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【BIM/CIM】i-Construction 推進のための3次元数値地形図データ作成マニュアル (令和 5 年 3 月) 国土交通省国土地理院

【改訂履歴】

マニュアル名称年月備考
i-Construction 推進のため の3次元数値地形図データ 作成マニュアル 令和4年4月令和4年4月制定
 令和5年3月「作業規程の準則」の一部 改正に伴う修正

・附属資料1  三次元地理空間情報の取得基準

・附属資料2  三次元数値地形図データ作成のためのソフトウェア要件

・附属資料3  精度管理表の様式


序【概説】

1.  はじめに

近年、土木設計分野では建設生産プロセスを見直し、従来の二次元図面から三次元モデル 等を活用することによる生産性向上に取り組んでいる。三次元モデルは地形モデルに加え、 構造物や構造物を構成する部材等の名称や材質などの情報も管理することにより、生産性 向上のみならず品質向上も実現することができる。このように三次元モデルに各種の情報 を結び付 けて利 活用していくこ とを BIM/CIM ( Building/Construction Information Modeling, Management)と呼んでいる。

i-Construction 推進のための3次元数値地形図データ作成マニュアル」(以下「本マニ ュアル」という。)は、前述のとおり国土交通省が中心となって BIM/CIM を推進するなか、 測量段階で作成する三次元数値地形図データを設計段階以降で利活用可能とすることを目 的としている。利活用事例は本マニュアルではユースケースとして示しているが、例として、 測量段階で作成した三次元数値地形図データの上に設計段階で作成する BIM/CIM モデル を統合することで、設計ミスの削減や干渉チェック、数量の自動算出や構造物イメージの明 確化などの効果が期待される。また、設計段階で改めて精密な測量をやり直す必要がなくな り、効率化につながる。

本マニュアルは、このような設計段階以降で利活用が可能な三次元数値地形図データを 作成する際の標準的な作業方法、使用する機器等の必要な事項について規定したものであ る。

なお、本マニュアルは設計段階以降の規程類との連携が必要とされているが、それらで

「3 次元設計データ」「3 次元モデル」など算用数字で記載されている用語について、国土 地理院が独自に「三次元設計データ」「三次元モデル」と作業規程の準則に合わせ漢数字 に書き直すことでお互いの関連が不明瞭になることから、算用数字を用いた「3 次元」の 記載は最低限に留めつつ残しているが、漢数字の「三次元」と意味に差異はない。

2.  本マニュアルの概要

1)本マニュアルの使用方法

①公共測量を実施する場合

国又は地方公共団体等において作業規程の準則を準用している場合、本マニュアルを 準則第17条第3項に示す国土地理院が定めるマニュアルとして使用することができる。 測量計画機関(以下「計画機関」という。)は、公共測量を実施する際にはあらかじめ

測量法第36条(計画書についての助言)に基づき国土地理院の技術的助言を求めなけれ ばならない。

②基本測量及び公共測量以外の測量を実施する場合

基本測量及び公共測量以外の測量を実施する場合にも、1.の趣旨に沿った本マニュアル を利用することができる。利用に当たっては、利用目的に応じて各種基準や精度管理表等 が当該測量に適しているかを確認する必要がある。

2)本マニュアルの構成

本マニュアルは、測量段階において、後工程の設計段階以降で利用可能な三次元数値地 形図データを作成するため、条文・運用基準のほかに解説を加えている。本マニュアルの 全体構成は、以下のとおりである。

①【序】概説 測量業務で作成するべき三次元数値地形図データについての概説、マニュアルの構成

等について説明している。

②第 1 編   総則 本マニュアルの目的、三次元数値地形図データを作成するにあたっての条件及びデー

タの取り扱い等について規定している。

③第 2 編   三次元数値地形図データ取得 三次元数値地形図データを作成するにあたっての工程別作業区分及び作業手法につい

て規定している。

④第 3 編   資料 本マニュアルを補足するための資料として、三次元数値地形図データの取得基準、三次

元数値地形図データの作成等に使用するソフトウェア要件等を資料として添付している。

第1編  総則

(目的)
第1条 本マニュアルは、写真測量やUAV レーザ測量等により公共測量として作成する数値地形図を、測量段階の後工程である設計段階以降で利活用可能な三次元数値地形図データとして作成するための標準的な作業工程と留意点を定めることにより、円滑な測量作業の実施及び必要な精度の確保に資することを目的とする。

(用語)
第2条 本マニュアルにて使用する主な用語について、測量、設計・施工分野ごとに意味が異なる用語を含め、次のように定義する。

表 1  専門用語の用例と注意事項

専門用語用例および注意事項出典
BIM/CIMBuilding/Construction Information Modeling, Management の略で、測量・調査、設計段階から「3 次元モデル」を導入し、 その後の施工、検査、維持管理・更新の各段階においても「3 次 元モデル」を連携・発展させ、併せて事業全体にわたる関係者 間の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効 率化・高度化を図るものである。※1
BIM/CIM「3 次元モデル」と「属性情報」「参照資料」を組合せたものを※1
モデル指す。
i-Construction建設現場、すなわち測量・調査、設計、施工、検査、維持管理・ 更新までのあらゆる建設生産プロセスにおいて、抜本的に生産 性を向上させる取組であり、建設生産システム全体の生産性向 上の取組である。※1
ICTInformation and Communication Technology の略で、情報通 信技術を意味し、パソコン、インターネット等の技術を総称し ていう。 
ICT 土工ICT 活用工事における土工の略で、次の①~⑤の全ての段階で 
ICT 施工技術を活用するものを指す。
① 3 次元起工測量
② 3 次元設計データ作成
③ ICT 建設機械による施工
④ 3 次元出来形管理等の施工管理
⑤ 3 次元データの納品
   国土交通省では「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」等の施策を 建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生 産性向上を図り、もって魅力ある建設現場を目指す取組である i-Construction(アイ・コンストラクション)を進めている。 
3 次元モデル対象とする構造物等の形状を三次元で立体的に表現した情報を 指す。 各種の形状を三次元で表現するためのモデリング手法には、ワ イヤーフレーム、サーフェス、ソリッド等がある。一般的に、 構造物には、体積が求められるソリッド、地形には、TIN (Triangulated Irregular Network)が利用されている。※1
地形モデル傾斜変換点が補われた TIN(Triangulated Irregular Network,※1
不整三角網)など、地形をモデルとして表現したもの。※3
設計分野では、測量技術者がいう地形モデルを「(地形)サーフ※4
ェス」または「TIN」と呼ぶことがある。
数値地形モデル数値を用いた地形表現をいい(公共測量標準図式  第 38 条)、※3
格子状の標高で表したものはグリッドデータと呼ぶ。
TINTriangulated Irregular Network の略で、1 つの面を 三角形で※1
表現する手法である。三角形の形状が決まっていないため、不
整三角網(Triangulated Irregular Network)と呼ぶ。
サーフェス形状を三次元で表現するためのモデリング手法の 1 つで、物体※1
(Surface)の表面のみを表現する手法であり、TIN、メッシュ等で表現さ
れる。
設計で一般的な形状表現としてサーフェスという用語を用いる
場合は、地形に限らず構造物等の表面形状をモデリングする手
法の一つとして使用する。
本マニュアルでは、三次元図化した地物の立体化のことを「サ
ーフェス化」と呼ぶ。
地形サーフェスサーフェスのうち、特に地形を表現しているものを本マニュア ルでは地形サーフェスという。 
属性情報測量では各地物の性質を表す情報の意で使用する用語である。※1
設計・施工段階では、3 次元モデルに付与する部材(部品)の
情報(部材等の名称、形状、寸法、物性及び物性値(強度等)、
数量、そのほか付与が可能な情報)を指す。
本マニュアルでは、三次元数値地形図の地物の性質を表す情報
(等高線の標高値等)として属性という用語を使用するほか、
 建物等構造物の三次元化に際し、サーフェス化を行うために必 要な属性情報(幅や寸法など)の意味でも使用する。 
三次元点群デー地形・地物等を表す三次元座標を持つ多数の点データ及びその※3
内容を表す属性データを、計算処理が可能な形態で表現したも
のをいう(作業規程の準則  第362条)。
BIM/CIM 活用ガイドラインでは、地表面の計測だけでなく、
新設構造物の出来形の管理・数量算出、既設構造物を三次元点
群データにより三次元化して活用する等、三次元点群データの
利活用が進んでいる。
LandXML土地造成、土木工事、測量のデータ交換のためのオープンなフ ォーマットで、2000 年より米国で官民から成るコンソーシア ム LandXML.org により開発・運営が行われている。※1
J-LandXMLLandXML を国内事業に適用するため、国土交通省国土技術政 策総合研究所が、「LandXML1.2 に準じた 3 次元設計データ交 換標準(案)」を策定した。日本国内で「LandXML」という場 合には、同交換標準(案)に準じたフォーマットを指す場合が 多い。国土交通省の道路事業、河川事業の設計及び工事におい て、BIM/CIM や i-Construction で必要となる交換すべき 3 次元設計データを LandXML に準拠した形式で表記すること とし、その内容及び形式を定めている。※2
要素種別サーフ上記「LandXML1.2 に準じた 3 次元設計データ交換標準(案)※2
ェスセットVer.1.4」4-3-48 サーフェスセット、4-3-49 要素種別サーフェ
スで定義されたデータセットを指す。
オリジナルデーレーザ測量により取得する三次元点群データであり、地表面だ※3
けでなく建物や樹木の高さを含むオリジナルの計測データをい
う。
フィルタリングオリジナルデータから、建物/構造物、樹木/植生等、地表面※3
以外のデータを除去する作業をいう。
グラウンドデーオリジナルデータからフィルタリング処理を行うことで作成さ※3
れる地表面の三次元点群データをいう。
グリッドデータグラウンドデータから内挿補間により作成される格子状の標高※3
データをいう。
等高線データ地図表現において同じ高さの点を結んだ線をいう。空中写真測※3
量では図化機を用いて作成する。レーザ計測では、グラウンド
データ又はグリッドデータから自動生成により作成する。
標定点写真測量やレーザ計測において、位置及び標高の精度を確保す※3
 るために基準となる点をいう。
ブレークライン局所的な歪みを補正するための地性線等のことを指し、凸線、 凹線、傾斜変換線などが該当する。※3 他
No.出典元
※1国土交通省 BIM/CIM 活用ガイドライン(案)共通編 1-4 用語の定義より  *【17】
※2国土交通省国土技術政策 総合研究所  LandXML1.2 に準じた 3 次元設計データ 交換標準(案) Ver.1.4(略称:J-LandXML)令和 3 年 3 月      *【13】
※3作業規程の準則
※4国土地理院  三次元点群データを使用した断面図作成マニュアル(案)平成 31 年 3 月

【解説】

本マニュアルでは、三次元数値地形図データの取得にあたって必要となる、三次元形状 の構造や作成方法に関する用語を定義した。これ以外に特に明示のないものは作業規程の 準則を準用するものとする。また、これ以外に本マニュアルで必要となる用語については、 文中に明示して解説するものとする。出典元に記載の*以降の番号は第 3 編に示す参考図書の番号である。

(準則の準用)
第3条 本マニュアルに定めるもの以外は、作業規程の準則(平成20 年国土交通省告示第413 号。以下「準則」という。)を準用する。

【解説】

準則の「空中写真測量」、「UAV 写真測量」「UAV レーザ測量」を準用するものとする。 補備測量として用いる地上レーザ計測については準則の「地上レーザ測量」を準用すること を標準とする。

(製品仕様書)
第4条 計画機関は、三次元数値地形図データを作成するにあたって、当該測量によって得られる測量成果の使用目的を明らかにしなければならない。
2 計画機関は、前項で明らかにした目的を踏まえ、製品仕様書を定めなければならない。製品仕様書は、三次元数値地形図データ作成の概覧、適用範囲、データ製品識別、データの内容及び構造、参照系、データ品質、データ製品配布、メタデータ等について体系的に記載するものとする。
3 計画機関において、自ら製品仕様書の作成が困難な場合は、計画機関は1 項の目的を作業機関又は関係者に示し、製品仕様書の作成の支援を受けることができるものとする。

【解説】

本マニュアルに従って作成する三次元数値地形データは、後工程の設計段階以降で利用 することを想定している。得ようとする三次元数値地形図データの地物の種類や取得基準、 精度等の品質は、道路概略設計や橋梁予備設計等の工種や設計種類によって異なる。適切な 測量方法についても、地域の特性や利用目的により異なる。例えば、UAV の飛行制限があ るために地上レーザ計測で補測する必要があったり、利用目的を満たす品質を得るために は UAV 搭載型レーザスキャナによる点群データ取得が必要になる等、状況により異なる。 このため、計画機関は、三次元数値地形図の利用目的を明確にすることが重要である。

