CIMモデルを効果的に作成するための留意事項を示したものである。
BIM/CIMモデルの種類:
活用するBIM/CIMモデルを構成する主なBIM/CIMモデルの種類を示したものである。必要に応じて、ここで示す種類以外のBIM/CIMモデルについても組み合わせることとする。
詳細度(※):
BIM/CIMモデルを用いて確認内容を把握できるよう、その段階で必要とされるBIM/CIMモデルの詳細度の目安を示したものである。
属性情報等(※):
BIM/CIMモデルを用いて確認内容を把握できるよう、その段階で必要とされるBIM/CIMモデルの属性情報や参照資料の目安を示したものである。各事業の性質や後工程での活用を考慮して、適宜取捨選択することとする。
(※)最終的な設計成果物として納品するBIM/CIMモデルの詳細度及び属性情報等については、『3次元モデル成果物作成要領(案)』において示すが、ここで示すものは最終的な設計成果物に至るまでの各段階における目安を示したものであることに留意されたい。
表 4-13 「現地踏査」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No . | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 地形、地質、気象、現地 状況(用・排水、土地利 用状況、用地境界、浸水 想定区域、土砂災害指定 地、埋蔵文化財の有無 等)を把握したか。 | ・『土木工事数量算出要 領(案)』及び『土木工 事数量算出要領(案)に 対応する BIM/CIM モ デル 作成 の手 引き (案)』を参照するとと もに、必要に応じモデ ルを分割し、必要な属 性情報を付与する。 | 地形モデル 地質・土質モデル 線形モデル 構造物モデル | ~200 | ・地形・地質 条件 ・現地状況 及び施設等 の情報 |
2 | 沿道状況、交通状況、道 路状況、河川状況を把握 したか。 | ・線的な物件は線形モ デル又は簡易な構造物 モデルでよい | 地形モデル 線形モデル 構造物モデル | ~200 | ・把握した 各状況の情 報 |
3 | 社会環境状況を把握し たか。(日照、騒音、振 動、電波状況、水質汚濁、 土壌汚染、動植物、井戸 使用等) また、環境調 査等の資料の有無を確 認し入手したか。 | - | - | - | (・社会環 境状況 ・環境調査 等の資料) |
4 | 支障物件の状況を把握 したか。(地下埋設物、 架空線、マンホール、電 柱等) | ・線的な物件は線形モ デル又は簡単な構造物 モデルでよい ・面的に表現する場合 はサーフェスなどで領 域を示す | 地形モデル 線形モデル 構造物モデル | ~300 | ・支障物件 の情報 |
5 | 施工計画の条件を把握 したか。(時期、ヤード、 環境、濁水処理、工事用 建物敷地、交通条件、安 全性、近接施工、架空線、 資機材の進入路等) | ・面的に表現する場合 はサーフェス又は簡単 な構造物モデルで領域 を示す ・重機オブジェクトを 配置し確認する | 地形モデル 構造物モデル | ~200 | ・施工条件 など特記情 報 |
No . | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
6 | 既設構造物との取り合 いを確認したか。 | ・既設構造物との取り 合いが確認できる程度 にモデル化し確認する | 構造物モデル | ~300 | ・既設構造 物図面など 関係情報 |
7 | 施工時の留意事項を把 握したか。 | - | - | - | (・施工条 件など特記 情報) |
8 | 施工範囲周辺の貴重動 植物を確認したか。ま た、対策の要否を確認し たか。 | ・面的に表現する場合 はサーフェスなどで領 域を示す | 地形モデル | - | ・自然環境 調査情報 |
9 | 施工済み構造物につい て工事完成図面は確認 したか。また現地状況は 整合しているか。 | - | - | - | (・既設構 造物図面な ど関係情 報) |
10 | 発注者と合同で現地踏 査を実施したか。 | - | - | - | - |
※確認内容:橋梁詳細設計照査要領を参考
4.3.2 関係機関との協議資料作成
(1)活用内容
関係機関との協議において、事業概要、調整内容を正確にわかりやすく説明するために、BIM/CIM モデルを活用する。
【活用事例】
- 鉄道敷との近接施工について、鉄道運転士から施工状況がどのように見えるか動画により検証し、鉄道事業者との協議に活用。
図 4-21 関係機関との協議資料作成において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「関係機関との協議資料作成」では、BIM/CIMモデルを活用した視覚的な資料により説明を行うとともに、協議調整事項を属性情報等として付与することで、業務の高度化、効率化を図る。
