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【BIM/CIM】LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準の運用ガイドライン(案)Ver.1.4 令和3年3月 国土交通省大臣官房技術調査課

  1. 1.本ガイドラインの位置付け
    1. 1.1 目的
    2. 1.2 適用範囲
    3. 1.3 利用場面
  2. 2適用する事業適用する事業
    1. 2.1 道路分野
    2. 2.2 河川分野
  3. 3.用語の説明
  4. 4.LandXML1.2 に準じた3次元設計データ交換標準(J-LandXML)の解説
    1. 4.1 LandXML1.2 に準じた3次元設計データの概要
    2. 4.2 道路分野と河川分野で対象とする要素
      1. 4.2.1 道路分野
      2. 4.2.2 河川分野
    3. 4.3 3 次元設計データモデルの構造
      1. 4.3.1 中心線形データ
      2. 4.3.2 横断形状データ
      3. 4.3.3 表面データ
  5. 5. 3 次元設計データの作成
    1. 5.1 3 次元設計データの作成範囲
      1. 5.1.1 道路分野
      2. 5.1.2 河川分野
      3. 5.1.3 地形情報
    2. 5.2 3 次元設計データの作成方法
      1. 5.2.1 道路中心線形の作成
      2. 5.2.2 堤防法線の作成
      3. 5.2.3 横断形状の作成
      4. 5.2.4 サーフェスデータの作成
    3. 5.3 3 次元設計データを作成する上での留意点
      1. 5.3.1 複数線形がある場合
      2. 5.3.2 道路中心線形と直交しない法面
      3. 5.3.3 断面形状の不連続点
      4. 5.3.4 横断構成点の座標
      5. 5.3.5 幅員中心の設計と横断構成要素の左右分け
      6. 5.3.6 横断構成点の記述順
      7. 5.3.7 構成点コード
    4. 5.4 3 次元設計データの桁数
    5. 5.5 データ必要度
  6. 6.照査方法
    1. 6.1 3 次元設計データを3 次元ビューアで表示し外観を目視で確認
    2. 6.2 2 次元の設計図書や線形計算書等と照合して確認
  7. 7.電子納品
    1. 7.1 電子納品する書類
    2. 7.2 電子成果品の作成
      1. 7.2.1 フォルダへの格納
      2. 7.2.2 ファイル名の付け方
  8. 8.工事発注時の取り扱い
  9. 9.施工時の利用方法

1.本ガイドラインの位置付け

1.1 目的

 「LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準の運用ガイドライン(案)」(以下、「運用ガイドライン(案)」という)は、i-Construction に係る業務において「LandXML1.2 に準じた3 次元設計データ交換標準(案) - 略称:J-LandXML -1」(以下、「データ交換標準(案)」という)に則った3 次元設計データを作成・照査・交換する際の運用を規定する。

1.2 適用範囲

 本運用ガイドライン(案)は、データ交換標準(案)に準拠した3 次元設計データを作成・照査、及びソフトウェア間でデータ交換をする際に適用する。

1.3 利用場面

 本運用ガイドライン(案)は、道路(河川)設計用CAD(2 次元CAD ソフト、3 次元CAD ソフト)や線形計算ソフトと、BIM/CIM で利用される3 次元CAD、CG ソフト、または情報化施工で利用されるTS 出来形管理、点群データを活用した出来形管理、MC・MG ソフトウェア間のデータ交換の際に利用する。

図 1-1 具体的な利用場面のイメージ


1 国土交通省 BIM/CIM ポータルサイト【試行版】にて公開
http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/spec_cons_new.html


2適用する事業適用する事業

本運用ガイドライン(案)は、次に示す国土交通省直轄事業に適用する。

   道路中心線形並びに横断形状を設計する道路設計業務(道路分野)
   河川堤防法線並びに横断形状を設計する河川設計業務(河川分野)

2.1 道路分野

 道路中心線形と横断形状の設計業務の成果として提出する道路設計業務に適用する。道路分野におけるデータ交換標準(案)の対象業務を表2-1 に示す。表2-1 は、土木設計業務等共通仕様書(案)での道路中心線形及び横断形状に関わる業務から抽出したものである。なお、この表で示した業務以外でも道路中心線形と横断形状を設計した場合は、本運用ガイドライン(案)を適用する。
 表2-1 で示したデータ交換標準(案)の対象業務(○)は、i-Construction での利用を想定したものである。現道の部分改良や交差点改良、補修等の設計については、受発注者協議により電子納品の対象とするかを決定する。