計画機関は、明らかにしたデータの利用目的をふまえ、作成する三次元数値地形図の製品 仕様書を作成する。データの内容及び構造は、既存の数値地形図データ製品仕様書を参考に 附属資料1「三次元地理空間情報の取得基準」に準拠して定義することができる。データ品 質については、本マニュアル第2編第9章を参考として作成することができる。

なお、三次元数値地形図データ作成のために実施する地形測量の方法としては、空中写真 測量による図化、UAV 搭載型レーザスキャナによる点群図化などがあるが、採用する方法 により地物の取得基準や精度、品質が異なる。このため、取得基準や品質については製品仕 様書で判別できるようにしておくものとする。

(作業計画)
第5条 作業計画は、準則第11条の規定を準用し、工程別に作成するものとする。

【解説】 工程別の作業区分については、本マニュアルの第13条に従うものとする。

(工程管理)
第6条 工程管理は、準則第12条の規定を準用する。

(精度管理)
第7条 測量の正確さを確保するため、適切な精度管理を行い、その結果に基づいて品質評価表及び精度管理表を作成し、これを測量計画機関に提出しなければならない。
2 各工程別作業の終了時、その他適切な時期に本マニュアルに規定された点検を行わなければならない。
3 作業の終了後速やかに点検測量を行わなければならない。

<第7条 運用基準>

本マニュアルに基づく測量成果の点検測量率は 2%を標準とする。

(測量成果の検定)
第8条 計画機関が指定する場合は、本マニュアルに規定する成果品のうち、三次元数値地形図データについて、検定に関する技術を有する第三者機関による検定を受けなければならない。

【解説】 測量成果の検定は、作成した成果品が要求仕様を満たし品質が確保されているかを第三者機関が評価するものである。成果品の検定は納品前に実施し、合格であれば第三者機関の 検定証明書等の書類が発行される。なお、本マニュアルに従って作成する三次元数値地形図 については、評価基準となる要求仕様が製品仕様書に定められているため、作業機関は第三 者機関による検定を受ける場合には、製品仕様書等の添付が必要である。

(運用基準)
第9条 本マニュアルの運用に関し必要な事項については、運用基準として定める。

第2編  三次元数値地形図データ取得

第1章  概説

(要旨)
第10条 「三次元数値地形図データ取得」とは、写真測量、レーザ測量により取得する三次元数値図化データをもとに、三次元数値地形図データファイル、構造化データファイルを作成する作業をいう。

【解説】

図化の前提となる計測は、空中写真や UAV 写真によるステレオ写真測量のほか、UAV レ ーザ測量で作成する点群データによる点群図化によるものとするが、一部の地物は航空機 や UAV による計測では遮蔽等により三次元数値図化ができないことから、補備測量を実施 する必要がある。その計測手法は、UAV レーザ、地上レーザ等の計測点の集合となる点群 を直接得られる手法を主とする。ただし、必要に応じて TS 計測等による測量を行い、点群 の位置補正も行うものとする。

これらの計測手法の選定にあたっては計測対象の範囲、求められる精度、計測単価、地理 的制約などを考慮し最適なものを選択する。計測単価については、国土交通省や公益法人の 積算資料等を参考に算定する。なお、市街地、都市近郊、森林丘陵地など、作業対象範囲に 応じ作業に要する工数が異なることに留意する。

(数値地形図データの地図情報レベル及び精度)
第11条 写真測量及びレーザ測量等により作成する三次元数値地形図データの地図情
報レベル及び精度は、次表を標準とする。

地図情報レベル水平位置の標準偏差標高点の標準偏差等高線の標準偏差
500 10000.25m 以内 0.70m 以内0.25m 以内 0.33m 以内0.5m 以内 0.5m 以内

【解説】

本マニュアルで作成する三次元数値地形図データは、建設生産プロセスの設計段階で利用することを想定している。設計段階で利用が想定される三次元数値地形図データの地図 情報レベル及び精度について、準則第106条(数値地形図データの精度)に準じ、上記の 地図情報レベル及び精度を標準とする。

なお、建物の高さについての精度は規定していない。これは建物の上部(屋上等)に検証 点を配置することで、地表面の標高点と同様に精度検証は可能だが、公共の建物以外で建物 上部に検証点を設置することは困難なためである。しかしながら、建物高の精度検証は、条 件が整えば不可能ではないことから、検証点の配置について対象地域の特性や利用用途を 考慮した上で計画機関と協議して決定するものとし、その精度基準については標高点の基準を準用するものとする。

(プロセス間連携のための基準点データ)
第12条 三次元数値地形図データ作成のために実施する測量作業で取得した公共基準点の情報は後工程へ引継ぎを行う。

<第12条 運用基準>

国土交通省「3 次元モデル成果物作成要領(案) 附属資料4 プロセス間連携における 基準点の扱いの効果的な運用方法」を適用する。測量作業で取得した公共基準点は、 BIM/CIM 作成事前協議・引継書シートおよび BIM/CIM モデルを用いて、前工程から後工 程に引継ぎを行うものとする。

【解説】

本マニュアルで作成する三次元数値地形図データは、設計段階で BIM/CIM モデルと地 形データとの統合モデルの作成に利用されることが想定されるが、BIM/CIM モデルでは平 面直角座標系の座標値を持たないものがあり、統合モデル作成に際して位置合わせに支障 が生じる可能性がある。

これを解決するため、国土交通省が定める BIM/CIM に関する基準・要領のうち、「3 次 元モデル成果物作成要領(案) 附属資料4 プロセス間連携における基準点の扱いの効果 的な運用方法」が定められている。この中で、BIM/CIM モデルの「位置および向き」を設 定するため、国土地理院が管理する電子基準点、三角点、水準点等ならびに国および地方自 治体等が管理する基準点、街区三角点、街区多角点、水準点等(これらを公共基準点と呼ぶ) を用いることとしている。測量、調査、設計、施工、維持管理の各段階において使用した公 共基準点は、BIM/CIM 作成事前協議・引継書シートおよび BIM/CIM モデルを用いて、前 工程から後工程に引継ぎを行う必要があることに留意する。

表 2  公共基準点の説明

番号用語説明
1公共基準点国土地理院が管理する電子基準点、一等三角点、二等三角点、 三等三角点、一等水準点、二等水準点、三等水準点、ならびに 国および地方自治体等が管理する 1 級基準点、2 級基準点、3 級基準点、街区三角点、街区多角点、1 級水準点、2 級水準点、 3 級水準点、をいう。
2公共基準点(A)BIM/CIM モデルの位置を定める公共基準点をいう。
3公共基準点(B)BIM/CIM モデルの向きを定める公共基準点をいう。

※国土交通省「3 次元モデル成果物作成要領(案) 附属資料4 プロセス間連携における基準 点の扱いの効果的な運用方法」から引用

※国土交通省「3 次元モデル成果物作成要領(案) 附属資料4 プロセス間連携における基 準点の扱いの効果的な運用方法」から引用

図 1  BIM/CIM モデル作成事前協議・引継書シート

(工程別作業区分及び順序)
第13条 工程別作業区分及び作業の順序は、次のとおりとする。なお、三 現地調査は、作業地域の特性や作業条件を考慮し、計画機関と調整のうえ、作業の順序を変えることができる。
   一 作業計画
   二 計測
   三 現地調査
   四 三次元数値図化
   五 三次元数値編集
   六 三次元補測編集
   七 数値地形図データファイルの作成
   八 構造化
   九 品質評価
   十 成果等の整理

【解説】

工程については、本マニュアルでは図 2の工程の順序で実施する。「二   計測」の実施内容は準則またはマニュアルの各規程を準用する。また、「三 現地調査」の実施内容は、計 測の方法により準則の各規程を準用する。「三 現地調査」は、作業対象範囲の地域の特性 や作業条件から、「五 三次元数値編集」の後に実施する等、計画機関と調整して順序を替 えて実施することも可能とする。

地物等の取得は空中写真測量、UAV 写真測量、UAV レーザ測量によるものとし、現地補 測で地上レーザ計測を用いる。

本マニュアルにおける三次元数値地形図データは、建設生産プロセスの設計業務で利用 することを考慮し、橋梁、建造物、鉄塔など地表面から立ち上がっている三次元形状地物に ついて、サーフェス化した表現も可能な規定を盛り込んでいる。設計業務と関連した測量業 務の発注等において、設計側でのニーズが明確であり計画機関が必要と判断する場合に実 施できるよう工程に含めている。

第2章  計測

第1節  概説

(要旨)
第14条 「計測」とは、三次元数値地形図データ作成に必要な空中写真測量、UAV 写真測量、UAV レーザ測量、地上レーザ測量等の計測作業をいう。

<第14条 運用基準>

空中写真測量、UAV 写真測量、UAV レーザ測量を基本とし、遮蔽部等、上空からの計測 で取得できない箇所の補備測量として、地上レーザスキャナによる測量を行うこともでき るものとする。

第2節  計測

(要旨)
第15条 「計測」は、空中写真測量、UAV 写真測量、UAV レーザ測量により三次元数値地形図データ作成に必要な地形を測量する作業をいう。遮蔽部等の補完を目的として、地上レーザスキャナにより、必要部分を現地において補測する測量(以下「現地補測」という。)を含む。
2 具体的な測量方法については、第4条で計画機関が策定する製品仕様書により決定する。

【解説】

計画機関は、製品仕様書に規定する三次元数値地形図データの利用目的や品質などの要

求仕様、地域特性等を考慮して必要な測量方法を選択するものとし、基本的には写真測量及 びレーザ測量による。写真測量は、空中写真測量による計測と UAV 写真測量による計測を 標準とする。レーザ測量については UAV レーザ測量を標準とする。測量方法の選定は、作 業対象範囲の地域の特性や作業条件、製品仕様書に規定された要求仕様等を勘案して計画 機関が決定する。

航空機や UAV による測量では樹木等による遮蔽で判読できない地物や、橋梁の下部工や 横断歩道など上空からの測量では遮蔽等により判読できない地物に対する現地補測として、 地上レーザスキャナによる点群測量を行うことができる。現地補測を行う必要があるのは 以下のケースである。

・空中写真において、陰影やハレーション等の障害が発生している場合

・レーザ測量において、オリジナルデータで十分な計測点密度が確保されない箇所

(高い塀や樹木による遮蔽、水面・水たまり、工事や駐車車両による遮蔽、等) このような場合、後工程の三次元数値図化では、写真測量によるステレオ図化、又はレー

ザ測量(オリジナルデータ)による点群図化を行う。このため、図化用データには写真測量

成果の他、レーザ測量で得られた点群によるオリジナルデータ(計測機材によっては同時に デジタルカメラ撮影した画像データを加える)を含め、デジタル図化機を利用した図化作業 時に、参考データとして連携して表示できる仕組みを用意することを推奨する。

(計測における作業方法の準用)
第16条 計測における作業方法は、空中写真測量の工程は準則第3 編第4 章、UAV 写
真測量の工程は準則第3 編第3 章、地上レーザ測量の工程は準則第4 編第2 章、
UAV レーザ測量の工程は準則第4 編第4 章をそれぞれ準用する。

【解説】

空中写真測量の工程については準則「第 3 編 第 4 章 空中写真測量」の第171条~ 第218条を準用する。UAV 写真測量の工程については準則「第 3 編 第 3 章 UAV 写真 測量」の第135条~第156条を準用する。地上レーザ測量の工程については準則「第 4 編 第 2 章 地上レーザ測量」の第367条~第380条を準用する。UAV レーザ測量の 工程については準則「第 4 編 第 4 章 UAV レーザ測量」の第443条~第464条を準 用する。

第3章  現地調査

第1節  概説

(要旨)
第17条 「現地調査」とは、三次元数値地形図データを作成するために必要な各種表現
事項、名称、観測不良箇所等について地図情報レベルを考慮して現地において調査確認
し、その結果を空中写真又は参考資料に記入して、三次元数値図化及び三次元数値編集に
必要な資料を作成する作業をいう。
2 現地調査に使用する空中写真は、原則として、地図情報レベルに対応する数値地形図
データ出力図の相当縮尺で作成する。なお、空中写真に代えて写真地図を使用するこ
とができるものとする。また、レーザ計測の場合はレーザ測量の反射強度画像等を使
用することができるものとする。
3 現地調査に使用する写真地図は、判読に支障のない地上画素寸法で、局所的な歪みを生
じないように作成するものとする。

第2節  現地調査

(現地調査における作業方法の準用)
第18条 現地調査における作業方法は、空中写真測量は準則第3 編第4 章、UAV 写真
測量は準則第3 編第3 章をそれぞれ準用する。

【解説】

空中写真測量における現地調査は準則「第 3 編   第 4 章  空中写真測量」の第219条~第224条を準用する。UAV 写真測量における現地調査については準則「第 3 編   第 3章  UAV 写真測量」の第157条~第160条を準用する。