【解説】
「関係機関との協議資料作成」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.3.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」のとおりである。
表 4-14 「関係機関との協議資料作成」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 関連機関との調整内容 を確認したか。(河川協 議、鉄塔、送電線との近 接、交差協議、自然公園、 保安林及び埋蔵文化財 との調整等) | ・調整内容は、簡易な モデルで位置等を示 し、属性情報等を付与 する | 地形モデル 構造物モデル | ~200 | ・ 関連 機関 と の調 整内 容 |
2 | 地権者及び地元等の調 整内容を確認したか。 | ・調整内容は、簡易な モデルで位置等を示 し、属性情報等を付与 する | 地形モデル 構造物モデル | ~200 | ・ 地権 者及 び 地元 等と の調整内容 |
3 | 占有者との調整内容を 確認したか。 | ・調整内容は、簡易な モデルで位置等を示 し、属性情報等を付与 する | 地形モデル 構造物モデル | ~200 | ・ 占有 者と の調整内容 |
※確認内容:橋梁詳細設計照査要領を参考
4.3.3 景観検討
(1)活用内容
橋梁形式の選定や橋梁細部構造の決定に必要な景観検討を行う場合はBIM/CIMモデルを活用するものとする。
【活用事例】
- 交差点部の橋脚位置の違いの比較をBIM/CIMモデルを用い可視化し視認性、景観性の妥当性を確認。
図 4-22 景観検討において活用するBIM/CIMモデルの例(1)
- 鋼橋の塗装色の比較検討にBIM/CIMモデルを活用。なお、BIM/CIMモデルを用いた塗装色の比較の際は、ソフトウェア上での色彩の再現性に留意が必要。
図 4-23 景観検討において活用するBIM/CIMモデルの例(2)
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「景観検討」では、景観の妥当性の比較検討等にBIM/CIMモデルを活用することで、業務の高度化、効率化を図る。
【解説】
「景観検討」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.3.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」のとおりである。
表 4-15 「景観検討」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 景観の妥当性などを確 認する。 | ・比較検討に必要な範 囲を BIM/CIM モデル 化する(必要以上の作 り込みに留意する) | 地形モデル 構造物モデル | ~300 | ・比較検討 結果等の情 報 |
4.3.4 設計図(一般図)
(1)活用内容
一般図(平面図、側面図、上下部工・基礎工主要断面図)をBIM/CIMモデルとして作成する。BIM/CIMモデルには鉄道、道路、河川との関連、建築限界及び河川改修断面図、土質柱状図等の要素を含めるものとし、このBIM/CIMモデルを活用して設計基本条件等の整合を確認する。
【活用事例】
- 交差条件(道路)、事前調査で把握した地下埋設物、地質柱状図など設計条件となる情報と、橋梁の形式、構造一般、付帯工の形状情報を統合モデルとして作成。
図 4-24 設計図(一般図)において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「設計図(一般図)」に該当する情報をBIM/CIMモデル化し、3次元的に確認することで、一般図作成段階における設計確認の高度化、効率化を図る。
【解説】
「設計図(一般図)」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.3.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」のとおりである。
表 4-16 「設計図(一般図)」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 平面図、縦断図、横断図 は妥当か。(設計基本条 件との整合が図られて いるか) | ・主構造物は外形形 状を正確に表現する が、付帯工などは詳細 度 200 程度とし補足 情報を参照資料とし て付与することでよ い | 地形モデル 地質・土質モデ ル 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~300 | ・設計基本 情報 ・設計計算 書等 |