表 2-1 LandXML1.2 に準拠した3次元設計データ交換標準の対象業務(道路設計)

土木設計業務等共通仕様書(案)業務構成 (道路中心線形及び横断形状に関わる業務を抽出)電子納品 対象
第4章第1節  道路設計道路概略設計×
道路予備設計(A)
道路予備修正設計(A)
道路予備設計(B)○※1
道路予備修正設計(B)○※1
道路詳細設計○※2
第4節  平面交差点設計平面交差点予備設計
平面交差点詳細設計
第5節  立体交差点設計ダイヤモンド型 IC 予備設計
ダイヤモンド型 IC 詳細設計
トランペット・クローバー型 IC 予備設計
トランペット・クローバー型 IC 詳細設計

【凡例】 ○※1 3次元設計データの電子納品対象業務(BIM/CIM 活用業務)
○※2 3次元設計データの電子納品対象業務(土工の3次元設計)
× 基本的には電子納品の対象としない業務
△ 電子納品の対象業務ではないが、横断形状を3次元設計データで出力可能
であれば、BIM/CIM での利用を想定して任意で電子納品してよい業務

2.2 河川分野

 河川堤防法線と横断形状の設計業務の成果として提出する河川設計業務に適用する。河川分野におけるデータ交換標準(案)の対象業務を表2-2 に示す。表2-2 では、対象業務として、土木設計業務等共通仕様書(案)での堤防法線及び横断形状に関わる業務から抽出したものである。なお、この表で示した業務以外でも河川堤防法線と横断形状を設計した場合は、本運用ガイドライン(案)を適用する。

表 2-2 LandXML1.2 に準拠した3次元設計データ交換標準の対象業務(築堤・護岸設計)

 土木設計業務等共通仕様書(案)業務構成 (堤防法線及び横断形状に関わる業務を抽出)電子納品 対象
第3章第2節 築堤設計築堤予備設計○※1
築堤詳細設計○※2
第3節 護岸設計護岸予備設計○※1
護岸詳細設計○※2

【凡例】 ○※1 3次元設計データの電子納品対象業務(BIM/CIM 活用業務)
○※2 3次元設計データの電子納品対象業務(土工の3次元設計)
× 基本的には電子納品の対象としない業務
△ 電子納品の対象業務ではないが、横断形状を3次元設計データで出力可能
であれば、BIM/CIM での利用を想定して任意で電子納品してよい業務

3.用語の説明

本運用ガイドライン(案)で用いる用語のうち、一般的な用法とは異なる可能性があり、特に説明が必要なものを次に示す。

表 3-1 用語の説明

用  語説  明
3 次元設計データデータ交換標準(案)に基づき作成された設計データのこと。3 次元設計 データの種類には、道路中心線形(河川の場合は堤防法線)と横断形状と を組み合わせた骨組構造モデル(以下、スケルトンモデル)および、道路 面、路床面、路体面、法面等の表面形状をモデル化したサーフェスモデル とがある。i-Construction に係る業務・工事では、設計形状を表すこれら 2 つのモデルを 3 次元設計データと呼ぶことにする。スケルトンモデル、 サーフェスモデルでそれぞれ使い分ける場合は、3 次元設計データ(スケ ルトンモデル)、3 次元設計データ(サーフェスモデル)と呼ぶことにす る。 3 次元設計データは、TS 出来形管理に用いる基本設計データの元となる データである。また、これらのデータを元に MC/MG で利用する 3 次 元モデル(サーフェスモデルやソリッドモデル)を作成することができ る。
道路中心線形道路中心線形は、道路の平面形状を規定する平面線形に、計画高を規定 する縦断線形を加えた3次元の線形モデルをいう。
堤防法線河川堤防の表法肩、または堤防の天端中心を連ねた線。平面図においては 堤防の線形となる。
累加距離標設計始点からの距離標で平面線形の相対的な位置を示す。データ交換標 準(案)では、一般的に用いられている測点ではなく、累加距離標を用い る。なお、始点から終点方向に対して逆方向にある点の累加距離標は、マ イナス表示となる。また、測点にブレーキが存在する場合でも、測点のよ うに累加距離標が重複することはない。
幅員中心道路の幅員構成の中心。具体的には、車道中央線や中央帯の中心を指し、 道路中心線形とは一致しない場合がある。道路の中央ともいう。
構成点道路横断の構築形状を構成する点をいう。構築形状は折れ線で表現する ことから、構成点は折れ線の始点と終点及び折れ点からなる。