第4章  三次元数値図化

第1節  概説

(要旨)
第19条 本章において「三次元数値図化」とは、写真測量によるステレオ図化及びレーザ測量成果による点群図化を用いて、地形、地物等の座標値を取得し、三次元数値図化データを記録する作業をいう。 図化手法は計画機関との協議により決定する。

【解説】

三次元数値図化はステレオ写真を利用する写真図化、三次元点群データを利用する点群図化、または双方を組み合わせて行うものとする。図化方法の選定は、対象地域の特性や三 次元数値地形図データの利用ニーズ等を勘案して計画機関との協議により決定する。

(取得する座標値の単位)
第20条 三次元数値図化における地上座標値は、0.01メートル位とする。

第2節  写真による三次元数値図化

(要旨)
第21条 「写真による三次元数値図化」とは、空中写真、UAV 写真、同時調整、現地
調査等で得られた成果を用いて、デジタルステレオ図化機によりステレオモデルを構
築し、地形、地物等の座標値を取得し、三次元数値図化データを記録する作業をいう。

(デジタルステレオ図化機)
第22条 三次元数値図化に使用するデジタルステレオ図化機は、次の各号の構成及び性能を有するものとする。一 電子計算機、ステレオ視装置、スクリーンモニター、三次元マウス又はXYハン
ドル、Z盤等で構成されるもの。

二 内部標定及び外部標定要素によりステレオモデルの構築及び表示が行えるもの。

三 X、Y、Zの座標値と所定のコードが入力及び記録できる機能を有するもの。

四 画像計測の性能は、0.1画素以内まで読めるもの。

<第22条 運用基準>
附属資料2に示す要件を満たすデジタルステレオ図化機を利用することが必要である。

(ステレオモデルの構築)
第23条 「ステレオモデルの構築」とは、デジタルステレオ図化機において数値写真のステレオモデルを構築し、平面直角座標系と結合させる作業をいう。
2 ステレオモデルの構築は、同時調整を行った外部標定要素を用いることを標準とする。
3 セルフキャリブレーション付きバンドル法による同時調整成果を用いる場合は、その同時調整で決定されたカメラキャリブレーションデータを用いるものとする。
4 ステレオモデルの点検は、次の各号に留意して実施し、必要に応じて再度同時調整を行うものとする。
  一 6点のパスポイント付近での残存縦視差が1画素以内であること。
  二 標定点の残差が第11条の規定以内であること。

(細部数値図化)
第24条 細部数値図化は、線状対象物、建物、植生、等高線の順序で行うものとし、必ずデータの位置、形状等をスクリーンモニターに表示し、データの取得漏れのないように留意しなければならない。
2 分類コードは附属資料1「三次元地理空間情報の取得基準」に示すものを標準とする。
3 変形地は、可能な限り等高線で取得し、その状況によって変形地記号を取得するものとする。
4 等高線は、主曲線を1本ずつ測定して取得し、主曲線だけでは地形を適切に表現できない部分について補助曲線等を取得するものとする。
5 陰影、ハレーション等の障害により判読困難な部分又は図化不能部分がある場合は、その部分の範囲を表示し、現地補測(第58条第2項に規定する現地補測をいう)を行う場合の必要な注意事項を記載するものとする。
6 数値図化時においては、データの位置、形状等をスクリーンモニターに表示して確認することを標準とする。

<第24条 運用基準>

1 項について、航空レーザ等により三次元点群データを取得した場合、計画機関との協議 により、三次元点群データからの自動生成で等高線を作成することができるものとする。

2 項について、三次元数値図化では、分類コードは「三次元地理空間情報の取得基準」に 示す取得基準に基づくものとする。地上レーザ測量における数値図化についても同様とす る。

【解説】

1 項において、地形編集の基準は本マニュアル第4章第4節に、地形を除く地物の基準 は第5節に従う。

(数値図化の範囲)
第25条 モデルの三次元数値図化範囲は、原則として、パスポイントで囲まれた区域内
とする。

(標高点の選定)
第26条 標高点は、地形判読の便を考慮して次のとおり選定するものとする。
 一 主要な山頂
 二 道路の主要な分岐点及び道路が通ずる又はその他主要なあん部
 三 谷口、河川の合流点、広い谷底部又は河川敷
 四 主な傾斜の変換点
 五 その付近の一般面を代表する地点
 六 凹地の読定可能な最深部
 七 その他地形を明確にするために必要な地点
2 標高点は、等密度に分布するように配置に努め、その密度は、地図情報レベルに4センチメートルを乗じた値を辺長とする格子に1点を標準とする。

(標高点の測定)
第27条 標高点の測定は、1回目の測定終了後、点検のための測定を行い、測定値の較差の許容範囲は、次表を標準とする。

地図情報レベル較  差
500 10000.1m以内 0.2m以内

2 較差が許容範囲を超える場合は、更に1回の測定を行い、3回の測定値の平均値を採用するものとする。
3 標高点は、デジタルステレオ図化機による自動標高抽出技術を用いて取得してはならない。

第3節 点群による三次元数値図化

(要旨)
第28条 「点群による三次元数値図化」とは、レーザ測量で得られたオリジナルデータ及び現地調査等で得られた成果を用いて、数値図化機等により地形、地物等の座標値
を取得し、三次元数値図化データを記録する作業をいう。

【解説】
図化の際、レーザ計測時に撮影した数値写真、現地調査等で得られた写真や外部標定要素等のデータを参考にすることができる。

(数値図化システム)
第29条 数値図化に使用するシステムの構成及びシステムの性能は、次の各号を有するものとする。
 一 電子計算機、スクリーンモニター、マウス等を有すること。
 二 スクリーンモニターが複数の画面に分割できること。
 三 任意の視点からの三次元表示ができること。
 四 X、Y、Zの座標値と所定のコードが入力及び記録できる機能を有すること。

<第29条 運用基準>
数値地形図データの作成に用いるシステムは、次の各号のいずれかの方法により数値図化が行える機能を有するものとする。
(1) コンピュータ内に三次元空間を設け、スクリーンモニター上の複数の画面に異なる投影でオリジナルデータ及びその反射強度等を表示し、地図情報を数値化する方法
(2) 立体的構造物の形状が顕著になるようにオリジナルデータを三次元表示し、地図情報を数値化する方法
(3) オリジナルデータ及びグリッドデータを陰影段彩表現に加工したデータを表示し、地図情報を数値化する方法
(4) オリジナルデータから得られる反射強度の正射表示による方法

【解説】
附属資料2に示す要件を満たす三次元点群データを扱えるシステムを利用することが必要である。

(細部数値図化)
第30条 細部数値図化は、線状対象物、建物、植生の順序で行い、等高線は第38条によるものとする。
2 分類コードは、「三次元地理空間情報の取得基準」に示すものを標準とする。
3 数値図化は、オリジナルデータの上方からの正射影を基図とし、断面図や陰影図を参考に行うものとする。
4 構造物や植生の遮蔽、濃淡不足等の障害により判読困難な部分又は図化不能部分がある場合は、その部分の範囲を明示し、必要に応じて補測編集を行う場合の注意事項を記載するものとする。

【解説】
地形編集の基準は本マニュアルの第4章第4節に、地形を除く地物の基準は第5節に従う。三次元点群データによる地形図化でオリジナルデータから得られる反射強度の正射表示を用いて数値図化を行う場合は、次の各号に留意するものとする。
(1) 数値図化に当たっては微地形表現図等の陰影図データを参照する。
(2) 周辺との反射強度に差がない地物は、微地形表現図等の陰影図データに加え、現地補測や設計図書等に基づいて数値図化する。
(3) 堰堤やダム等の立体的構造を持つ地物は、オリジナルデータによる陰影を基に三次元形状から数値図化を行う。
(4) 樹木下の地物を捉えた点群の反射強度は、周辺の状況に注意して地物を特定して数値図化を行う。

(標高点の選定)
第31条 標高点は、地形判読の便を考慮して次のとおり選定するものとする。
 一 道路の主要な分岐点
 二 河川の合流点及び広い河川敷
 三 主な傾斜の変換点
 四 その付近の一般面を代表する地点
 五 凹地の読定可能な最深部
 六 その他地形を明確にするために必要な地点
2 標高点は、等密度に分布するよう配置に努め、その密度は、地図情報レベルに4センチメートルを乗じた値を辺長とする格子に1点を標準とする。

(標高点の観測)
第32条 標高の観測は、オリジナルデータからの読み取りを原則とする。
2 オリジナルデータの間隔が広く、適切な位置に計測点がない場合には、周辺の計測点から内挿するものとする。

(三次元数値図化に用いるオリジナルデータ)
第33条 三次元数値図化に用いるオリジナルデータは、準則にて定められた基準を満たすものとする。
2 オリジナルデータで十分な計測点密度が確保されない場合や、遮蔽部分が存在する場合は、適切な測量方法で補測するものとする。

<第33条 運用基準>
三次元数値地形図データの作成に用いるオリジナルデータの点密度及び要求精度は、作成する三次元数値地形図データの地図情報レベルに応じて設定するものとし、表 3及び表4を標準とする。

第4節 三次元地形取得

(要旨)
第34条 三次元地形取得とは、三次元数値地形図データの基準面となる地形形状を取得する作業をいう。

【解説】
設計での利活用が見込まれる地形サーフェス等の地形データ取得は、三次元地物取得の前に実施する。その際、附属資料2に示す要件に準拠したソフトウェアを利用することが必要である。

(地形データの取得)
第35条 地形表現のためのデータ取得は写真測量又はレーザ測量により行うものとする。
2 写真測量による地形データの取得は以下によるものとする。
 一 地形表現のためのデータ取得は、等高線法、数値地形モデル法又はこれらの併用法により行うものとする。
 二 等高線法によりデータを取得する場合は、平面直角座標系における距離間隔、曲率変化又は時間間隔のいずれかを取得頻度の指標として選択し、地形の状況に応じて適切に取得頻度を設定するものとする。
 三 数値地形モデル法によりデータを取得する場合は、デジタルステレオ図化機を用いて次の各号により直接測定し記録するものとする。ただし、必要に応じて等高線から計算処理で発生させることができるものとし、自動標高抽出技術を用いた数値地形モデル法及びその標高値による等高線データの取得を行ってはならない。
  イ 所定の格子点間隔は、地形の状況に応じて適切な取得間隔を設定する。
  ロ 任意の点は、必要に応じて第31条の規定を準用して選択する。
 四 数値地形モデルのデータをそのまま採用し、成果とする場合は、点検プログラム又は出力図等により、データの点検を行うものとする。
3 レーザ測量による地形データの取得は以下によるものとする。
 一 三次元点群データによる地形表現のためのデータ取得は、オリジナルデータより行うものとする。
 二 グラウンドデータの作成は、第37条によるものとし、等高線は、第38条によるものとする。
 三 オリジナルデータは、等高線間隔で段彩表現することを原則とする。
4 構造物や植生の遮蔽、陰蔽等の観測不良により図化不能部分がある場合は、その部分の範囲を明示し、必要に応じて補測編集を行う場合の注意事項を記載するものとする。

【解説】
三次元数値地形図データは、等高線や高さ情報が構成点ごとに変化する(いわゆる傾斜のある)道路等の地形を構成する地物と、地形上に配置する構造物等の地物に分けて整理することができる。
道路、水部、法面、変形地等の地形を構成する地物は、写真測量やレーザ測量により取得した等高線、ブレークライン等の地物を利用して数値地形モデル(TIN データ)を作成する。この地形モデルを基準面とし、地形以外の構造物等の地物を取得する。

図 3 地形を構成する地物と地形以外の構造物等の地物

(ブレークラインの取得)
第36条 図化する地形の凹凸を標高の許容誤差に収めるために、必要に応じてブレークラインを追加することができる。
2 ブレークラインは、変形地や人工斜面、道路縁、構囲などの地形勾配の変化点となる地物を取得することを標準とする。
3 ブレークラインを選定する位置は、準則第317条第3項に従う。

【解説】
地形サーフェスを作成する際、地形の傾斜の変化箇所を表現するためにブレークラインの取得が重要である。

(グラウンドデータの作成)
第37条 「グラウンドデータの作成」とは、レーザ計測による三次元点群データから地形データを作成する場合において、オリジナルデータからフィルタリング処理により地表面の三次元点群データを作成する作業をいう。
 一 グラウンドデータは、オリジナルデータからフィルタリングを行って作成するものとする。
 二 グラウンドデータの作成は、準則第559条を準用するものとし、フィルタリングの項目は要求仕様に基づいて決定する。
 三 グラウンドデータは、各種出力図等又は図形編集装置を用いて、適正にフィルタリングが行われているか検証しなければならない。

【解説】
グラウンドデータとは、オリジナルデータから地表遮蔽物部分の計測データを除去するフィルタリングにより作成される標高データをいう。地形の傾斜の変化箇所については、前条項で取得したブレークラインを活用して作成する。グラウンドデータは人工構造物などや高さのある地物の三次元化の基準面となる。