※確認内容:橋梁詳細設計照査要領を参考
4.3.5 橋梁付属物等の設計
(1)活用内容
設計図書に基づき、道路標識、照明、添架物、遮音壁等の橋梁付属物についてBIM/CIMモデルを活用し適切な配置等となっているかの確認を行うものとする。
【活用事例】
- 橋梁付属物等について設計結果に基づきモデル化し、他部材との干渉チェック、配置位置の適合性等を確認。
- 各付属物の設計条件、設計反力、移動量、主要材料等の情報は属性情報等として付与する。
以下に、モデルのイメージを示す。
図 4-25 橋梁付属物等の設計において活用するBIM/CIMモデルの例(1)
図 4-26 橋梁付属物等の設計において活用するBIM/CIMモデルの例(2)
図 4-27 橋梁付属物等の設計において活用するBIM/CIMモデルの例(3)
出典 土木学会・建設コンサルタンツ協会 「CIMによるコンクリート構造物モデル作成ガイドライン(素案)」
図 4-28 橋梁付属物等の設計において活用するBIM/CIMモデルの例(4)
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「橋梁付属物等の設計」に該当する情報をBIM/CIMモデル化し、3次元的に確認することで、橋梁付属物等の設計段階における設計確認の高度化、効率化を図る。
【解説】
「橋梁付属物等の設計」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.3.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」のとおりである。
表 4-17 「橋梁付属物等の設計」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主 な BIM/CIM モデルの種 類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 選定形式、位置、寸法は妥 当か。 | - | 構造物モデ ル | ~300 | ・ 付属物の製 品情報等 |
2 | 適用基準は正しいか。 | - | - | - | (・適用した基 準情報) |
3 | プレキャスト化、二次製品 の使用等を配慮している か。また、現地への運搬、 搬入は可能か。 | ・運搬、搬入が確認で きる程度のモデルで、 簡単な土工形状、構造 物モデルでよい | 地形モデル 構造物モデ ル | ~200 | ・ 工事用道路 の使用目的、条 件情報 |
4 | 採用案の信頼性を確認し たか。(採用実績、NET IS登録等) | - | - | - | (・選定理由情 報) |
5 | 維持管理性は配慮したか。 | ・点検導線検討などは ウォークスルー機能を 活用する | 構造物モデ ル | ~300 | ・検討、照査結 果情報 |
6 | 本体との取合いは妥当か。 | - | 構造物モデ ル | ~300 | - |
7 | 通信管路は計画されてい るか。 | ・通信管路、ハンドホ ール(補強筋など)をモ デル化する | 構造物モデ ル | ~300 | ・ 通信管路の 計画図 |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主 な BIM/CIM モデルの種 類 | 詳細度 | 属性情報等 |
8 | 照明配置及び照明用電源 管路は計画されているか。 | ・電源管路、照明設備 の形状をモデル化する | 構造物モデ ル | ~300 | ・ 照明の計画 図書 ・ 設備製品情 報 |
9 | 景観を配慮しているか。 | - | 地形モデル 構造物モデ ル | ~300 | ・ 比較結果報 告書 |
10 | 排水計算は行われている か。また、計画降雨強度は 適正か。 | - | - | - | (・排水計算報 告書) |
11 | 路面排水の流末処理は妥 当か(二次排水を考慮して いるか)。また、道路詳細 設計と整合しているか。 | ・排水桝、排水管及び 支持金具をモデル化す る | 地形モデル 構造物モデ ル | ~200 | ・ 路面排水計 画図 ・ 排水関係詳 細図 |
12 | 橋面舗装、橋面防水工は適 正か。また、防水上の水抜 きは適正か。 | ・橋面防水工はサーフ ェスなどで範囲を示す ・水抜きドレンの位 置、排水処理が分かる ようにモデル化する | 構造物モデ ル | ~200 | ・ 防水工詳細 図 |
13 | 鋼製排水工がある場合、そ の下面に防水工が設置さ れているか。また、桁端防 水は計画されているか。 | ・橋面防水工はサーフ ェスなどで範囲を示す | 構造物モデ ル | ~300 | ・ 防水工詳細 図 |