4.LandXML1.2 に準じた3次元設計データ交換標準(J-LandXML)の解説

4.1 LandXML1.2 に準じた3次元設計データの概要

 本運用ガイドライン(案)で対象とするデータ交換標準(案)(J-LandXML)は、LandXML1.2の中で必要な要素を抽出し利用しており、主な要素として、Units(単位)、Coordinatesystem(座標系)、Project(プロジェクトの説明)、Application(アプリケーション名)、CgPoints(座標点)、Alignments(中心線形及び横断形状)、Roadways(道路構成要素の集合)、Surfaces(サーフェー
スモデル)を利用している。

表 4-1 LandXML1.2 の主な要素とJ-LandXML の関係

No.要素名内容
1Units単位(長さ、面積、体積、角度など)
2Coordinatesystem座標系
3Projectプロジェクト名と説明
4Applicationアプリケーション名、バージョン
5CgPoints座標点の集合
6Alignments中心線形(平面線形、縦断線形)及び横断形状
7GradeModel勾配モデル
8Roadways道路構成要素の集合
9Surfacesサーフェスモデルデータ
10Amendment改定履歴
11Monuments基準点情報
12Parcels区画データ
13PlanFeatures計画機能
14PipeNetworks配管網
15Survey測量データ
16FeatureDictionary拡張したフィーチャ辞書

※網かけは、LandXML1.2 のうちJ-LandXML で使用している要素

 LandXML1.2 に準じた3次元設計データ(J-LandXML)は、図 4-1 に示すようにAlignmentsを構成する子要素である中心線形(平面線形、縦断線形)と横断形状とを組み合わせてモデル化を行っている。

図 4-1 中心線形と横断形状とを組み合わせたスケルトンモデルのイメージ図

4.2 道路分野と河川分野で対象とする要素

 データ交換標準(案)では、道路分野と河川分野で対象とする要素は原則として同じであるが、一部異なる要素もある。道路分野、河川分野で対象とする要素は、次の通りである。

4.2.1 道路分野

 道路分野で対象とする要素とイメージを図 4-2 に示す。道路分野で対象とする要素は、「中心線形(平面線形、縦断線形、縦断地盤線)」「横断形状(道路面、土工面、横断地盤線等)」「サーフェス(道路面、路床面、路体面、法面等や地形、地層)」がある。河川分野と異なる道路分野の要素として、路体、路床と舗装がある。

図 4-2 道路分野で対象とする要素とイメージ図

4.2.2 河川分野

 河川分野で対象とする要素とイメージを図 4-3 に示す。河川分野で対象とする要素は、「堤防法線(平面線形、縦断線形、縦断地盤線)」「横断形状(堤防天端、土工面、法面、小段、横断地形線)」「サーフェス(河川堤防、護岸等や地形、地層)」となる。なお、河川堤防・護岸を対象としており、河床部は対象としていない。

図 4-3 河川分野で対象とする要素とイメージ図

4.3 3 次元設計データモデルの構造

4.3.1 中心線形データ

 中心線形データは、「道路中心線形データ交換標準(案) 基本道路中心線形編 Ver.1.1」で定義したモデルを、LandXML1.2 のAlignments の仕様にあわせて平面線形と縦断線形の2 つでモデル化し直している。河川の堤防法線についても、道路中心線形のモデルを準用する。

(1)平面線形

 データ交換標準(案)では、中心線形を構成する平面線形は、幾何要素(直線、クロソイド、円曲線)の並びで表現し、隣り合う幾何要素の終了点と開始点を結合するものとする(図 4-4)。なお、主要点(幾何要素ごとの接続点)は、幾何要素の開始点、終了点で定義される。主要点の累加距離は、開始点から主要点までの幾何要素の線長から算出する。

図 4-4 幾何要素の記述(例)

(2)縦断線形

 縦断線形は、平面線形の開始点からの相対的な位置を表す累加距離標と標高や計画堤防高のデータを入力することで平面線形との関係を保持する(図 4-5)。なお、縦断図は平面線形に沿って展開された道路縦断面や堤防縦断面と定義されることから、縦断線形の累加距離標は平面線形と同一でなければならない。
縦断地盤線は、縦断地盤構成点から構成され、標高が変化する測点ごとに、道路地盤高や、現況堤防高もしくは堤内地盤高の標高を入力する。