(等高線データの作成)
第38条 等高線データは、以下のいずれかにより取得するものとする。
 一 写真測量による三次元数値図化に際し、第24条の規定により取得する。
 二 第37条で作成するグラウンドデータを利用して作成する。
 三 第37条で作成するグラウンドデータを用いて第66条で作成するグリッドデータを利用して作成する。

【解説】
レーザ測量による点群データから等高線データを作成する場合は、グラウンドデータ又はグリッドデータから計算処理によって等高線を自動生成するものとする。自動生成された等高線は、数値図化により作成される等高線とは異なるため、注意が必要である。例えば、写真測量では道路を等高線が横断する場合は道路直角方向に交差するよう配慮されるが、自動生成の等高線ではそのような配慮はされない。
なお、等高線が幾重にもできているような箇所が存在した場合は、グラウンドデータ等にフィルタリング漏れや異常値が無いか確認する必要がある。

(等高線データの検証)
第39条 等高線データは、図形編集装置又は各種出力図等を用いて、形状、属性情報等を検証しなければならない。

【解説】
等高線データの検証は、等高線の形状や属性(標高値)を正しいか確認する。GIS ソフトウェアがあれば、等高線に標高値のラベルを表示させる方法、標高に応じた色分け表示などで確認を行う方法が考えられる。

(他の測量方法によるデータの追加)
第40条 三次元数値図化データに、他の測量方法によるデータを追加する場合は第42条の規定を準用する。

【解説】
本マニュアルでは、第13条に示すとおり、地上レーザ測量を追加する。

(地形補備測量)
第41条 「地形補備測量」とは、計画機関が特に指定する区域を対象として等高線、標高点を現地で補備する作業をいう。
2 地形補備測量は、原則として、次のいずれかの場合に行うものとする。
 一 標高点及び等高線の精度を、高木の密生地についても確実に維持する必要がある場合
 二 主曲線の間隔を0.5メートルとする場合
  イ 簡易水準測量に基づいた標高点(以下「単点」という。)を測定し、各単点及び観測成果は、単点の位置が特定できる空中写真上に表示するものとする。
  ロ 単点の密度は、地図情報レベルの相当縮尺で出力図とした時、地図情報レベルに4センチメートルを乗じた値を辺長とする格子に1点を標準とする。
  ハ 単点は2回測定し、その較差は10センチメートル以内とする。

(地形補備測量の方法)
第42条 地形補備測量の方法は、基準点等又は同時調整等により座標を求めた点に基づいて、準則の第3編第2章第4節の細部測量及び4級基準点測量の規定により行うものとする。
2 地形補備測量データは、地形補備測量(地上レーザ測量等)により取得した地形データを編集処理し、測定位置確認資料に基づき分類コードを付して作成するものとする。

【解説】

地上レーザ測量により取得した地形データを用いて三次元数値図化、三次元数値編集を実施し、測定位置確認資料に基づき分類コードを付して作成する。その際、附属資料2に示す要件に準拠したソフトウェアを利用することが必要である。

第5節 三次元地物取得

(要旨)
第43条 三次元地物取得とは、三次元地形取得において作成した三次元数値地形図データの基準面の上に、対象の地物を取得する作業をいう。

【解説】
三次元地物取得を行う際は、附属資料2に示す要件に準拠したソフトウェアを利用することが必要である。

(三次元地物の取得基準)
第44条 三次元地物取得に際しては附属資料1「三次元地理空間情報の取得基準」に従うことを標準とする。地物のサーフェス化は必要に応じて製品仕様書の指定に基づき行うものとする。

【解説】
「三次元地理空間情報の取得基準」は、測量技術者が設計業務で利用可能な三次元数値地形図データを作成する際の取得基準(取得項目とその基準)である。附属資料1にその内容を示す。

三次元地物取得に際しては、「三次元地理空間情報の取得基準」における取得基準、図式(取得例)、取得に関する補足事項の説明を参考とする。三次元数値地形図データの利用目的による地物の作成要領(ユースケース別基準)を本マニュアル第4章第6節に示す。細部は製品仕様書によるものとする。

三次元図化対象の地物の図化方法について、道路、建物、道路施設(橋梁)、その他の小物体(煙突、高塔)、その他の小物体(送電線)、水部、公共施設(電柱等)を例に挙げて説明する。

i. 道路
ii. 建物

庇等の突起物は極力省略して建物の概形を取得するよう留意し、図のように屋根など上空から見て高さの異なる面形状を取得する。サーフェス化を行う場合、屋根から地表面へ立体化する(図 4)。

普通建物の屋根はその形状から分割取得する必要があるものが存在する。切妻屋根は図5 に例示するように一筆書きで問題ないが、寄棟屋根は一筆書きで図化できないため2 つに分けて図化する。寄棟屋根は外周線の図化だけでは陸棟部分を表現できないので、図 6に例示するように分割取得する。

iii. 道路施設(橋梁)

橋桁、高欄、橋脚部分を取得する。下部工に関して必要に応じて現地補測を行い取得する。

iv. その他の小物体(煙突、高塔)

高さ方向の形状の変化をとらえ、複数の面を取得する。図 8に示す赤い部分が取得する面であり、先端から鉛直方向に形状が変化する高さで面を取得する。

鉄塔のような角錐体の場合、上端と下端の2 面を取得する。サーフェス化を行う場合は、図化で取得した面形状を利用して作成する。

v. その他の小物体(送電線)

たわみ等の詳細な形状は点群から確認できるが、点群利用の有無にかかわらず、鉄塔間の接続を表現するため、一本の直線で結線する。

vi. 水部
vii. 公共施設(電柱等)

有線柱(コード4119)、電話柱(コード4132)、電柱(電力柱)(コード4142)の取得基準は以下の通りとする。

 三次元地物取得の例を表 5に示す。通常は「三次元地理空間情報の取得基準」に従い、三次元図化・編集(例)のように取得する。道路橋の例では縁線と高欄を取得(この例では橋脚は存在しないため図化していない)、建物の例では寄棟屋根を取得、高塔の例では高さ方向の形状の変化をとらえて上部と下部の位置と形状を取得している。
 製品仕様書で指定する場合、サーフェス表現(例)のように取得することも可能である。

地物現地写真三次元地物取得(例)サーフェス表現(例)
道路

道路の最も外側の線を取得
道路

縁線と高欄を取得
この例では橋桁がない

パーツを面で取得し立体化
石段
トン
ネル
側溝
雨水

側溝、雨水桝の外形を取得
鉄道
軌道の上端中央部を取得
建物
寄棟屋根を取得

屋根の縁から地表面へ垂直
に立体化
電柱
上端と下端の外形を取得

径による立体化
高塔
上端と下端の二面を取得
照明

照明灯の上部位置(ポー
ルの外周)を取得

上端の面から
地表面へ立体化
水部
水部の境界線を取得
人工
斜面

上端線と下端線を取得
防護
さく

防護さくの上部を取得
ブレ
ーク
ライ

地形の不連続部を線で
取得
TIN
グラウンドデータ又はグ
リッドデータからTIN を
生成

(三次元属性値)
第45条 三次元属性値は、三次元数値地形図データの線及び面をサーフェス化するために必要な寸法値(幅や径など)で、線や面の図形要素が個別に持つ属性情報のことである。三次元属性値によるサーフェス化は、製品仕様書で規定する場合に実施する。

【解説】
三次元属性値は表 6に示すように、線または面の要素タイプごとに属性区分と属性数値を格納する。この属性区分と属性数値によりサーフェス化することができる。

表 6 三次元属性値の内容

属性タイプ要素タイプ属性区分属性数値の内容
タイプP1 1 線へのポインタ(下端面に対応する上端線)
タイプP22面へのポインタ(下端面に対応する上端面)

地物のサーフェス化に際し、例えば、建物ではステレオ図化あるいは点群図化によって屋根の面形状を取得し、この面形状から地表面の方向に対してサーフェス化を行う(タイプP1)。

第6節 ユースケース別基準

(要旨)
第46条 ユースケース別基準とは、設計段階以降で三次元数値地形図データを利用する場合のユースケース別の利用地物や取得基準における留意点をいう。

【解説】
後工程の設計・施工段階で有効活用できる三次元数値地形図データは、そのユースケースごとに必要な基準(ユースケース別基準)が異なる。ここでは道路分野、橋梁分野(道路施設)、河川分野でのユースケースごとに基準を示す。

(道路分野)
第47条 道路分野では次の三次元位置・形状が表現されていることを基準とする。
 一 予備設計、概略設計等で基点となる基準点位置の諸元と、その三次元位置
 二 ブレークラインで変化点を捉えている地形サーフェス
 三 三次元図化対象の地物は、交通施設(道路・道路施設)、建物、橋梁、鉄塔、送電線、地形サーフェス、等高線、水部等

【解説】
三次元図化対象の地物は製品仕様書でその対象を明示するものとする。道路分野におけ
るユースケース事例を表に示す。

表 7  道路分野におけるユースケース事例

設計段 階地図情報 レベル  ユースケース(利用事例)  利用地物
概略設 計  1000道路、建物等の三次元地形図データを概 略設計の背景図として活用三次元地形図データ (道路、建物等)
          予備設 計(A)            1000地形サーフェスを BIM/CIM モデルと統 合し、現況地盤面の把握のための道路縦 断図・横断図の作成に活用  地形サーフェス
地形サーフェスより微地形判読のための    地形サーフェス
地形解析図を作成し、地質リスクの検証 (斜面崩壊懸念箇所、落石源などの確
認)
三次元地形図データを確認しながら用地三次元地形図データ
幅杭計画の実施(道路、建物等)
予備設 計(B)          1000、た三次元地形図データを地元の合意形成の ための資料として活用  三次元地形図データ
          詳細設地形サーフェスを用いて土量計算を実施地形サーフェス
現況道路部の点群データ(電柱・電線)    点群データ
を基に、設計要素との交差部における干 渉確認(建築限界の把握)を行い、支障
だし用途
によって
移転の必要性を検討
は 500 以
道路の中心線を線形計算書より作成し、      地形サーフェス
上が必要
道路の幅員や法面勾配等を設定すること
で、道路計画のサーフェスを作成し、地
形サーフェスと合成し、BIM/CIM モデ
ルを作成

(橋梁分野)
第48条 橋梁分野では、橋梁下部で交差する道路や水路等が三次元地物で表現されていることが必要であり、次の三次元位置・形状が表現されていることを標準とする。
 一 予備設計、概略設計等で基点となる基準点位置の諸元と、その三次元位置

 二 ブレークラインで変化点を捉えている地形サーフェス
 三 三次元図化対象の地物は、交通施設(道路・道路施設)、建物、橋梁、鉄塔、送電線、地形サーフェス、等高線、水部等

【解説】

橋梁分野では、橋梁下部で交差する道路や水路等が三次元地物で表現されていることが 望ましい。橋梁分野におけるユースケース事例を示す。

表 8  橋梁分野におけるユースケース事例

  設計段階地図情報 レベル  ユースケース(利用事例)  利用地物
                    予備設計                    500 以上橋梁規模等により 0.1m、0.5m 等のラウン ド単位で、地覆外面の余裕を検討  点群データ
BIM/CIM モデルの作成に際し、三次元点 群データから地形横断面を作成し、設計に 活用  点群データ
UAV 測量した点群データそのものを統合  点群データ
モデル内に入れて、橋と周辺景観の見え方
の検討
地形サーフェスを周辺地形として    地形サーフェス
BIM/CIM モデル内に入れて、橋梁などの 構造物モデルと一緒に、関係機関協議(道
路、河川管理者等の協議)に活用
点群や地形サーフェスより横断を作成した り、地盤高の把握や、道路や側溝、周辺構 造物との離隔を把握に活用  点群データ 地形サーフェス
                  詳細設計                  500 以上橋梁設計において地形サーフェスを活用し 橋梁下部工設計(橋台位置検討、橋脚位置 検討)に活用  地形サーフェス
橋梁架橋位置状況把握のために点群データ を橋梁 BIM/CIM モデルに重ね合わせ、架 空線とのとり合いの検証に活用    点群データ
設計 3 次元モデルを確認する際の背景とし て点群データを活用  点群データ
電柱移設に際し電柱位置の確認、電柱高さ の計測に活用  点群データ、高塔
道路の上空を上部工架設に使用する移動作  点群データ、鉄
業車が通過するため、電線の高さを計測
し、電線と移動作業車の離隔を検証し、関塔、送電線
係者との協議用資料作成に活用