14 | 橋面舗装厚、付属工(検査 路等)の計画変更はない か。 | - | 構造物モデ ル | ~300 | ・ 設計基本条 件 |
15 | 支承、落橋防止システム、 伸縮装置、防護柵等の設計 条件は適切か。 | - | 構造物モデ ル | ~300 | ・ 設計基本条 件 ・設計計算書 |
16 | 伸縮装置、支承の移動量は 妥当か。また、上部工の温 度変化は考慮されている か。 | - | - | - | (・関係の装置 の設計条件情 報 ・設計計算書) |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期 待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主 な BIM/CIM モデルの種 類 | 詳細度 | 属性情報等 |
17 | 沓のアンカーボルトとP Cケーブルが干渉してい ないか。 | ・干渉確認のためアン カーバーの箱抜き形状 もモデル化する | 構造物モデ ル | ~300 | ・製品情報 ・ 設計条件情 報 |
18 | 落橋防止システムの選定 は適正か。 (橋軸方向、 橋軸直角方向) | ・干渉確認のためアン カーバーの箱抜き、ケ ーブル孔の形状もモデ ル化する | 構造物モデ ル | ~300 | ・ 落橋防止シ ステムの製品 等情報 |
19 | 落橋防止構造と横変位拘 束構造の設計荷重は妥当 か。 | - | - | - | (・設計荷重に 関する情報) |
20 | 標識配置は妥当か。 | ・標識支柱、アンカー バーなどをモデル化す る | 構造物モデ ル | ~300 | ・ 標識配置計 画図 |
21 | 橋台背面アプローチ部(袖 擁壁、踏掛版等)は適正か。 また、その形状を確認した か。 | ・必要に応じ構造物巻 き込み部の土工形状を モデル化する | 地形モデル 土工形状モ デル 構造物モデ ル | ~300 | ・設計計算書 |
22 | 護岸工は適正か。 | - | 地形モデル 構造物モデ ル | ~200 | ・ 河川占用協 議書など |
23 | 付属物相互の取り合いは 考慮されているか。 | - | 構造物モデ ル | ~300 | - |
24 | 維持管理の確実性および 容易さに配慮された計画 となっているか。(点検の 対象、動線の確保、点検空 間の確保等) | ・点検施設、導線検討 などはウォークスルー 機能を活用する- | 構造物モデ ル | ~300 | ・検討、照査結 果情報 |
4.3.6 設計図(詳細図)
(1)活用内容
橋梁位置図、一般図、線形図、構造詳細図、構造一般図、支承、検査路、高欄、伸縮装置、排水装置等の詳細設計図をBIM/CIMモデルとして作成し設計の確認に活用するものとする。
【活用事例】
- 設計計算等に基づき各構造物をモデル化し、構造、配筋、各付属物などが適正に配置されているかを確認。
以下に、モデルイメージを示す。
図 4-29 設計図(詳細図)において活用するBIM/CIMモデルの例(1)
出典 土木学会・建設コンサルタンツ協会 「CIMによるコンクリート構造物モデル作成ガイドライン(素案)」
図 4-30 設計図(詳細図)において活用するBIM/CIMモデルの例(2)
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「設計図(詳細図)」に該当する情報をBIM/CIMモデル化し、3次元的に確認することで、詳細図作成段階における設計確認の高度化、効率化を図る。
【解説】
「設計図(詳細図)」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.3.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」のとおりである。
表 4-18 「設計図(詳細図)」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容 のうち、BIM/CIM の活 用が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成の ポイント | 使 用する主 な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性 情報 等 |
1 | 打合せ事項は反映さ れているか。 | - | - | - | (・打合せ 事項 に関 する資料) |