図 4-5 平面線形と縦断線形の対応

4.3.2 横断形状データ

(1)横断形状(完成形状、土工面)

 横断形状は、幅員中心から外側に向かって連続して記述した構成点の並びにより表現する(図4-6)。横断形状の構成点は、中心線形からの水平離れと鉛直方向離れ、または中心線形からの水平離れと標高で位置を表現する。中心線形とは別に横断形状ごとの幅員中心(道路構成の中心)を道路面の構成要素を上り車線・下り車線ごとに分けるために設定する。横断形状を構成点と幅員中心で表現した例を以下の図に示す。

図 4-6 横断形状の表現(例)

(2)舗装

 舗装は、横断形状の一部をなし、道路面、土工面とは別に単独でモデルを構成する。舗装のモデルは、始点と終点の一致する閉じた折れ線で記述した構成点の並びにより表現する(図 4-7)。舗装の構成点は、横断形状と同様に位置を表現する。舗装を構成点で表現した例を以下の図に示す。


図 4-7 舗装の表現(例)

(3)地形線・土層線

地形線および土層線は、各々をCrossSectSurf 要素を用いて形状変化点ごとに中心線形の左側から右側に向かって連続して記述した構成点の並びにより表現する(図 4-8)。構成点は、中心線形からの水平離れと標高で位置を表現する。地形線および土層線を構成点で表現した例を以下の図に示す。

図 4-8 地形線・土層線の表現(例)

4.3.3 表面データ

表面データは、LandXML1.2 のSurface の仕様にあわせて、TIN(Triangulated IrregularNetwork)を表現する最小限の要素(点と面の要素)で道路面、路床面、路体面、法面等や河川堤防、護岸等、地形・地層境界面を表現する(図 4-9)。

図 4-9 サーフェスの表現(例)

3 次元設計データには、以下の表面データを設計成果の一部に含める。

 なお、3 次元地形測量の成果である3 次元点群データがない場合、「測量成果の3 次元点群データを基に設計用に編集した3 次元地形データ」は不要である。
 また、複数線形のあるデータの場合は、完成形状、路床面、路体面、及び法面の表面データに対して中心線形の名前を割り当てる必要がある。

5. 3 次元設計データの作成

5.1 3 次元設計データの作成範囲

3 次元設計データは、利用目的に応じて適切な範囲で作成する必要がある。道路分野、河川分野で対象とする作成範囲は、次の通りである。

5.1.1 道路分野

3次元設計データの作成は、土工部の道路設計を対象とする。土工部の道路設計以外で、別途設計を要する区間(トンネル、橋梁等)については、道路中心線形をデータ作成対象とし、横断形状データはモデル化の対象外とする。
道路分野では、横断形状データとして完成形状と土工面(路床、路体及び法面)のデータが必要である。

 横断形状データについては、データ交換標準(案)に記載のある横断構成要素のデータ作成を基本とする。また、横断構成要素は、幅員中心から法尻まで連続的にデータを作成することを基本とする。このため、側溝、擁壁等の構造物のデータも、連続性確保のためにデータを作成する。ただし、i-Construction での利用を想定している場合は、図5-1 に示す表面形状だけでもよい。

図5-1 構造物『表面』の作成方法(左:側溝 右:擁壁)

5.1.2 河川分野

河川分野では、計画堤防高を基本とした完成形状が必要である。また、設計段階で余盛した横断形状を設計した場合は、余盛のデータも作成する。

5.1.3 地形情報

地形情報のデータが対象とする地形情報の作成範囲は、次の通りである。

5.2 3 次元設計データの作成方法

 道路設計用CAD(2 次元CAD ソフト、3 次元CAD ソフト)や線形計算ソフトで3 次元設計データを作成する方法について以下に示す。原則として、3 次元設計データは、ソフトウェア上でデータ交換標準(案)に則ったデータ形式に変換する。

5.2.1 道路中心線形の作成

5.2.2 堤防法線の作成

5.2.3 横断形状の作成

(1)道路分野

図 5-2 道路分野で情報化施工に必要な断面

図 5-3 法面・地形のデータ作成

図 5-4 地形とのすり付けイメージ

(2)河川分野

図 5-5 河川分野で情報化施工に必要な断面

(3)地形線

(4)土層線

5.2.4 サーフェスデータの作成

(1)サーフェスデータを作成する範囲

① 橋台、カルバート部の巻き込み部法面のサーフェスは作成しない。

図 5-6 巻き込み部法面のサーフェスを作成しない場合のイメージ

② 橋台、カルバート部の巻き込み部は、巻き込みを行わない通常法面でサーフェスを作成する。また、ICT 土工で点群出来形管理に利用しやすいように、巻き込みが始まる断面を断面変化点として、横断、スケルトンモデルを作成する。