(河川分野)
第49条 河川分野では、堤防の横断面が把握できることが重要であり、次の三次元位置・形状が表現されていることを標準とする。
 一 予備設計、概略設計等で基点となる基準点位置の諸元と、その三次元位置
 二 ブレークラインで変化点を捉えている地形サーフェス
 三 三次元図化対象の地物は、交通施設(道路・道路施設)、建物(堰、樋管、水門等の構造物の概形を取得)、橋梁、鉄塔、送電線、地形サーフェス、等高線、水部、護岸被覆、人工斜面、土堤、被覆等

【解説】

河川分野では、設計対象となる範囲内の主要構造物や現況地形の状況が三次元地物で表現されていることが望ましい。河川分野におけるユースケース事例を表に示す。

表 9 河川分野におけるユースケース事例

設計段階地図情報
レベル
ユースケース(利用事例)利用地物
予備設計500~1000BIM/CIM モデルの作成に三次元点群データ
を活用。地表面高さや、地形横断、河川横断
を点群データよりいくつか作成し、設計に活
点群データ
UAV 測量した点群データそのものを統合モデ
ル内に入れて、周辺景観の見え方の検討
点群データ
BIM/CIM モデル内に地形サーフェスを周辺
地形として使用し、橋梁などの構造物モデル
と一緒に、関係機関協議(道路、河川管理者
等の協議)の資料作成に活用
地形サーフェス
点群や地形サーフェスより地形横断面を作成
し、地盤高の把握、道路や側溝、周辺構造物
との離隔を把握する検討に活用
点群データ
地形サーフェス
詳細設計500 以上地形サーフェスを現況地形とし、河川構造物
の設計に活用
地形サーフェス
設計3 次元モデルを確認する際の背景として
点群データを活用
点群データ

(三次元数値図化データの点検)
第50条 三次元数値図化データの点検は、第19条から前条までの工程で作成された三次元数値図化データをスクリーンモニターに表示させて、空中写真、現地調査資料、オリジナルデータ等を用いて行うものとする。
2 三次元数値図化データの点検は、図形編集装置又は必要に応じて地図情報レベルの相当縮尺の出力図を用い、次の項目について行うものとする。
 一 取得の漏れ及び過剰並びに平面位置及び標高の誤りの有無
 二 接合の良否
 三 標高点の位置、密度及び測定値の良否
 四 地形表現データの整合
3 三次元数値図化データの点検結果は、精度管理表にとりまとめるものとする。

第5章  三次元数値編集

(要旨)
第51条 本章において「三次元数値編集」とは、現地調査等の結果に基づき、図形編集装置を用いて数値図化データを編集し、編集済データを作成する作業をいう。
2 図形編集装置の構成は、準則の第113条の規定を準用する。

【解説】

三次元数値編集は、基本的に準則を準用するが、三次元数値地形図データの特性により第55条 出力図の作成、第56条 点検の工程については運用基準を別途定めるものとする。 また、三次元地物の編集を行う際は、附属資料2に示す要件に準拠したソフトウェアを利用することが必要である。

(数値図化データ及び現地調査データ等の入力)
第52条 三次元数値図化データ及び地形補備測量データは、図形編集装置に入力するものとする。
2 現地調査等において収集した図面等の資料は、デジタイザ又はスキャナを用いて数値化し、図形編集装置に入力するものとする。

(数値編集)
第53条 前条において入力されたデータは、図形編集装置を用いて、追加、削除、修正等の処理を行い、編集済データを作成するものとする。
2 等高線データは、スクリーンモニター又は地図情報レベルの相当縮尺の出力図を用いて点検を行い、矛盾箇所等の修正を行うものとする。

(接合)
第54条 接合は、作業単位ごとに行い、同一地物の座標を一致させるものとする。
2 地形、地物等のずれが、本マニュアルに定める製品仕様書の規定値以内の場合は、関係図形データを修正して接合するものとする。
3 地形、地物等のずれが、本マニュアルに定める製品仕様書の規定値を満たさない場合は、数値図化作業を再度実施するものとする。
4 基盤地図情報に該当する地物を含む場合は、準則第3編第9章第6節の規定を準用する。

(出力図の作成)
第55条 点検、現地補測等のために出力図を使用する場合は、自動製図機を用いて編集済データより作成するものとする。
2 自動製図機の性能は、準則第113条の規定を準用する。
3 出力図の縮尺は、原則として、地図情報レベルの相当縮尺とする。
4 出力図の図式は、附属資料1「三次元地理空間情報の取得基準」に基づくものとする。
ただし、二次元図面としての図式表現は、準則第108条に定める図式を参考とすることができる。

<第55条 運用基準> 三次元数値地形図データの場合は、高さ情報を出力図に表現することが難しいため、出力図の作成は任意とする。点検や現地補測で必要な場合は出力図を作成することもできる。

(点検)
第56条 点検は、編集済データ編集装置のモニター画面に三次元表示したデータにより行うものとする。
2 編集済データの論理的矛盾等の点検は、点検プログラム等により行うものとする。
3 数値編集の点検結果は、精度管理表にとりまとめるものとする。

<第56条 運用基準> 三次元数値地形図データにおいて出力図による点検は、三次元数値地形図データの高さ情報が出力図上で表示することが難しいため不要とし、出力図による点検に代わり、点検プ ログラムの使用と三次元表示の目視確認をすることにより精度(規程に定める許容範囲内) を確認することとする。

第6章  三次元補測編集

(要旨)

(三次元数値図化データの点検)
第50条 三次元数値図化データの点検は、第19条から前条までの工程で作成された三次元数値図化データをスクリーンモニターに表示させて、空中写真、現地調査資料、オリジナルデータ等を用いて行うものとする。
2 三次元数値図化データの点検は、図形編集装置又は必要に応じて地図情報レベルの相当縮尺の出力図を用い、次の項目について行うものとする。
 一 取得の漏れ及び過剰並びに平面位置及び標高の誤りの有無
 二 接合の良否
 三 標高点の位置、密度及び測定値の良否
 四 地形表現データの整合
3 三次元数値図化データの点検結果は、精度管理表にとりまとめるものとする。

【解説】

三次元補測編集とは、三次元数値図化で生じた判読困難な部分又は図化不能な部分を補備測量にて補備し、数値編集済データを編集する作業である。 現地補測については、例えば地上レーザスキャナ等を用いて、準則の規定を準用して三次元の座標を取得し、それを基に不足する部分を数値編集して追加するものとする。 三次元数値図化・補測編集した地物を図化ソフトウェア等で地物ごとに色分けした表示例を示す。個々の地物の形状は三次元の面と線で表現されている。

1.事例1

この例は国土地理院による「令和 2 年度「三次元地理空間情報の取得基準素案」に基づ くサンプルデータ取得業務」によるものである。つくば市にある国土地理院(本院)を その正門から北方向を望む方向で鳥瞰表示されており、照明灯等の三次元補測編集の結 果も含んでいる。

2.事例2

この例は国土地理院による「令和 3 年度「3次元測量マニュアル素案」に基づくデー タ取得実証業務」によるもので、郊外の国道の交差点付近を対象にしたものである。普 通建物の寄棟屋根などの屋根形状を複数の面で表現している。また、歩道橋について は、階段面を含む床板を面で、手すりについては線で表現している。

図 12  補測済み図化の事例1

図 13  補測済み図化の事例2

(方法)
第58条 補測編集において確認及び補備すべき事項は、次のとおりとする。
 一 編集作業において生じた疑問事項及び重要な表現事項
 二 編集困難な事項
 三 現地調査以降に生じた変化に関する事項
 四 境界及び注記
 五 各種表現対象物の表現の誤り及び脱落
2 現地補測は、判読又は数値図化が困難な地物等及び写真撮影後に変化が生じた地域について、基準点等又は編集済データ上で現地との対応が確実な点に基づき、第15条の規定により行うものとする。
3 現地補測の結果は、測定結果を電磁的記録媒体に記録するほか、注記、記号、属性等を編集済データ出力図に整理する。

(補測編集)
第59条 補測編集済データは、現地補測の結果に基づき、図形編集装置を用いて前節の規定により作成された編集済データに追加、修正等の編集処理を行い作成するものとする。
2 補測編集における編集処理は、第5章の規定によるものとする。

(出力図の作成)
第60条 出力図の作成は、第55条の規定を準用する。

(出力図の点検)
第61条 出力図の点検は、補測編集済データ及び前条の規定により作成した出力図を用い、第56条第1項に規定する事項について行うものとする。

第7章  数値地形図データファイルの作成

(要旨)
第62条 本章において「数値地形図データファイルの作成」とは、製品仕様書に従って三次元補測編集済データから数値地形図データファイルを作成し、電磁的記録媒体に記録する作業をいう。

(数値地形図データファイルの作成)

第63条 前条項までに作成した情報を「数値地形図データファイル」に保存する。

【解説】

三次元数値図化の成果は、三次元数値図化及び三次元数値編集に使用したソフトウェア のオリジナルファイル形式で保存するが、ここでオリジナルファイル形式から「数値地形図 データファイル」形式に変換して保存する。「数値地形図データファイル」は、準則の付録 7「公共測量標準図式」の数値地形図データファイル仕様で作成する。三次元地形及び三次 元地物が位置する標高の情報を記録するため、インデックスレコードの座標次元区分を「3」 とし、三次元座標レコードで記録する。

第45条によりサーフェス化を行った場合は、「数値地形図データファイル」では保存が できないため、第64条によるものとする。

(オリジナルファイルの保存)
第64条 三次元数値図化、三次元数値編集により作成した線や面で取得した地物に対し、第45条によりサーフェス化を行った場合は、三次元図化編集ソフトウェアのオリジナルファイル形式で保存する。

【解説】

三次元数値地形図データの線及び面に対し、サーフェス化するために寸法値(幅や径など)を用いた場合は、その構造を適切に維持するため、三次元数値図化や三次元数値 編集を実施した図化編集ソフトウェアのオリジナルファイル形式で保存する。

第8章  構造化

(要旨)
第65条 構造化とは、第35条により作成した地形データを不整三角網(TIN モデル)のデータに変換する作業をいう。なお、必要に応じて第36条に規定するブレークラインを追加できるものとする。

<第65条 運用基準>

構造化は、製品仕様書に不整三角網(TIN モデル)を作成することが規定されている場合 に実施する。

構造化を行う際は、附属資料2に示す要件に準拠したソフトウェアを利用することが必要 である。

(構造化の方法)
第66条 不整三角網(以下「TIN モデル」という。)への構造化は、第35条により作成した地形データから傾斜変換点(ブレークライン)、主要な構造物外形等の制約条件を付け、TIN モデルを作成することを標準とする。TIN モデルは、制約条件となる箇所を三角形の一辺や一点とし、三次元点群データの再現性が最も高いTIN 構造で作成することを標準とする。

【解説】

TIN モデルのデータ表現は図 14に示す不規則三角形網による。

TINモデルは三角形ポリゴンの集合であるサーフェス形状で表現する。

TINモデルは、各三角形の最小角が最大となる組み合わせであることを原則とし、さらに制約条件により三角形を分割する方法で作成することを標準とする。また、傾斜変換 等の制約条件と近傍の三次元点群データは、その精度が傾斜変換点等と接合できる範囲 まで除去するものとする。

※「三次元点群データを使用した断面図作成マニュアル(案)」から一部抜粋

(TIN モデルの最適化)
第67条 TIN モデルは、地形データが保持する精度を劣化させない範囲で、隣接する三角形を統合できるものとする。ただし、制約条件を外してはならない。

【解説】

TINモデルの利便性を図るため、精度の劣化しない範囲でデータを間引きすることを

「TINモデルの最適化」として規定した。 精度の劣化の判定は、最適化したTINモデルとそれに伴って排除された地形データとの高さ方向の差分が、三次元地形データの精度以内か否かにより行う。

※「三次元点群データを使用した断面図作成マニュアル(案)」から一部抜粋

(TIN モデルの保存)
第68条 TIN モデルのデータ交換ファイル形式はJ-LandXML 形式を利用する。
 2 J-LandXML 形式への出力は、図化編集に使用した図化機または図化システム等によるオリジナル形式データから変換することを基本とする。
 3 J-LandXML 形式のSurface 要素種別はExistingGround とする。

【解説】

附属資料1「三次元地理空間情報の取得基準」に示す通り、TIN モデルの J-LandXML 形 式への変換に際し、属性“Surface 要素種別”には現況地形を意味する「ExistingGround」 をセットする。

※LandXML1.2 に準じた 3 次元設計データ交換標準(案) Ver.1.4(略称:J-LandXML)の 表4「Surface 要素種別と対応日本語」に準拠。

なお、「BIM/CIM モデル等電子納品要領(案)及び同解説(令和 2 年 3 月)」の 3.ファ イル形式に記述のあるように、三次元図化に使用するソフトウェアのオリジナルファイル(例えば dwg 形式など)を含めて納品することが推奨されている。オリジナルファイル形 式については、本マニュアルの第10章において納品ファイルの一例として示す。