2 | 設計計算書の結果が 正しく図面に反映さ れているか。(特に応 力計算、安定計算等の 結果が適用範囲も含 め て 整 合 し て い る か。) ・かぶり ・部材厚 ・鉄筋 (径、ピッチ、 使用材料、ラップ位 置、ラップ長、主鉄筋 の定着長、ガス圧接位 置等) ・鋼材形状、寸法 ・使用材料 ・疲労設計結果、架 設補強設計結果 ・その他 | ・干渉確認部以外で配 筋の BIM/CIM モデル化 を省略する場合は 2 次 元図面を参照情報とし て付与する ・継手部の位置は簡易 なモデル(マーク表記 可)で表現する場合は継 手の種別(重ね継手、圧 接継手、機械式継手な ど)を属性情報として付 与する | 構造物モデル | ~400 | ・設 計計 算書 ・配筋図 ・継 手種 別情報 |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容 のうち、BIM/CIM の活 用が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成の ポイント | 使 用する主 な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性 情報 等 |
3 | 鉄筋と干渉する部材 がないか。 | ・干渉確認部以外で配 筋の BIM/CIM モデル化 を省略する場合は 2 次 元図面を参照情報とし て付与する | 構造物モデル | ~400 | ・ BIM/CIM モデ ル化 しな い 2 次元 図面 等 |
4 | 縮尺、用紙サイズ等は 共通仕様書、または、 特記仕様書と整合さ れているか。 | - | - | - | - |
5 | 必要寸法、部材形状及 び寸法等に漏れはな いか。 | ・寸法、注記情報等を付 与する場合は 3 次元モ デル表記標準(案)を参 考とする | 線形モデル 構造物モデル | ~400 | ・注 記情 報記 載の 図面等 |
6 | 一般図等に必要な項 目が記載されている か。(設計条件、地質 条件、建築限界等) | - | 地形モデル 地質・土質モデ ル 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・設 計計 算書等 |
7 | 構造図の基本寸法、座 標値、高さ関係は照合 されているか。 | - | 構造物モデル | ~300 | ・設 計計 算書等 |
8 | 構造詳細は適用基準 及び打合せ事項と整 合しているか。 | - | 地形モデル 構造物モデル | ~400 | ・設 計基 本条 件情 報 ・適 用し た基準等 |
9 | 取り合い部の構造寸 法は適正か。 | - | 構造物モデル | ~400 | ・設 計計 算書 |
10 | レイアウト、配置、文 字サイズ等は適切か。 | - | - | - | - |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容 のうち、BIM/CIM の活 用が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成の ポイント | 使 用する主 な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性 情報 等 |
11 | 付属物の形式、配置、 取り合いは妥当か。 | - | 構造物モデル | ~400 | ・設 計計 算書等 |
12 | 各設計図が相互に整 合しているか。 ・一般平面図と縦断 図 ・構造図と配筋図 ・構造図と仮設図 | - | 地形モデル 地質・土質モデ ル 線形モデル 土工形状モデル 構造物モデル | ~400 | ・図面等 |
13 | 使用材料は明記され ているか。(橋梁一般 図、構造一般図にも明 記されているか) | ・使用材料情報は属性 情報等として付与する | 構造物モデル | ~400 | ・使 用材 料情報 ・設 計計 算書等 |
14 | 上下部工の整合性を 確認したか。 ・伸縮装置と橋台パ ラペット鉄筋及び橋 台ウィング鉄筋との 干渉の有無 ・橋台・橋脚天端の 横断勾配による支承 モルタル厚の不足 ・下部工検査路ブラ ケット等で使用する あと施工アンカーの 下部工鉄筋との干渉。 ・踏掛版とパラペッ ト背面のブラケット 位置、落橋防止装置の 取付け位置。 ・後打ちコンクリー ト部、支承アンカー箱 抜きと横拘束筋、添架 物箱抜きと補強筋等 | - | 構造物モデル | ~400 | ・設 計計 算書 |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容 のうち、BIM/CIM の活 用が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成の ポイント | 使 用する主 な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性 情報 等 |
