Map 3D ツールセットは(旧 AutoCAD Map 3D) AutoCAD Plus 2023 に含まれています
トレーニングを開始する前に、以下の準備を行います。
データの準備
トレーニングで使用するデータの「Maptutorial2016」をダウンロードして解凍した状態で、フォルダごとPCのCドライブにコピーしてください。 コピーした際に、読み取り専用になっている場合は解除してください。
Ⅰ GISデータから面積別色塗り主題図作成
概要
あなたは、都市計画の専門家として、再開発プロジェクトを担当しています。
該当地区の再開発に必要な基礎データとするため、予定している区画に含まれる建物について、面積別の色塗り図を作成することになりました。
まず、該当する地区の地図のデータを取り寄せ、AutoCAD Mapのさまざまな機能を使って、データを加工していきます。
実際の手順は以下の通りです。
地図データをAutoCAD Mapに取り込み
該当地区の地図データが市役所で販売されていました。これはSHPフォーマットで提供されていたので、AutoCAD Mapの機能を使って取り込みます。
取り込んだ地図データを世界測地系に変換
取り込んだ地図データは、旧日本測地系で作成されていました。AutoCAD Mapの機能を使って世界測地系に変換します。
該当地区のデータを抜き出し
地図データは都市計画図の図郭単位でファイル化されていたので、プロジェクト対象地区のデータだけを抜き出します。
建物トポロジの作成
各建物の面積を算出するため、建物トポロジを作成します。
建物面積別の主題図作成
作成した建物トポロジを使って、面積別の主題図を作成します。
この章で学習するAutoCAD Map機能の解説
マップ読み込み
AutoCAD Map 3D では、他の形式のマップを読み込むことができます。
読み込んだデータは現在の図面に取り込まれ、ジオメトリが図面オブジェクトに変換されます。オブジェクトに関連付けられている属性データと表示オプションも読み込むことができます。 時間のかかる再ディジタイズをせずに、既存の地図や施設、GISのデータを使用できます。
図面のアタッチ
複数の図面をひとつのプロジェクト作業領域で効率よく作業するために、図面のアタッチ機能を使用します。
AutoCAD Mapでは、様々な座標系のいくつもの図面を同時に扱うことができます。
図面セットとは、ワークセッションにアタッチされている図面のグループのことです。目的の図面のセットを確実に使えるようにするには、ワークセッションに利用する図面をアタッチします。図面セットからアタッチ解除することも簡単にできます。
クエリーの対象にするためにアクティブにしたり、非アクティブにしたりすることができます。クエリーを実行する場合、AutoCAD Map はアクティブな図面だけを検索し、非アクティブな図面は無視します。
ワークセッションを保存すると、アタッチされている図面への接続も保存されます。したがって、ワークセッションを開くときに、図面を設定する、必要な図面の記録を残しておく、図面の位置を確認するなどの手間のかかる作業を行う必要がありません。
AutoCAD Mapでは、ワークセッションおよびアタッチされている図面それぞれに座標系を割り当てることにより、クエリーを実行すると自動的に投影変換を行います。
クエリー
アタッチした図面から位置指定やプロパティ条件、属性データに基づいて設定した検索条件でオブジェクトを抽出、表示することができます。
結果を表示するモードには以下の3種類があります。
「プレビュー」 クイックビュー同様に印刷、確認のために表示するモードです。
「作成」 ソース図面から抽出したオブジェクトをコピーして表示するモードです。
作成モードで表示されたオブジェクトは選択、修正することができます。
「レポ ート」 抽出結果をファイルに書き出すモード
日本の座標系について
AutoCAD Map 3D 2016は測地成果 2000 に対応するため、国土地理院長の承認を得て、同院の技術資料 H・1-No.2「測地成果 2000 のための座標変換ソフトウェア TKY2JGD」を使用しました。(承認番号 国地企調発 第 646 号 平成 14 年 4 月 8 日)
平成23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震に伴う地殻変動により改定された測地成果「測地成果 2011」に対応するため、国土地理院長の承認を得て、同院の技術資料 B1-No.51「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に伴う座標補正パラメータ」を使用しました。(承認番号 国地企調第 253 号 平成 24 年11 月 5 日)
パラメータファイル TKY2JGD.PAR について
AutoCAD Map 3D 2016 では以下のフォルダに TKY2JGD.PAR ファイル(JGD2000-TokyoDatum Ver.2.1.2)、JGD2011V100.parファイル(PatchJGD Ver.1.0.0)がインストールされます。
C:\ProgramData\Autodesk\Geospatial Coordinate Systems\Japan