第9章  品質評価

(要旨)
第69条 「品質評価」とは、測量成果について、製品仕様書が規定するデータ品質を満足しているか評価する作業をいう。
 2 作業機関は、品質評価手順に基づき品質評価を実施するものとする。
 3 評価の結果、品質要求を満足していない項目が発見された場合は、必要な調整を行うものとする。

(数値地形図データファイルの品質評価)
第70条 数値地形図データファイルの品質評価は、製品仕様書の規程に従って実施するものとする。

<第70条 運用基準>

製品仕様書が規定するデータ品質を満足しているかの評価は、下記の品質要求に準拠し

て実施する。

【解説】

位置正確度に関する品質評価は、準則第106条(数値地形図データの精度)を準用し、表 10に示す品質要求を満たすことを確認する。

表 10  位置正確度の要求事項

品質要求水平位置の誤差の標準偏差が適合品質水準以内である
       データ品質要素       位置正確度-絶対位置正確度
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
  データ品質評価尺度データ集合内の位置の座標と,より正確度の高い参照データである点
検測量成果の座標との誤差の標準偏差を計算する(誤差の母平均は,
0     とする)。但し,遮蔽部分(不可視のデータ)は検査対象としない。
■水平位置の誤差の標準偏差
 
xi:データ集合内の検査対象のデータの位置の X 座標[メートル]
y:データ集合内の検査対象のデータの位置の Y 座標[メートル]
Xi:より正確度の高いデータの位置の X 座標[メートル]
Yi:より正確度の高いデータの位置の Y 座標[メートル]
n:サンプル数
データ品質評価手法抜取検査を実施する。
1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。
2.検査単位の各メッシュに含まれるデータ(地物インスタンス) を表示又は出力する。
3.全てのメッシュの中から明瞭な地物を21点以上抽出する。 4.抽出した地物の点について,データセット上の位置座標を測定する。
5.抽出した地物の点に対応する現地(又は現地とみなす資料)の点検測量成果を取得する。
6.4.5.より,誤差の標準偏差を計算する。
適合品質水準算出した水平位置の標準偏差が次の適合品質水準値以内であれば
“合格,その値を超えれば不合格
適合品質水準値(作業規程の準則第106条による)
地図情報レベル500 = 0.25m
地図情報レベル1000 = 0.7m
品質要求標高値の誤差の標準偏差が適合品質水準以内である
データ品質要素位置正確度-絶対位置正確度
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度データ集合内の標高と,現地にて再度測定した標高との誤差の標準 偏差を計算する(誤差の母平均は,0とする)。なお,現地にて同一 箇所を再測定する地点は,真値又は真値の近傍とする。
■標高の誤差の標準偏差
  
hi:データ集合内の検査対象のデータの標高値[メートル]
Hi:現地にて再度測定した標高値[メートル]
n:サンプル数
データ品質評価手法抜取検査を実施する。
1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。
2.検査単位の各メッシュに含まれるデータ(地物インスタンス)を表示又は出力する。
3.検査単位の各メッシュに含まれる全ての標石を有しない標高点を抽出する。
4.抽出した点について,データセット上のインスタンスの標高値主題属性の値を取得する。
5.抽出した点について,同一平面座標での標高値を現地実測にて再度取得する。
6.4.5.より,メッシュ毎に誤差の標準偏差を計算する。
適合品質水準全てのメッシュ別に,標高の標準偏差が次の適合品質水準値以内であ
れば“合格,その値を超えれば不合格
適合品質水準値(作業規程の準則第 106 条による)
地図情報レベル 500 = 0.25m
地図情報レベル 1000 = 0.33m

三次元図化の精度検証については、抜き取り検査の結果を検証点配置が分かるように附 属資料3に示す精度管理表の様式で記録する。図 15にその作成イメージを示す。

補備測量の計測データ(取得する点群データを含む)についても同様の精度検証を行うこ とが望ましい。

建物の高さについて、表 10に示した標高値の検証点と同様に、建物の上部に検証点を 配置することができれば精度検証を行うことが可能であるが、公共の建物等以外でこれを 行うことは困難であり、本マニュアルでは建物高の精度については規定していない。

しかしながら、公共物等を利用した建物高の精度検証は、条件が整えば不可能ではないこ とから、検証点の配置について対象地域の特性や利用用途を考慮した上で計画機関と協議 して実施するかどうかを決定する。

位置正確度以外の品質要求について表 11に示す。

表 11  位置正確度以外の品質要求事項

品質要求参照データ(行政区域の元資料,座標成果)とインスタンス数が等し い
データ品質要素完全性-過剰・漏れ
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度データセットのインスタンス数と参照データのインスタンス数の差。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。
1.参照データ(行政区画の元資料,座標成果)に含まれるデータ数 をクラス毎に数える。
2.データセットのインスタンス数をクラス毎に数える。
3.1.と2.の結果より,クラス毎に差を計算し,その絶対値の和 をエラー数とする。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が0 なら合格,1 以上なら不合格
  品質要求参照データ(空中写真,現地調査資料,既成図原図等の元資料)と比 較して過剰・漏れがない
データ品質要素完全性-過剰・漏れ
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
  データ品質評価尺度参照データ(空中写真,現地調査資料等の元資料)に存在しないのに データセットに存在する過剰取得及び漏れデータの有無を評価する。
    データ品質評価手法目視検査を実施する。 参照データ(空中写真,現地調査資料等)とデータセットのインスタ ンスを目視で比較して,対応がとれない地物インスタンスがあった場 合,その数を数えてエラー数とする。
  適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格
品質要求本来作成すべき規則と比較して過剰・漏れがない
データ品質要素完全性-過剰・漏れ
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」のうち分類:等高線
データ品質評価尺度・計曲線と計曲線の間に 5 本以上の主曲線が存在する場合,主曲線の
過剰なデータとして,その本数(4     本を越えた本数)を数える。
・主曲線と主曲線の間に 2 本以上の補助曲線が存在する場合,補助曲
線の過剰なデータとして,その本数(1     本を越えた本数)を数える。 ・標高差±5m     の等高線の間に,計曲線が存在していない場合。
・計曲線と計曲線の間に 3 本以下の主曲線しか存在しない場合,主曲
線データの漏れとして,その本数を数える(例えば 3 本であればエラ
ーは 1 つ,2 本であればエラーは 2 つとなる)。
データ品質評価手法抜取・目視検査を実施する。
1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。
2.検査単位の各メッシュを 10×10 のサブメッシュに分割する。
3.検査単位の範囲について,データセットより対象クラスの全イン
スタンスを出力する。
4.検査単位毎に全サブメッシュについて,参照データ(空中写真,
現地調査資料,既成図原図等の元資料)と3.とを目視で比較して,
どちらかと対応がとれない地物インスタンスがあった場合,そのサブ
メッシュをエラーとして,エラーサブメッシュ数を数える。
5.4.の結果より,検査単位毎に誤率を算出する。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいた検査単位の誤率が   10%以下なら合格, 10%を超える検査単位が1つでもあれば不合格
品質要求同一クラス内に空間属性と時間属性が同一のインスタンスがない
データ品質要素完全性-過剰
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度同一地物クラスにおいて空間属性及び時間属性が他のインスタンス
と全く同一であるようなインスタンスはエラーである。
インスタンス A とインスタンス B の空間属性及び時間属性が同一の
場合,エラー数 1 と数える。さらにインスタンス C もこれと同一であ
ればエラー数 2 となる。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。
検査プログラムによって,データセットの地物クラスごとに空間属性
及び時間属性が全く同一のインスタンス数をエラー数として数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格
品質要求作成時の問題に起因する微小線分を含まない
データ品質要素完全性-過剰
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」のうち線形状の項目
  データ品質評価尺度参照データ(空中写真,現地調査資料等の元資料)に存在しないのに データセットに存在する微少な形状のデータの有無を評価する。
    データ品質評価手法論理検査を実施する。 データセットのインスタンスについて,自動検査プログラムにて閾値 として設定した延長以下のインスタンスが存在する場合,その数を数 えてエラー数とする。
  適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格
品質要求作成時の問題に起因する微小ポリゴンを含まない
データ品質要素完全性-過剰
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」のうち面形状の項目
データ品質評価尺度参照データ(空中写真,現地調査資料等の元資料)に存在しないのに データセットに存在する微少な形状のデータの有無を評価する。
データ品質評価手法論理検査を実施する。 データセットのインスタンスについて,自動検査プログラムにて閾値 として設定した体積以下のインスタンスが存在する場合,その数を数 えてエラー数とする。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格
品質要求図化機測定標高点データが基準の密度以上で取得されている
データ品質要素完全性-漏れ
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」のうち分類コード
7311:標石を有しない標高点データ,および,コード   7312:図化機測
定による標高点データのみ
データ品質評価尺度検査単位のメッシュごとに,分類コード=7311,7312     インスタンス間
の間隔を検査する。
海や河川・湖池等の水部は対象としない。
水田など水平面では面1枚当たり1点以上存在することを検査し,そ
れに該当しない場所を数えエラー数に加える。
その他の地域では建築物部分や住宅周辺の庭先部分は除いて次の間
隔基準値程度の間隔ごとにインスタンスが存在することをチェック
して,それに該当しない場所を数え,エラー数に加える。
間隔基準値:
地図情報レベル 500 = 約 20m(1/500 図上約 4cm)
地図情報レベル 1000 = 約 40m(1/1000 図上約 4cm)
データ品質評価手法抜取・目視検査を実施する。
1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。 2.検査単位の各メッシュについて,コードが 7311,7312 のインス
タンスについて上記のエラー数を求める。
  適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,それ以 外は不合格
  品質要求配布形式(データフォーマット)が,規定された形式に適合している か
データ品質要素論理一貫性-書式一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度規定された配布形式(データフォーマット)に適合していない箇所 を数える。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。 1.検査プログラム等によってデータセットの書式(フォーマット) が,正しい書式になっていない箇所を数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格 この品質要求を達成していないデータセットは完成品ではない。
品質要求応用スキーマの定義域の範囲である
データ品質要素論理一貫性-定義域一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
  データ品質評価尺度データセットで,応用スキーマで定義された値の範囲内になっていな い箇所数
    データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。 検査プログラム(XML パーサなど)によって地物インスタンスの属 性値が,応用スキーマに規定される定義域の範囲に含まれていない箇 所数を数える。
  適合品質水準応用スキーマに規定される定義域の範囲に含まれていない箇所数が   0 なら合格,1 以上なら不合格。 この品質要求を達成していないデータセットは完成品ではない。
品質要求三次元座標情報を持つデータセットとされているか
データ品質要素論理一貫性-概念一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度データセットで,実データ区分が三次元座標レコードを示す値になっ ているか確認し,正しくない箇所数を数える
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。 検査プログラムによって数値地形図データを構成するインスタンス の実データ区分が三次元座標レコードを示す値になっていない箇所 数を数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格
品質要求(単一インスタンス)線または面形状地物インスタンスの空間属性で
同一座標の頂点が連続せず,かつ,線形状地物インスタンスは 2 点以
上,面形状地物インスタンスは 3 点以上で構成される
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」のうち線及び面形状の項目
データ品質評価尺度同一座標または頂点間の距離が近接閾値(0.01m)未満の頂点が連続
する,または線形状地物インスタンスで構成点が 2 点未満,面形状地
物インスタンスで構成点が 3 点未満のインスタンスをエラーとする。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。
1.検査プログラムにより,対象クラスの地物インスタンスごとに,
エラー数を数える。
  適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,それ以 外は不合格
品質要求(単一インスタンス)線または面形状地物インスタンスの空間属性に ねじれまたは始終点以外の自己接触が存在しない
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」のうち面形状の項目
データ品質評価尺度単一インスタンスの空間属性にねじれまたは始終点以外の自己接触 が存在する場合エラーとする。 但し,始終点の座標が一致している場合はねじれとしない
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。 1.検査プログラムにより,対象クラスの各地物インスタンスごとに, ねじれ(自己交差)が存在するインスタンス数を数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,それ以 外は不合格
品質要求(単一インスタンス)輪を構成する線形状地物インスタンスの始終点 が同一座標である
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」のうち線形状の項目
データ品質評価尺度始終点の距離が近接閾値(0.01m)以内にありながら,同一座標とな っていないインスタンスをエラーとする
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。 1.検査プログラムにより,対象クラスの全インスタンスに対して, インスタンスごとに, 始点と終点の距離 d を算出して, 距離が 0<d<0.01m   のインスタンス数を数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,それ以 外は不合格
品質要求(単一インスタンス)面形状地物インスタンスの座標列の向きが妥当 である
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」のうち面形状の項目
データ品質評価尺度座標列の向きが不正なインスタンスをエラーとする。ここで,向きは 外周が反時計回り,穴は時計回りが正しい。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。 1.検査プログラムにより,対象クラスの各地物インスタンスごとに, 座標列の向きが不正なインスタンスの数を数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,それ以 外は不合格
品質要求(単一インスタンス)座標列の向きが規定されている線インスタンス の向きが妥当である
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」のうち線形状の項目
データ品質評価尺度座標列の向きが不正なインスタンスをエラーとする。
ここで,座標列の向きは,「作業規定の準則 付録7 公共測量標準図式
数値地形図データ取得分類基準表」の規定に従うこと。
エラーが1つ以上存在するサブメッシュをエラーサブメッシュとす
る。誤率(%)=エラーサブメッシュ数/100×100
データ品質評価手法抜取・目視検査を実施する。
1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。
2.検査単位を 10×10 のサブメッシュに分割する。 3.検査単位内の該当クラスのインスタンスから,座標列の向きが定
義されている取得分類コード及び図形区分に該当するインスタンス
を座標列の向きが分かるように出力する。
 4.全サブメッシュについて,出力図を参考データと見比べて座標列 の向きを確認し,向きが不正なインスタンスが含まれるエラーサブメ ッシュの数を数える。 5.4.の結果より,検査単位毎に誤率を算出する。
  適合品質水準データ品質評価手法に基づいた検査単位の誤率が   10%以下なら合格, 10%を超える検査単位が1つでもあれば不合格
品質要求(同一クラス)インスタンスの交錯の良否
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度応用スキーマで定義され,地形状況より隣接していると考えられる同 一クラスの線及び面及び線形状地物インスタンスペアに三次元的な 隙間がある場合をエラーとする。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。 1.同一クラスの全てのインスタンスのペアに対して応用スキーマで 定義された位相関係を満たさないペアの数を数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格
品質要求同一平面上に存在すべき地物の整合がとれているか
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度応用スキーマで定義された同一平面上に存在すべきデータセットの インスタンスについて,幾何的に正しい平面からの差異があるものを 評価する。
データ品質評価手法論理検査を実施する。 データセットのインスタンスについて,自動検査プログラムにて評価 し,その数を数えてエラー数とする。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,それ以 外は不合格
品質要求(クラス間)標高点と等高線との関係に論理的な矛盾がない。(自動検 査)
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲基準点と等高線のクラス間のインスタンスの関係
ただし,ここに記述した自動検査が実行できない場合は,目視による
品質評価を実施する。
データ品質評価尺度全ての基準点インスタンスの標高値は,その周囲にある等高線インス
タンスの標高値とは矛盾なく存在する。周囲の等高線インスタンスと
標高値が論理的に矛盾する基準点インスタンスをエラーとする。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。
自動検査の方法は,次のいずれかを採用する。
自動検査方法1
1.すべての等高線インスタンスから,折れ点を構成する個々の点を
抽出して,それらを基に TIN を生成する。その時,各等高線インスタ
ンスの線形状をブレークラインとして設定する。
2.個々の基準点インスタンスについて,その位置における TIN 三角
形との標高値の整合をチェックし,矛盾があればその基準点インスタ
ンスをエラーとする。
3.すべての基準点インスタンスに対して検査を実施し,エラー数を 数える。
自動検査方法2
1.標高値が同じ等高線インスタンスを用いて等高ポリゴンを作成す
る。このとき作業範囲の境界に達した等高線は,作業範囲の境界線を
用いてポリゴンを閉じる。
2.個々の基準点インスタンスについて,その位置における等高ポリ
ゴンとの標高値の整合をチェックし,矛盾があればその基準点インス
タンスをエラーとする。
3.すべての基準点インスタンスに対して検査を実施し,エラー数を
数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,それ以 外は不合格
品質要求(クラス間)標高点と等高線との関係に論理的な矛盾がない。(目視検 査)
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲基準点と等高線のクラス間のインスタンスの関係であって,自動検査 が実行できない場合
データ品質評価尺度全ての基準点インスタンスの標高値は,その周囲にある等高線インス
タンスの標高値とは矛盾なく存在する。周囲の等高線インスタンスと
標高値が論理的に矛盾する基準点インスタンスをエラーとする。
データ品質評価手法抜取・目視検査を実施する。
1.抜取検査手法に従い検査単位を抽出する。
2.検査単位の各メッシュに含まれるデータ(地物インスタンス)を
表示又は出力する。
3.全てのメッシュの中で,全ての基準点インスタンスを抽出しその
標高値表記を調べる。
4.抽出した各基準点インスタンスの周囲にある DM_等高線インス
タンスを目視により抽出しその標高値表記を調べる。
5.3.4.より,基準点インスタンスの標高値表記が周囲にある等
高線インスタンスの標高値表記と矛盾しないことを目視検査し,エラ
ー数を数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,それ以 外は不合格
品質要求           座標成果と等しい座標を持つ
データ品質要素位置正確度-絶対位置正確度
データ品質適用範囲基準点 ただし,標石を有しない標高点(分類コード:7311)および図化機測 定による標高点(分類コード:7312)を除く
データ品質評価尺度座標成果と平面座標が異なるインスタンスをエラーとする。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。 1.データセット内のデータの平面座標と,座標成果の平面座標を比 較して,値が異なるインスタンスをエラーとする。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格
品質要求存在時間_自,存在時間_至が参考データから得られる時間範囲属性値 と一致する
データ品質要素時間正確度-時間測定正確度/時間一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度(新規作成の場合)
インスタンスに設定された存在期間_自が,現地調査または空中写真
撮影の実施された年月でなければならない。
インスタンスに存在期間_至が設定されている場合,値は”now”でな
ければならない。
インスタンスに設定された存在期間_自の値が出現地調査または空中
写真撮影の実施された年月と異なる場合,または設定されていない場
合,存在期間_至の値が”now”でない場合,エラーとする。 (修正の場合)
修正時に追加されたインスタンスの存在期間_自が,現地調査または
空中写真撮影の実施された年月でなければならない。
インスタンスに存在期間_至が設定されている場合,値は”now”でな
ければならない。
インスタンスに設定された存在期間_自の値が出現地調査または空中
写真撮影の実施された年月より新しい場合,または設定されていない
場合,存在期間_至の値が”now”でない場合,エラーとする。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。
1.データセット内のデータの平面座標と,座標成果の平面座標を比
較して,値が異なるインスタンスをエラーとする。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格
品質要求分類コードが正しく設定されているか
データ品質要素主題正確度-分類の正しさ
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度インスタンスに設定された主題属性のうち,分類コードが正しく設定 されていないインスタンスをエラーとする。
データ品質評価手法目視による検査を実施する。 検査単位毎に参照データと出力したインスタンスを目視で比較して 分類コードの値が妥当か確認する。
合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格