15 | 橋台パラペットは上 部工の PC 鋼材の緊張 に影響しないか。(緊 張可能な上部工施工 であるか。鉄筋は機械 式継手であるか等) | ・下部工モデルがない 場合は、ジャッキスペー スの確認に必要な範囲 で下部工の形状モデル 化する | 構造物モデル | ~400 | ・下 部工 設計図 |
16 | 構造詳細は適用基準 及び打合せ事項と整 合しているか。 | - | 構造物モデル | ~400 | ・設 計計 算書 |
17 | 輸送制限に関して部 材寸法を確認したか。 | - | 構造物モデル | ~400 | ・検 討結 果情報 |
18 | 用地境界の取り合い を確認したか。(上部 工、下部工と用地境界 の離隔等) | ・用地境界を線形モデ ルなどで示す | 地形モデル 線形モデル 構造物モデル | ~400 | ・図面等 |
19 | 維持管理計画が反映 されているか。 | - | - | - | - |
20 | 施工に配慮した設計 図となっているか。 | - | 地形モデル 構造物モデル | ~400 | ・施 工へ の申 し送 り情報 |
21 | PC 鋼材の緊張スペー スは確認したか。 | - | 構造物モデル | ~400 | - |
22 | PC 鋼材の定着部が配 筋に配慮されている か。 | ・標準的な定着具を用 いてモデル化を行う ・PC 鋼材・シースは、 干渉チェックを目的と してシースをモデル化 する | 構造物モデル | ~400 | ・図面等 ・定 着具 情報 ・PC 鋼材 種別情報 |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容 のうち、BIM/CIM の活 用が期待される項目 | BIM/CIM モデル作成の ポイント | 使 用する主 な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性 情報 等 |
23 | 開口部等の補強鉄筋、 追加鉄筋は適切か。 | - | 構造物モデル | ~400 | - |
24 | 設計計算書に示され た設計検討断面の配 置鉄筋量が図面に適 正に反映されている か。 | ・干渉確認部以外で配 筋の BIM/CIM モデル化 を省略する場合は 2 次 元図面を参照情報とし て付与する | 構造物モデル | ~400 | ・設 計計 算書 ・配筋図 |
25 | 図面が明瞭に描かれ ているか。(構造物と 寸法線の使いわけが なされているか。) | - | - | - | - |
26 | 起点・終点の向きは適 正か。 | - | 線形モデル 構造物モデル | ~400 | ・起 終点 情報 |
※確認内容:橋梁詳細設計照査要領を参考
4.3.7 施工計画
(1)活用内容
構造物の規模、道路・鉄道の交差条件、河川の渡河条件及び、計画工程表、施工順序、施工方法、資材・部材の搬入計画、仮設備計画等、工事費積算に当たって必要な計画をBIM/CIMモデルを活用し確認するものとする。
【活用事例】
- 架設部材の重量、クレーンの能力、周辺の交差道路状況等から、仮設及び施工計画を検討。
- 交差する道路等の条件に合わせ、ベントの設置位置などを検証。
図 4-31 施工計画において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「施工計画」では計画の検討等に必要な情報をBIM/CIMモデルを活用し3次元的に確認することで、施工計画検討の高度化、効率化を図る。
【解説】
「施工計画」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.3.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」のとおりである。
表 4-19 「施工計画」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が 期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モ デルの種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 埋設物、支障物件、周辺 施設との近接等、施工条 件が設計計画に反映され ているか。 | ・線的な物件は線形モ デル又は簡単な構造 物モデルでよい ・面的に表現する場合 はサーフェスなどで 領域を示す | 地形モデル 線形モデル 構造物モデル | ~200 | ・支障物件の 情報 |
2 | 隣接工区(設計条件、使 用材料等)との整合性を 確認したか。 | - | 構造物モデル | ~200 | ・隣接工事の 設計基本条件 情報など |
3 | 施工方法及び手順は妥当 か。また、他工区と施工 時期の調整は取れている か。 | ・施工方法、施工手順 は、主たる BIM/CIM モ デルとは別に作成し てもよい ・設計-施工間の情報 連携を目的とした4 次元モデル活用の手 引き(案)を参考に作 成する | 地形モデル 構造物モデル | ~200 | ・施工への申 し送り情報 |