国土地理院より最新のパラメータ ファイルが公開された場合は、上記フォルダのパラメータファイルを上書きすることでパラメータ ファイルをアップデートすることができます。
座標系定義について
AutoCAD Map 3D 2016 の日本の座標系は以下の座標系カテゴリで構成されています。
JAPAN-GSI-JGD-TKY2JGDカテゴリ
TKY2JGD.PAR ファイルによる世界測地系定義です。
このカテゴリに含まれる座標系は、旧日本測地系と世界測地系を TKY2JGD.PAR ファイルを使って変換する場合のみ使用します。
JAPAN-GSI-TKY-TKY2JGDカテゴリ
JATKY2JGD.PAR ファイルによる旧日本測地系定義です。このカテゴリに含まれる座標系は、旧日本測地系と世界測地系を TKY2JGD.PAR ファイルを使って変換する場合のみ使用します。
JAPAN-GSI-TKYカテゴリ
旧日本測地系定義です。旧日本測地系で作成された座標値を持つ図面(世界測地系と混在しない場合)は、このカテゴリに含まれる座標系に割り当てます。
JAPAN-GSI-JGDカテゴリ
世界測地系定義です。世界測地系で作成された座標値を持つ図面(旧日本測地系と混在しない場合)は、このカテゴリに含まれる座標系に割り当てます。
JAPAN-GSI-JGD2011カテゴリ
測地成果2011の定義です。測地成果2011で作成された座標値を持つ図面は、このカテゴリに含まれる座標系に割り当てます。
以前の座標系から測地成果2011の座標値へ変換する場合は、
世界測地系(JAPAN-GSI-JGD)カテゴリの座標系からのみ変換ができます。JGD2011V100.parファイルを利用します。
旧日本測地系から測地成果2011への変換する場合は、旧日本測地系の座標値を持つ図面をJAPAN-GSI-TKY-TKY2JGD カテゴリに割り当て、別途JAPAN-GSI-JGD カテゴリの世界測地系の座標値を持つ図面を作成します。プロパティ変更クエリーを使って、世界測地系座標変換したのちに再度JAPAN-GSI-JGD2011 カテゴリへ変換します。
JAPAN-WKT-TKY カテゴリ
OpenGIS WKTで定義された旧日本測地系定義です。測地変換のみ行います。
JAPAN-WKT-JGD カテゴリ
OpenGIS WKTで定義された世界測地系定義です。測地変換のみ行います。
平面直角座標系について
日本では公共測量で使われる座標系として平面直角座標系が利用されています。平面直角座標系は、測量法第十一条第一項第一号の規定を実施するため、平成十四年国土交通省告示第九号において原則として都府県単位、北海道では市町村、総合振興局、市町村ごとに定められています。告示および平面直角座標系の系番号については、
http://www.gsi.go.jp/LAW/heimencho.html
をご参照ください。
AutoCAD Map 3D 2016では、カテゴリごとに系番号を含む座標系定義があります。座標系の説明の「Plane No.」の後ろに記載されている数値が系番号になります。
座標系変換の手順について
図面の座標系を変換するには、下記のヘルプをご参照ください。
http://help.autodesk.com/cloudhelp/2016/JPN/MAP3D-Use/files/GUID-291991BF-31F1-46F0-A9E1-72A29B8E8C54.htm
トポロジ
AutoCAD Map では、施設管理やGISで不可欠なトポロジを構築できます。
トポロジを作成すると、データに様々な情報を補足したり、簡単に解析したりすることができるようになります。
AutoCAD Map では、ノード、ネットワーク、ポリゴンの3タイプのトポロジを生成できます。
トポロジは、クリーンアップされた通常のCADオブジェクトから、隣接するオブジェクト同士やオブジェクトのグループの関係を定義し、情報をオブジェクトデータとして格納します。
AutoCAD Map では、図面全体にトポロジを生成することも、図面中の一部の画層や、選択したオブジェクトだけから、トポロジを生成することもできます。
また、1つのワークセッションで複数かつ異なる種類のトポロジを生成できます。さらに、トポロジ編集機能により、トポロジ情報を保持しながらの編集が可能です。
クリーンアップ
図形の論理的エラー(オーバーシュートやアンダーシュートなど)を自動的に修正します。
表示マネージャ
表示マネージャは、図面を表現する機能です。
ひとつの図面の中で、オブジェクトのプロパティを変更して、様々な表示マップを作成することができ、主題図を作成することもできます。
主題図は、サイズや色などのグラフィカルなプロパティと値を使用して地図データ上にデータを表現します。
オブジェクトは、位置、画層、およびブロック名を基準にして選択できます。
データの値は、オブジェクトデータ、外部データベース値、または、色、領域、長さなどのオブジェクトプロパティを使用して選択できます。
主題図を使用して、たとえば、町丁目単位の人口分布や、市全体の資産評価額の分布など、物理的な領域をわたるデータの分布を表示します。
AutoCAD Mapの主題設計機能を使用して、表示したいデータの定義、クエリーしたデータのプロパティ変更、表示パラメータの割り当て、凡例の作成を行うことができます。