図 5-7 巻き込み部のサーフェスを通常法面で作成する場合のイメージ

(2)交差点部の作成

図 5-8 交差点部の作成範囲のイメージ

(3)急カーブの作成

図 5-9 円弧と近似線の関係

表 5-1 円弧と近似線の差(半径50m~1,000m、円弧の長さ1m~20m)

  単位:m円弧の長さ     m
123451020
  半     径 m500.0025 0.0100 0.02240.03990.06240.24970.9966
   
1000.00120.00500.0112 0.0199 0.03120.12490.4995
   
2000.00060.00250.00560.0100 0.0156 0.06240.2499
 
5000.00020.00100.00220.0040 0.0062 0.02500.0999
   
1,0000.00010.00050.00110.00200.0031 0.0125 0.0500
 

(4)3次元地形データの有無による作成対象の違い

(5)複数線形がある場合

図 5-10 複数線形がある場合

5.3 3 次元設計データを作成する上での留意点

5.3.1 複数線形がある場合

5.3.2 道路中心線形と直交しない法面

5.3.3 断面形状の不連続点

5.3.4 横断構成点の座標

5.3.5 幅員中心の設計と横断構成要素の左右分け

図 5-10 幅員中心と左右の横断構成要素イメージ

5.3.6 横断構成点の記述順

図 5-11 完成形状の構成点を記述する順序のイメージ

図 5-12 舗装などの閉じた断面の構成点を記述する順序のイメージ

5.3.7 構成点コード

図 5-13 構成点コードの考え方

5.4 3 次元設計データの桁数

データ交換標準(案)では、表5-2 に示す小数点以下の桁数を利用することを想定している。

表 5-2 データ項目別の桁数

項目桁数単位
主要点の平面座標(X,Y)小数点以下6桁
主要点以外(中間点等)の 平面座標(X,Y)  小数点以下3桁
累加距離小数点以下4桁
距離小数点以下4桁
標高小数点以下3桁
円曲線半径小数点以下3桁
クロソイドパラメータ小数点以下3桁
  方向角decimal(dd.mmss)換算 で小数点以下4桁
横断形状 CL 離れ小数点以下3桁
横断形状計画高との差小数点以下3桁

※ decimal dd.mmss について
度と分の間をピリオド”.”で区切り、分と秒は区切らずに続けて記載する。
例.10°25’ 35’’の場合 → 10.2535

5.5 データ必要度

 データ交換標準(案)は、道路分野及び河川分野の3 次元設計データを表すさまざまな要素から構成されており、必ず記入すべき要素(属性)と、記入しなくともデータ交換標準(案)として交換できる要素(属性)とが存在する。
 原則として、3 次元設計データは、データ交換標準(案)に対応したソフトウェアを用いて作成するため、表 5-3 に示すデータ項目ごとの必要度を意識する必要がない。しかし、データ交換標準(案)はマークアップ言語で記述されているため、データファイルをテキスト形式で直接編集することが出来る。3 次元設計データを直接編集した場合は、編集結果と表 5-3 を照らし合わせて、データ項目ごとの必要度が守られた3 次元設計データであるかを照査する。

【必要度の解説】

 【○】 必須:全ての3 次元設計データで、必ず記入する必要のある要素(属性)。

   具体的には、以下の項目から構成される。
     3 次元設計データの構成する中心的な情報であり、当該情報が欠けると完成形状を表現できないもの。
     例 平面線形と縦断線形や横断形状を関連づけるための累加距離標、横断構成要素を表す断面形状の名前、構成点コードなど。
     3 次元設計データをデータ交換する上で必要な情報であり、当該情報が欠けるとデータ交換          標準(案)に則った3 次元設計データとしてデータ交換できないもの。
     例 プロジェクト情報、道路規格、座標参照系情報など。
 【△】 条件付き必須:特定の条件に合致する場合、必ず記入する必要のある要素(属性)。