4 | 工事用道路(長尺物等の 搬入)の経路は妥当か。 | ・線形モデル及び簡単 な土工形状、構造物モ デルでよい | 地形モデル 線形モデル 土工形状モデ ル 構造物モデル | ~200 | ・工事用道路 の使用目的、 設計概要情報 |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が 期待される項目 | BIM/CIM モデル作成 のポイント | 使用する主な BIM/CIM モ デルの種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
5 | 架設計画で、クレーン組 立解体ヤードが確保され ているか。 | ・組立解体ヤードはサ ーフェスで領域を示 す | 地形モデル 構造物モデル | ~300 | ・架設計画情 報 |
6 | 鈑桁の架設で横倒れ座屈 に対して安全性を照査し たか。 | - | - | - | ・安全性の照 査情報 |
7 | 使用重機の規格、重量は 妥当か。 | - | 構造物モデル | - | ・設計計算書 ・架設計画情 報 |
※確認内容:橋梁詳細設計照査要領を参考
4.3.8 架設計画
(1)活用内容
上部工の架設計画について、現地の立地条件及び輸送・搬入条件等を基に、BIM/CIMモデルを活用して架設計画の確認を行うものとする。
【活用事例】
- 桁の輸送、桁の仮置き・地組立、クレーンの設置・作業スペース、周辺の支障物件等を統合モデルで確認。
図 4-32 架設計画において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「架設計画」では、使用するヤード、支障物件、クレーンなどの作業範囲などをBIM/CIMモデルを活用し3次元的に確認することで、架設計画検討の高度化、効率化を図る。
【解説】
「架設計画」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.3.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」のとおりである。
表 4-20 「架設計画」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容のう ち、BIM/CIM の活用が期待 される項目 | BIM/CIM モデル作 成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデ ルの種類 | 詳細 度 | 属性情報 等 |
1 | 架設する部材の輸送・搬入 路、地組ヤードなどが確保さ れているか。 | ・面的に表現する場 合はサ ーフ ェス又 は簡単 な構 造物モ デルで領域を示す | 地形モデル 構造物モデル | ~200 | ・架設計 画情報 |
2 | クレーンの組立解体ヤード が確保されているか。 | ・組立解体ヤードは サーフ ェス で領域 を示す | 構造物モデル | ~200 | ・架設計 画情報 |
3 | クレーンなどの作業に支障 となる物件の確認。クレーン の作業半径は適切か。 | ・重機のオブジェク トを配 置し 作業半 径のシ ミュ レーシ ョンに活用する | 構造物モデル | ~200 | ・架設計 画情報 |
4 | 架設部材が他の構造物と干 渉しないかの確認。 | - | 構造物モデル | ~200 | ・架設計 画情報 |
4.3.9 数量計算
(1)活用内容
- 構造物等の数量の算出は、3次元CADソフトウェアの機能を活用し算出する。
- 算出した数量等情報を属性情報等として付与。
図 4-33 数量計算において活用するBIM/CIMモデルの例
(2)BIM/CIMモデルの活用方法
「数量計算」ではBIM/CIMモデルを活用した数量の算出、算出した数量情報等を属性情報等として付与し確認を行うことで、業務の高度化、効率化を図る。
【解説】
「数量計算」における確認内容と、そのためにBIM/CIMモデルを活用する場合のBIM/CIMモデルの作成のポイント、詳細度や属性情報等の目安について、次表に示す。
表の項目の解説については、「4.3.1 (2)BIM/CIMモデルの活用方法」のとおりである。
表 4-21 「数量計算」における確認内容及びBIM/CIMモデルの要件
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル 作成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