(サーフェス化を行った地物の幾何検査)
第71条 サーフェス化を行った地物の幾何検査は、製品仕様書の規定に従って実施するものとする。

<第71条 運用基準>

製品仕様書の従ってサーフェス化を行った場合の幾何検査は、製品仕様書に規定された品質評価を実施する。品質評価の内容は下記を標準とする。

【解説】

サーフェス化を行わない場合は、これらの検査は不要である。三次元形状を構成する図形の幾何検査については、重複検査の他に、微小ポリゴン検査、同一面検査などを実施するこ とが想定される。表 12に準拠した標準的な品質評価基準を示す。

表 12  サーフェス化を行った地物の品質評価

品質要求参照データ(空中写真,現地調査資料,既成図原図等の元資料)と比 較して過剰・漏れがない
データ品質要素完全性-過剰・漏れ
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度参照データ(空中写真,現地調査資料等の元資料)に存在しないのに データセットに存在する過剰取得及び漏れデータの有無を評価する。
データ品質評価手法目視検査を実施する。 参照データ(空中写真,現地調査資料等)とデータセットのインスタ ンスを目視で比較して,対応がとれない地物インスタンスがあった場 合,その数を数えてエラー数とする。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格
品質要求同一クラス内に空間属性と時間属性が同一のインスタンスがない(重 複検査)
データ品質要素完全性・過剰
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目のうち,サーフェス化を 行った地物
データ品質評価尺度同一地物クラスにおいて空間属性及び時間属性が他のインスタンス と全く同一であるようなインスタンスはエラーである。 インスタンス A とインスタンス B の空間属性及び時間属性が同一 の場合,エラー数 1 と数える。さらにインスタンス C もこれと同一 であればエラー数 2 となる。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。 検査プログラムによって,データセットの地物クラスごとに空間属性 及び時間属性が全く同一のインスタンス数をエラー数として数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以 上なら不合格
品質要求微小な要素が存在していないか
データ品質要素完全性-過剰
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目のうち,サーフェス化を 行った地物
  データ品質評価尺度参照データ(空中写真,現地調査資料等の元資料)に存在しないのに データセットに存在する微小な形状のデータの有無を評価する。
データ品質評価手法論理検査を実施する。 データセットのインスタンスについて,自動検査プログラムにて閾値 として設定した体積以下のインスタンスが存在する場合,その数を数 えてエラー数とする。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以 上なら不合格
品質要求配布形式(データフォーマット)が,規定された形式に適合している か
データ品質要素論理一貫性-書式一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の全項目
データ品質評価尺度規定された配布形式(データフォーマット)に適合していない箇所 を数える。
データ品質評価手法全数・自動検査を実施する。 1.検査プログラム等によってデータセットの書式(フォーマット) が,正しい書式になっていない箇所を数える。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以上 なら不合格 この品質要求を達成していないデータセットは完成品ではない。
品質要求同一平面上に存在すべき地物の整合がとれているか
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の項目のうち,サーフェス化を行 った地物
データ品質評価尺度同一平面上に存在すべきデータセットのインスタンスについて,幾何 的に正しい平面からの狂いがあるものを評価する。
データ品質評価手法論理検査を実施する。 データセットのインスタンスについて,自動検査プログラムにて評価 し,その数を数えてエラー数とする。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以 上なら不合格
品質要求インスタンスの交錯の良否
データ品質要素論理一貫性-位相一貫性
データ品質適用範囲「三次元地理空間情報の取得基準」の項目のうち,サーフェス化を行 った地物
データ品質評価尺度地物であるクラスのインスタンスについて、参照データ(空中写真, 点群データ、現地調査資料等の元資料)では交差しない他の地物のイ ンスタンスとの関係性について評価する。
データ品質評価手法論理検査を実施する。 データセットのインスタンスについて,自動検査プログラムにて評価 し,その数を数えてエラー数とする。
適合品質水準データ品質評価手法に基づいて数えたエラー数が 0 なら合格,1 以 上なら不合格

グラウンドデータとサーフェス化した地物との交差において、サーフェス化した地物を 分断しなければならない、といった品質要求は規定しない。サーフェス化した地物が地形に 埋め込まれることを許容するものとする。

出典 OGC City Geography Markup Language (CityGML) Part 1: Conceptual Model Standard: figure10

空間整合検査(空間に浮いていないかどうか)についても設計・施工の分野では厳密に確 認しないため、品質要求の対象外とした。

第10章  成果等の整理

(メタデータの作成)
第72条 数値地形図データファイルのメタデータの作成は、準則第45条の規定を準
用する。

(成果等)
第73条 成果等は、次の各号のとおりとする。
  一 三次元数値地形図データファイル
  二 地形サーフェスデータファイル
  三 オリジナルデータファイル(三次元CADデータ及び点群データ)
  四 精度管理表
  五 品質評価表
  六 メタデータ
  七 その他の資料

<第73条 運用基準>

計画機関との協議により「オリジナルデータファイル」は省略することができる。

【解説】

三次元図化の成果品として次の表に示すものを電子納品する。これによりがたい場合は計画機関との協議によるものとする。

表 13  納品ファイル形式

納品ファイル        種別                ファイル形式
三次元数値地形図データファイル数値地形図データファイル形式
地形サーフェスデータファイルJ-LandXML 形式
オリジナルデータフ ァイル三次元 CAD データdwg, rvt 形式(一例)
点群データlas, dat 形式(一例)

三次元数値地形図データファイルは、準則の付録 7「公共測量標準図式」の数値地形図デ ータファイル仕様における数値地形図データファイルに保存する。地形サーフェスデータ ファイルは、J-LandXML に保存する。

オリジナルファイルに関しては、「BIM/CIM モデル等電子納品要領(案)及び同解説(令 和 2 年 3 月)」の 2.フォルダ構成の記述のとおり、ルート直下に置く「ICON」フォルダの 下に置いた「CIM」フォルダに配置する。また、「BIM/CIM モデル等電子納品要領(案) 及び同解説(令和 2 年 3 月)」の 3.ファイル形式に記述のあるように、3D 図化に使用する ソフトウェアのオリジナルファイル(例えば dwg 形式など)を含めて納品することが推奨 されている。