具体的には、以下の項目から構成される。

     ある条件下では3 次元設計データを構成する中心的な情報となり、当該情報が欠けると3 次元設計データを表現できないもの。
    例 左右岸区分
     3 次元設計データの再利用性を向上するために必要であり、当該情報がある場合には必ず記入するもの。
     ある要素を表すために必要な情報であり、当該要素を作成した際には必ず記入する必要のあるもの。
    例 幾何要素(直線、円曲線、緩和曲線)
 【記載なし】 任意:上記のいずれにも該当しないもの。

表 5-3 要素または属性の必要度

要素名  必要度  条件
属性  
LandXML 
Date(日付) 
Time(時間) 
Version(バージョン) 
Project(プロジェクト情報) 
name(名称) 
desc(注記)  
projectPhase(事業段階)  
applicationCriterion(適用基準) 
  stratumMainData(地層の主データ)  △地層データを表現する 場合は必須
Application(アプリケーション情報) 
name(名称) 
version(バージョン) 
Author(作成者情報)  
createdBy(作成者名)  
Company(会社名)  
CoordinateSystem(座標参照系) 
name(名称) 
horizontalDatum(測地原子) 
verticalDatum(鉛直原子) 
horizontalCoordinateSystemName(水平座標 系)  〇 
desc(注記)  
differTP(T.P.との標高差) 
Units(単位系) 
Metric(メートル法) 
areaUnit(面積の単位) 
linearUnit(長さの単位) 
volumeUnit(体積の単位) 
temperatureUnit(温度の単位)  
   
 pressureUnit(圧力の単位)  
 angularUnit(角度の単位)  
 directionUnit(方向の単位) 
 CgPoints(座標点セット)  
 name(名称)  
 desc(注記)  
 CgPoint(座標点)  
 name(名称)  
 desc(注記)  
 featureRef(参照フィーチャ)  
 timeStamp(日時)  
 IntermediatePnts(中間点の参照中心線形)  
 alignmentRefs(参照中心線形)  
 CgPoint と関連付けるユニークな名称 (中間点の累加距離標と接線方向角)  
 sta(累加距離標)  
 tangentDirectionAngle(接線方向角)  
 class(基準点及び水準点の種類)  
 Alignments(中心線形セット) 
 name(名称) 
 desc(注記)  
 designGmType(構築物情報)  
 classification(規格・等級)  
 trafficVolume(設計交通量)  
 side(左右岸区分)河川の場合は必須
 Alignment(中心線形) 
 name(名称) 
 length(総延長) 
 staStart(開始点の累加距離) 
 desc(注記)  
 Horizontal(平面線形) 
 method(線形計算手法名) 
 Interval(測点間隔) 
 main(主測点間隔) 
 sub(副測点間隔)  
    

StaEquation(測点定義) 
 staBack(ブレーキ前測点の累加距離標)  ブレーキがある場合は 必須
staInternal(ブレーキ位置の累加距離標)
staAhead(ブレーキ後測点の累加距離標)
CoordGeom(幾何要素) 
 Line(直線) 該当の幾何要素が存在 する場合に必須
 name(名称) 
length(長さ)
 Start(開始点)
 name(名称)
End(終了点)
 name(名称)
Curve(円曲線)
 rot(方向角)
name(名称) 
radius(半径)
length(長さ)
 Start(開始点)
 name(名称)
Center(中心点) 
End(終了点)
 name(名称)
Spiral(緩和曲線)
 name(名称) 
length(長さ)
radiusStart(開始半径)
radiusEnd(終了半径)
Rot(方向)
spiType(緩和曲線タイプ)
A(クロソイドパラメータ) 
 Start(開始点)
 name(名称)
PI(交点)
 name(名称)
desc(注記) 