1 | 数量計算は、数量算出要 領及び打合せ事項と整 合しているか。(有効数 字、位取り、単位、区分 等) | ・『土木工事数量 算出要領(案)』及 び『土木工事数量 算出要領(案)に対 応する BIM/CIM モデル作成の手引 き(案)』を参照す るとともに、必要 に応じモデルを分 割し、必要な属性 情報を付与する。 | 地形モデル 構造物モデル | ~400 | ・数量総 括 表など |
2 | 数量計算に用いた寸法、 数値、記号は図面と一致 するか。 | - | - | - | - |
3 | 数量取りまとめは、種類 毎、材料毎に打合せ区分 にあわせてまとめられ ているか。 | ・『土木工事数量 算出要領(案)』及 び『土木工事数量 算出要領(案)に対 応する BIM/CIM モデル作成の手引 き(案)』を参照 | 地形モデル 構造物モデル | ~400 | ・数量総 括 表など |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル 作成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
4 | 数量計算の根拠となる 資料(根拠図等)は作成 しているか。 | - | - | - | (・算出根拠 情報) |
5 | 橋台の後打ちコンクリ ートを分離して計上し ているか。 | ・数量の取りまと め単位で、モデル を分割し必要な属 性情報を付与する | 構造物モデル | ~400 | ・数量計 算 結果情報等 |
6 | 橋台背面アプローチ部 の数量を算出している か。 | - | 地形モデル 構造物モデル | ~400 | ・数量計 算 結果情報等 |
7 | 施工を配慮した数量計 算となっているか。(伸 縮装置のフェイス下端 及び下フランジ下端の 無収縮モルタル等) | ・数量の取りまと め単位で、モデル を分割し必要な属 性情報を付与する | 構造物モデル | ~400 | ・数量計 算 結果情報等 |
8 | 工種・種別・細別は工種 別体系と一致している か。 | ・『土木工事数量 算出要領(案)』及 び『土木工事数量 算出要領(案)に対 応する BIM/CIM モデル作成の手引 き(案)』を参照 | 構造物モデル | ~400 | ・工種別 体 系情報 ・数量総 括 表など |
9 | 数量全体総括、工区総 括、ブロック総括等、打 ち合わせと整合し、かつ 転記ミスや集計ミスが ないか。 | - | - | - | - |
No. | 確認内容 ※下線部は照査内容の うち、BIM/CIM の活用 が期待される項目 | BIM/CIM モデル 作成のポイント | 使用する主な BIM/CIM モデル の種類 | 詳細度 | 属性情報等 |
10 | 使用する材料の規格及 び強度等は記入されて いるか。 | ・『土木工事数量 算出要領(案)』及 び『土木工事数量 算出要領(案)に対 応する BIM/CIM モデル作成の手引 き(案)』を参照す るとともに、必要 に応じモデルを分 割し、必要な属性 情報を付与する。 | 構造物モデル | ~400 | ・材料の 規 格情報等 |
11 | 部材重量(ブロック重 量)を確認したか。 | - | 構造物モデル | ~400 | ・部材重 量 (ブロッ ク 重量)算出結 果情報 |
12 | 塗装面積が塗分け区分 図と整合しているか。 | - | 構造物モデル | ~400 | ・塗装面 積 総括表 |
※確認内容:橋梁詳細設計照査要領を参考
4.4 環境影響確認
環境影響に関する検討におけるBIM/CIMモデルの活用事例を以下に示す。
4.4.1 日照阻害の確認
日照阻害の確認に、作成したBIM/CIMモデルを活用。
【活用事例】
- 橋の建設に伴う民家への日照阻害の程度を予測するため、3DCADソフトウェアの日照光のシミュレーション機能を活用し、冬至日における日陰時間の程度を確認した。
- 上部工桁、橋脚による影響を任意の時間で視覚的に確認できることから、影響の説明、理解の円滑化に寄与できる。
図 4-34 日照阻害の確認に作成したBIM/CIMモデルを活用した例
4.4.2 発破騒音等の解析
3次元騒音解析に、作成したBIM/CIMモデルを活用。
【活用事例】
- トンネル施工に伴う発破騒音及び発破低周波音、施工仮設備騒音をBIM/CIM モデルを活用した3 次元騒音解析を行い、結果をモデル化し騒音対策工の検討および照査を実施した。
- BIM/CIM モデルを活用した3 次元騒音解析により、通常の2 次元騒音解析では考慮できない周辺地形の反射や複合音を反映することができ、解析の高度化につながった。
- また、解析結果を視覚的に表現することで、施工仮設備計画や騒音対策工の照査の高度化・効率化につながった。
図 4-35 3次元騒音解析にBIM/CIMモデルを活用した例