第3編  資料

・附属資料1  三次元地理空間情報の取得基準

・附属資料2  三次元数値地形図データ作成のためのソフトウェア要件

・附属資料3  精度管理表の様式

附属資料1  三次元地理空間情報の取得基準

1. 目的

三次元地理空間情報の取得基準(以下「本基準」という。)は、測量業務の後工程で ある設計業務等での利活用に資する、三次元数値地形図データとしての数値地図(以下

「三次元数値地形図データ」という。)を作成する際の取得基準を示すことを目的とする。

2. 適用範囲

本基準は、以下の要件を満たす三次元数値地形図データを作成する測量業務に適用す る。

     設計業務において利活用可能な三次元数値地形図データ

     フロントローディングの考え方に基づき全体を最適化するにあたり必要最小限の 取得対象

3. 取得基準総則

三次元数値地形図データは次表に従って取得するものとする。ただし、ここに含まれ ない地物や詳細形状を計画機関との協議により取得しても構わない。次表の各項目につ いては次の通り扱うものとする。

・次表「コード」列は項目を表す分類コードで、数値地形図データファイルに出力する 際に地図分類コードとして記録する。

・次表「図形区分」列は地物の取得すべき部位を表す。

・次表「データ」列に示されるデータタイプで三次元座標を取得する。面で取得する場 合は、各頂点は反時計回りで取得する。

・次表「図式」列に記載のある地物については、始終点座標一致で外周を取得した面

(強調表示部)から、立体的な図形を作成することも可とし、三次元属性タイプが規 定されているものはその方法で導出するものとする。

・次表「三次元属性タイプ」列は取得地物のサーフェス化に必要な三次元属性値の例を 示す。

・次表「端点一致」列に○の記載があるものは、連続線分同士の端点を一致させる必要 があることを示す。

4. 除外する内容

次に示す地物属性及び地物(=モデル)の表現については本基準では扱わない。

・地物取得において、カメラ撮影して得られるラスタ画像を三次元数値図化要素の 面に貼り付けるテクスチャマッピングや、色情報を三次元地物に付与する手順等 について

附属資料1  三次元地理空間情報の取得基準 PDFダウンロード

三次元地理空間の取得基準(1 / 4 )

三次元地理空間の取得基準(2 / 4 )

三次元地理空間の取得基準(3 / 4 )

三次元地理空間の取得基準(4 / 4 )

附属資料2  三次元数値地形図データ作成のためのソフトウェア要件

1.  目的

「三次元数値地形図データ作成のためのソフトウェア要件(以下「本ソフトウェア要 件」という。)」は、「三次元地理空間情報の取得基準」(以下「取得基準」という。)に基 づいて取得されるデータを図化・編集・データエクスポートする機能を備えた標準的なソ フトウェアの要件を示すことを目的とする。

2.  適用

本ソフトウェア要件への準拠を宣言する場合には、3.要件において、【必須】とあるもの はソフトウェアに必ず実装し、【選択必須】は記載事項のうちのいずれかの機能を必ず実 装すること。また、【推奨】はソフトウェアへの実装は任意であるが推奨されるものとし て示した。

また、【必須】項目の一部を実装し、一部を実装しない場合は、必須項目のうち実装し ている項目又は実装していない項目を示すことで、本要件への一部準拠を宣言できる。

3.  要件

(1)【必須】抽象化に必要なデータモデル(図形区分)

本ソフトウェア要件にて取り扱う図形区分について、地形や構造物の抽象化に必要なデータモデルは以下のとおりとする。

 ・点・線・面は、三次元情報を持つデータである。

  ・サーフェスは、TIN(Triangulated Irregular Network)を表現する最小限の要 素(点、線、面の要素)で地形を表現するデータモデルである。

  ・点群は、レーザ計測や写真測量により取得したデータであり、多点で地物や地形 の三次元形状を表現できるデータモデルである。

  表 1 に示すデータモデルで取得対象を表現できるようにする。

表 1    主な図形区分

地物データモデル取得対象
地形基準点、標高点等
縁線、被覆(上端線・下端線・直被)、境界線・界線、等高線、ブ レークライン等
 外線等
サーフェス地形を表す点・線・面のデータから生成する地形データ
点群立体構造等
構造物距離標や基準点等
緑線等
外線等
点群地上設置物、立体構造等
(2)【必須】主な機能要件

三次元ベクターデータを図化・編集・エクスポートするソフトウェアの主な機能は、下表のように基本機能、応用機能、管理機能にわけ、それらすべてを組み込むこと。

表 2    主な機能

【必須】主な機能
基本機能CAD エンジン
図化・編集機能
応用機能サーフェス作成機能
点群処理機能
管理機能基準点管理
エクスポート機能

CAD エンジンとは、CAD データを作成するための機能をいう。 図化・編集機能とは、空中写真等の立体観測により地形・地物の座標値を取得し、必要に応じて補測等による地理空間情報等のデータをインポートし、任意の情報を入力するこ とで、三次元地理空間情報を作成及び修正する機能をいう。

サーフェス作成機能とは、点・線・面のデータから TIN で構成させるサーフェスを自動 で生成する機能をいう。

点群図化機能とは、大量かつ広範囲の点群データから地物や地形の三次元形状を表現で きるデータモデルを図化・編集する機能をいう。

【注意】ハードウェアの要件
大規模・大容量の点群利用時は、利用するPC のハードウェア要件についても注意する必要がある。具体的には、グラフィックボードは拡張ボードになっている高性能なものを選択し、PC のメインメモリは32GB(最低でも16GB)の搭載を推奨する。なお、高性能なPC でも処理能力の上限を超えるとレスポンスが極端に低下する。そのため適切な分割処理を点群データに施した上で必要なものを選択し読み込みさせることを基本
とすること。

基準点管理とは、測量で取得・管理される基準点情報、工事基準点などコントロールポ イントとなる情報を管理及びその基準点情報をもとに事業段階の異なるデータを重畳する ための機能をいう。

エクスポート機能とは、作成及び修正が完了した地理空間情報を電子ファイルとして符 号化する機能をいう。

3.1  図化・編集機能

下表に、図化・編集に必要な機能を示す。【必須】

表 3     図化・編集に必要な機能

区分機能概要実装機能詳細
基本点・線・面 の取得【必須】同一箇所を撮影した複数の写真を使用し、立体視により 二つのデータから同一位置の地図情報を点・線・面とし て図化する機能
【推奨】CAD の基本機能で描画した円や円弧、スプライン等の 曲線表現の CAD データを折れ線で補間する機能
同一標高の 面の取得・ 編集【必須】入力済みの等高線や標高点を利用して、同一標高と想定 される地物を面データとして自動生成する機能
同一標高の面データの標高値や形状を手動で入力・編集 できる機能
隣接する面データを手動で編集・整合できる機能。
建物の屋根 等の入力支 援3 点指定により作業平面を設定し、4 点目以降の座標を 同一作業平面に拘束する機能
点群点群による 図化【必須】複合表示による方法:コンピュータ内に三次元空間を設 け、複数の画面に異なる投影で三次元点群と写真を重畳 し、構造物や地形情報を数値化する機能
正射表示による方法:正射変換した写真や正射表示した 点群あるいはレーザ反射強度点群を用いて構造物や地形 情報を数値化する機能。(標高データは正射表示した点 群の高さ情報を取得)
地形地形変化個 所の取得【必須】ブレークライン(地形の変化個所、河川であれば堤防法 肩・法尻等)を他の実測データ等と峻別して図化・編集 する機能。
地形変化点を観測しやすく するために、上空からの表 示、自由視点表示、断面表 示の複数画面が連動して表 示(複合表示)できる機能
入力済み図形との位置関係を表示し、スナップなど編 集・整合ができる機能。
土地利用に 関する区域 入力植生(針葉樹・広葉樹)域などを面データとして手動判 読し入力することを可能とする表示機能
土地利用の区分情報を属性情報として入力できる機能
サーフェス 自動編集地形を表す点・線・面のデータから TIN で構成させる サーフェスを自動で生成する機能
縁線、等高線、標高点、ブレークラインを手動で編集 し、リアルタイムにサーフェスに反映できる機能
構造物建物の外形 取得【必須】建物の外形を箱形状のサーフェスとして作成する機能
箱形状のサーフェスに対し、屋根形状を線として取得 し、サーフェス形状を編集することで切妻屋根を表現で きる機能
【推奨】建物のサーフェスに対し、窓等の形状を線で取得し、建 物の詳細な形状を表現できる機能
サーフェス の編集【必須】生成されたサーフェスを編集する機能
整合編集地形と構造 物の整合編 集地形と構造物の接合を確認し、点・線・面・サーフェス等で取得 した図形に対し、以下の編集ができること。
【必須】隣接した面の頂点編集した際、重複した 2 つの頂点を同 時に編集できる機能。
交点の抽出・生成、要素の分断、高さの比例計算等、地 形によって構造物を計算・操作する機能。
オーバーシュート、アンダーシュートしている図形をあ る程度の許容範囲で一致しているとみなす機能。
不整合・未接続部分を自動抽出・修正させる機能。
応用機能点群の分類【必須】地盤と地盤以外(標識、鉄塔、アンテナ、高圧電線な ど)の点群を自動で分ける機能
手動で領域を指定し、その領域にある点群を抽出する機 能
点群による 図化編集支 援【推奨】点群からエッジ抽出・強調表示
特徴抽出
オブジェクト配置
トレース機能
3.2  データインポート・エクスポート機能

下表に、三次元データを扱う際に必要なインポート機能とエクスポート機能を示す。

表 4          データインポート・エクスポート機能

区分機能概要実装機能詳細
インポ
ート
二次元図面デ
ータの配置
【必須】縦横断図等の二次元図面を読み込み、三次元空間上
に配置する機能
※LandXML1.2 に準じた3次元データ交換ソフトウェア確認要件
(案)にある作成機能・目視確認支援機能を踏まえた機能
補測データの
読み込み機能
トータルステーションなど地上測量で取得された成
果(CSV、SIMA、CAD 形式)の読み込み機能
三次元データ
をインポート
する機能
拡張DM、J-LandXML 等の標準的なファイル形式
を直接インポート又はインポートできる形式に変換
する機能
メタデータを
インポートす
る機能
JPGIS 準拠のメタデータ、電子納品要領に従った管
理ファイル等をインポートし、編集できる機能
エクス
ポート
基準点のエク
スポート
【必須】 三次元データの重ね合わせの基準として利用できる
基準点のエクスポート機能
工事用基準点と公共座標(測地座標)の関連付け、
基準点等級等の属性情報を用いて位置精度管理がで
きる情報を合わせてエクスポートできること
地形データの
エクスポート
地形を構成する点・線・面データをエクスポートする機能
   サーフェスなどの三次元地形データを拡張 DM, J- LandXML にエクスポートする機能
地物(構造 物)データの エクスポート構造物を構成する点・線・面データをエクスポート する機能
建物や構造物のソリッドをエクスポートする機能
【推奨】3D PDF によるエクスポート機能(アドオン設定で 可)
メタデータエ クスポート【必須】JPGIS 準拠のメタデータ、電子納品要領に従った 管理ファイル等をエクスポートできる機能
3.3  その他の機能

その他の機能として、下表に BIM/CIM データ活用の利便性を踏まえた管理機能を示す。

表 5    その他の機能

区分機能概要実装機能詳細
管理コンカレント エンジニアリ ング【必須】測量、調査、施工、維持管理を別の業者が実施し、それ ぞれでデータ更新が行われた場合でも運用できるような 仕組みの構築
同時並行で事業が進む場合も想定し、誰がどの段階でど の程度まで作成するなど、費用や作業範囲の明確にする 機能。
基準点管理測量で取得・管理される基準点情報、工事基準点などコントロー ルポイントとなる情報を管理するために、以下のような機能を有 する。
【必須】基準点のデータに対して点の記、写真等を示す資料をリ ンク等できる管理機能を有し、その図形情報とリンクし た情報をエクスポートできる機能
三次元データを重ね合わせて比較する際に位置較差を算 出し、その較差量を基に位置補正ができる機能
マーキング機 能【推奨】図化作業の際に、補測すべき範囲や調査すべき内容(可 動判定等)を記録する機能。

附属資料3  精度管理表の様式

それぞれクリックするとPDFがダウンロード出来ます

1.   精度管理表

 ・細部測量・地形補備測量・数値編集 補測編集・数値地形図データ作成精度管理表

  (作業規程の準則  様式第 1-15 と置き換えて使用する)

 ・数値図化精度管理表

  (作業規程の準則  様式第 1-16 と置き換えて使用する)

 ・検証点配点図

  ・点検測量結果精度管理表 その他の様式については準則を準用する。

2.   品質管理表 作業規程の準則による標準様式を使用する。本マニュアルの評価項目に基づいて実施した 結果をとりまとめる。

名称様式(Excel)
数値地形図データ作成精度管理表様式(17KB)
数値図化精度管理表様式(23KB)
検証点配点図様式(12KB)
点検測量結果 精度管理表様式(13KB)
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