  PVI(縦断勾配変移点) 
ParaCurve(縦断曲線)縦断曲線が存在する場 合は必須
 length(縦断曲線長)
ProfSurf(縦断地盤線)  
 name(名称)  
desc(注記)  
 PntList2D(2 次元座標リスト)  
CrossSects(横断形状セット) 
 name(名称)  
desc(注記)  
projectPhase(事業段階)  
profAlignRefs(参照縦断線形)  
 CrossSect(横断面) 
 name(名称)  
staStart(累加距離標) 
angleSkew(方向角)  
desc(注記)  
 xSection(横断面)  
 controlSect(管理断面)  
targetPntID(目標座標名称)  
rounding(ラウンディング距離)  
Formation(幅員中心) 
 clOffset(CL 離れ) 
fhOffset(計画高との高低差) 
StandardCrossSection(標準横断面)  
 startSta(開始累加距離標)  
endSta(終了累加距離標)  
DesignCrossSectSurf(横断形状) 
 name(名称) 
desc(注記)  
side(構成点の位置) 
material(材料)  
typicalThickness(厚さ)  
closedArea(閉合フラグ)  
xSectType(横断構成の種類)  
      clearance(建築限界)  
pavementClass(舗装種類)  
heightType(鉛直方向の高さのタイプ) 
 CrossSectPnt(構成点) 
 code(構成点コード) 
dataFormat(データフォーマット) 
state(状態)  
CrossSectSurf(地形情報)  
   name(名称)  △地形線と土層線を混在 する場合は必須
desc(注記) material(土質区分名)  
土層線の場合は必須
 PntList2D(2 次元座標リスト)  
Roadways  
 Roadway  
 name(名称)  
alignmentRefs(参照中心線形)  
 Speeds  
 DesignSpeed(設計速度)  
 speed(設計速度)  
Surfaces(要素種別サーフェスセット)      UAV 等を用いた公共 測量を実施した場合 は、測量データ及び i- Construction で必要 な設計データを対象と する。     地層境界面のサーフェ スの場合、土質区分名 は必須
 name(名称) 
desc(注記) 
 Surface(要素種別サーフェス)
 name(名称)
desc(要素種別の名称)
material(土質区分名)
 Definition(サーフェス定義)
 SurfType(サーフェス種別)
 Pnts(サーフェス構成点セット)
 P(サーフェス構成点)
Faces(サーフェス面セット)
 F(サーフェス面)

6.照査方法

現段階における3 次元設計データの確認方法は、下記の2つの照査方法が考えられる。

1) 3 次元設計データを3 次元ビューアで表示し外観を目視で確認
2) 2 次元の設計図書や線形計算書等と照合して確認

なお、1)と2)の確認を両方とも実施することを基本とする。しかし、2 次元図面と3 次元データの両方をひとつの3 次元設計ソフトウェアを使用し作成した場合などで、整合が取れていることが明らかである場合は、2)の確認を省略しても良い。ただし、3 次元CAD で作成した2 次元図面を汎用CAD 等で変更するなど、複数のソフトを用いた場合は、必ずしも3 次元モデルと2 次元図面が一致する保証がないことから、照査の必要がある。

6.1 3 次元設計データを3 次元ビューアで表示し外観を目視で確認

3 次元設計データを3 次元ビュ-アで表示し、パソコン画面上で目視確認する。

図6-1 に示すように全体が照査可能となるよう、ビューポイントを変えながら目視チェックを行う。その際、上記に記載した観点が確認できるよう、チェックは複数の視点から行う。

図 6-1 3 次元ビューアによる外観チェックイメージ

6.2 2 次元の設計図書や線形計算書等と照合して確認

 3 次元設計データの中心線形データや横断形状データと設計図書(平面図、縦断図、横断図等)や線形計算書の数値を照合して確認する。確認方法は、表 6-1 に示すように3 次元設計データと設計図書や線形計算書との数値等を対比して確認する。設計図書の管理項目の箇所と寸法にチェックを記入する方法や、3 次元設計データから2 次元図面を作成し、設計図書と重ねあわせて確認する方法等を用いて実施する。詳細のチェック項目については、「(様式-1)3 次元設計データチェックシート」にて行うものとする。

表 6-1 2 次元の設計図書や線形計算書等を用いたチェック方法

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対象方法
平面線形線形の起終点、変化点(線形主要点)の平面座標と曲線要素の種別、数値について 平面図及び線形計算書と対比
縦断線形線形の起終点及び、変化点の標高と曲線要素について縦断図と対比
横断形状道路の完成形状と土工面(路床や路体)、堤防計画形状の構成点について、設計図書 に含まれる全ての横断図と対比。確認方法は、ソフトウェア画面と対比し、設計図 書の管理項目(例えば、道路幅員、基準高)と同じであることを確認する。

7.電子納品

7.1 電子納品する書類

本運用ガイドライン(案)で電子納品することを規定している書類は、以下のとおりである。

 データ交換標準(案)に則った3 次元設計データ

データ交換標準(案)に則った3 次元設計データは、次の3 種類がある。

 データ交換標準(案)に則った3 次元設計データ(XML ファイル)
 「データ交換標準(案)」に従って作成する3 次元設計データの構造を表すXML ファイルのこと。「土木設計業務等の電子納品要領(案)(令和2 年3 月)」でいう報告書オリジナルファイルに該当する。

 データ交換標準(案)に則った3 次元設計データ(イメージファイル)
  以下に示すどちらか、または両方のこと。

   「6. 照査方法」に従い確認した3 次元設計データを可視化した3D PDF 形式のPDFファイル。なお、広域なモデルの場合、3D PDF が正常に表示されない場合もあるため、3 次元地形モデルがない場合はスケルトンモデルにて3D PDF を作成すること。

   「6. 照査方法」に従い確認した「中心線形と横断形状の関係に不整合箇所がないと判断したイメージ画像」および「横断面の前後のつながりに不整合がないと判断したイメージ画像」の画像ファイル。

 「3 次元設計データチェックシート」によるチェック結果(PDF ファイル)
 「データ交換標準(案)」に従って作成された3 次元設計データについて、「(様式-1)3次元設計データチェックシート」を用いてチェックを行った結果を記載したPDF ファイル。チェック結果を記載したチェックシートおよび、いずれもチェック入りの線形計算書や平面図、横断図、縦断図等をPDF 化し、ひとつのファイルとしてまとめて作成する。

7.2 電子成果品の作成

 ここでは、電子成果品を作成するうえで必要となる「7.2.1 フォルダへの格納」及び「7.2.2 ファイル名の付け方」を規定する。

7.2.1 フォルダへの格納

 データ交換標準(案)に則った3 次元設計データ(XML ファイル)、データ交換標準(案)に則った3 次元設計データ(イメージファイル)及び「(様式-1)3 次元設計データチェックシート」によるチェック結果(PDF ファイル)は、「土木設計業務等の電子納品要領(案)(令和2 年3 月)」で規定されている「ICON フォルダ」下の「LANDXML フォルダ」に格納する。

図 7-1 3 次元設計データの格納フォルダ

7.2.2 ファイル名の付け方

データ交換標準(案)に則った3 次元設計データのファイル命名規則は、以下のとおりである。

(1)データ交換標準(案)に則った3 次元設計データ(XML ファイル)

 データ交換標準(案)に則った3 次元設計データが道路データか河川データかを判別するため、道路データの場合は「3D」に続く3~5 文字目は「ROA」固定とし、河川データの場合は「3D」に続く3~5 文字目は「LEV」固定とする。また、3 次元設計データは、複数のデータ交換標準(案)に則った3 次元設計データから構成されることがある。この場合、データ交換標準(案)に則った3 次元設計データの構成がファイル名から容易に判別できるように、データ交換標準(案)に則った3 次元設計データの連番を表す7・8 文字目(「nn」)は、01 からの連番によるファイル名とする。

図 7-2 データ交換標準(案)に則った3 次元設計データ(XML ファイル)の命名規則

(2)データ交換標準(案)に則った3 次元設計データ(イメージファイル)

 データ交換標準(案)に則った3 次元設計データの照査結果が道路データか河川データかを判別するため、道路データの場合は「3D」に続く3~5 文字目は「ROI」固定とし、河川データの場合は「3D」に続く3~5 文字目は「LEI」固定とする。拡張子は、PDF やJPG、PNG、TIF などイメージファイルを示す画像形式のものとする。

図 7-3 データ交換標準(案)に則った3 次元設計データ(イメージファイルの命名規則

(3)「(様式-1)3 次元設計データチェックシート」によるチェック結果(PDF ファイル)
   ファイル名と拡張子は固定で「CHECK.PDF」とする。

8.工事発注時の取り扱い

工事発注者は、設計図書(平面図、縦断図、横断図等)と共にi-Construction 業務を遂行する上で必要となる3 次元設計データを受注者に貸与するものとする。

図 8-1 設計から施工への3次元データの流通イメージ

9.施工時の利用方法

受注者は、発注者から貸与された3 次元設計データを運用ガイドライン(案)の「6. 照査方法」に従って設計図書(平面図、縦断図、横断図等)や線形計算書等と照合する。
また、起工測量の成果を反映するなどして3 次元設計データの修正を行う場合は、修正後の3 次元設計データを「6. 照査方法」に従って設計図書(平面図、縦断図、横断図等)や線形計算書等と照合した結果を監督職員に提出し、確認を経て情報化施工に利用する。

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